間合い

待っていた

ずっと待っていた

ずっとずっと待っていた



この風を待ち続けていた



あんなにも胸を締めつけていた

あのまま憎んでいたかもしれない

そんな時間を放り投げて



秘かに待ち望んでいた

凪がせる風を

ただただ待ち望んでいた



待っていた

ずっと待っていた

ずっとずっと待っていた



この日差しを待ち続けていた



あんなにも胸に張りつめていた

そのままほぐれずにいたかもしれない

そんな時間を解き放ち



季節をめくる風とともに

ゆるい日差しを

静かに待ち望んでいた



小春日和にこぼれ

手元に届く日差しにも

耳元でささやく風にも



ようやくかの時はなだらかに

ゆるやかに歩みをはじめ

待ちわびたわたしの手をとるだろう

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