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【コスモ女子イベント】火星に住める日は近い?火星探査の歴史から火星移住に向けた計画を知る

2023年8月11日に元NASAエンジニアの戸梶歩 氏をお招きし、コスモ女子イベント「火星に住める日は近い?火星探査の歴史から火星移住に向けた計画を知る」をオンラインにて開催しました。
今回は、火星衛星探査計画MMXや火星移住計画について、火星移住がいったいどのようなものなのか、世界各国・日本の火星探査について知ることができ、火星移住がリアルに想像できる時間となりました。


<プロフィール>
戸梶 歩氏
元JAXA人工衛星エンジニア、宇宙開発コンサルタント

東京大学大学院航空宇宙工学専攻にて修士号を取得し、同大学院博士課程在学中にアメリカへ留学。
卒業後はアメリカの宇宙関連企業で衛星エンジニアとしてアメリカ航空宇宙局(以下、NASA)の人工衛星プロジェクト等に携わる。
結婚後は「主夫」として子育てにも奮闘、さらに日本に帰国後は俳優業や解説者としてTV出演。
宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)にて火星衛星探査機MMXプロジェクトの主任研究開発員としてを5年間従事。

火星探査の歴史

火星探査は最近の話ではなく約60年前からおこなわれています。
アメリカやロシアなど、火星探査機の歴史は1960年からはじまり、2020年までに48回もの火星探査機・探査車が火星へと向かいました。
日本でも、1998年に初めて火星探査機「のぞみ」をM-Vロケット3号機によって打ち上げましたが、火星周期軌道に乗せるための装置に不具合が発生し断念。
2020年にアメリカが打ち上げた火星探査車・パーサヴィアランス(Mars 2020 / Perseverance Rover)は世界初、火星からのサンプルリターンを計画しております。探査車にはインジェニュイティ(Ingenuity)火星ヘリコプター(ドローン)も搭載されており、火星での生命の痕跡を探しています。

そして、最終的には火星の有人探査を目標に置き、月面や月周回軌道上に恒久的な有人活動拠点の構築を目指すNASAが主導しているプロジェクトが「アルテミス計画」です。
このアルテミス計画では、月での長期滞在、そして月での活動の経験をいかして火星への有人探査を目指しています。
2020年代(現代)は月での技術実証などを通じて人間が火星で滞在できるよう準備が進められ、ここから先70年〜80年をかけて火星移住を果たすことになるそうです。

日本もアルテミス計画に参画する一員として、アルテミス計画成功に向けてJAXAや民間企業などが精力的な取り組みを行っています。
例えば、株式会社ispace / ispace, inc.(株式会社アイスペース)が民間月面探査プログラム「HAKUTOーR」による月面着陸に挑戦するなど多くの宇宙ベンチャー企業も月を目指しています。

また、2021年11月には13年振りにJAXA宇宙飛行士候補者の募集があり、約4,000人以上の応募から2名の方が選出されました。
日本人として初めて月面に降り立つと期待されている宇宙飛行士候補者です。
大きな期待とミッションが託されたお2人ですが、ぜひ日本人宇宙飛行士として活躍していただきたいですね!
今後の日本の宇宙業界の活躍にも目が離せませんね!


火星を目指す理由とは

では、火星探査はいったい何のためにおこなわれているかご存知でしょうか。

さまざまな理由がある中のひとつが「火星移住を実現するため」です。

火星は地球の次に人類が生存できる惑星として望ましいと言われています。
太陽系のなかでも大気があることや自転周期も地球と似ていることもあり、火星がどのようにしてできたのかを調べることで、火星移住実現に大きく近づきます。

2040年には世界的に気候変動や環境破壊などで人類が地球上での生存が難しくなるとも言われ、それを回避するため地球以外の惑星を調査することはとても重要なことなのです。

また、世界的に注目を浴びているイーロン・マスク氏率いる民間企業「スペースX」は火星移住に向けて設立当初から積極的に進めています。
イーロン・マスク氏は、2030年には火星に有人基地を建設し、2050年には規模拡大による火星コロニー(Mars City)が完成、100万人が火星へ移住するなどの構想を掲げています。

2100年頃には火星移住が完了し独立するとも言われ100年近く先まで火星移住に向けて計画が立てられていることは、私たち人類が火星に住むことが未来に待っていることが感じ取れます。

私たちの子どもや孫世代、これからを生きる人たちにとって、地球と地球以外に住む選択肢ができるかもしれないということに戸惑いも感じますが、宇宙の中にある惑星を住む場所として選べるのはすごいことだとも感じました。

火星衛星探査計画MMX

戸梶氏が携わってこられた火星衛星探査計画MMX(Martian Moons eXploration、以下MMX)は、火星本体ではなく、火星の周りを周回している衛星(「フォボス」)からのサンプル採取をミッションとしたJAXAのプロジェクトです。

2024年度にH3ロケットにて打ち上げ、約1年かけて火星圏に到着、その後火星衛星フォボスの周りを見かけ上回っている軌道に入り、火星衛星観測とサンプル採取を行ないます。
MMX探査機はサンプルを携えて、2029年度に地球へ帰還する予定になっています。

MMXのミッションの一つは、火星の周りにある衛星の誕生の謎を解き明かすことです。

火星衛星の軌道上にはフォボスとダイモスという2つの衛星が存在しているそうです。
この2つの衛星の誕生は謎も多く、いろいろな説が存在しています。
なかでも、小さな天体が火星の重力で捕まえられたとする「捕獲説」と火星に小天体の衝突が起き破片が飛び散ってできたとされる「巨大衝突説」が考えられています。
MMXは、フォボス・ダイモスがどのように生まれたのか、そして進化していったのか火星衛星の起源からメカニズムを割り出すことが最大のミッションの一つです。

人類の存続、火星移住計画を進めていくためにも、火星衛星の解明はなんとしても成功したいものですね。


さいごに

今回のイベントでは宇宙開発コンサルタント・戸梶氏をお迎えし火星探査の歴史や火星移住計画について学ぶことができました。
アルテミス計画は火星移住に向けたものであり、その計画に賛同した国々が協力し火星移住への道を切り開くために技術革新がどんどん進んでいることも知ることができました。
JAXAが取り組む火星衛星探査プロジェクトMMXのミッション成功にとても期待しています。

1時間30分があっという間に過ぎ、もっと話が聞きたい!と参加者から声が上がるほど楽しい時間となりました。

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『宇宙を身近な存在に』をテーマに活動している女性コミュニティです。
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