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九州工業大学訪問!コスモ女子メンバーが衛星試験場の立ち会いへ参加しました

みなさま、はじめまして!コスモ女子のゆうみんです。

今回は!きたる2021年、世界初・女性チームによる人工衛星打ち上げに向けて大変お世話になっているドリームサテライトプロジェクトの阿尾様にお招き頂き、九州工業大学にある衛星試験場の立ち合いに行ってきました。

まずは正門から。

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一般的な総合大学を卒業している身としては、工業大学と聞くと男性が多そうだなあ、というイメージがあります。どんな雰囲気なんだろう?とドキドキしながら向かいました。

早速入ってみると、こんな看板が!

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コンテック……?説明を良く見ると、「無人店舗プロジェクト」の文字が!

どうやら顔認証による入店→画像認識による商品判別→キャッシュレス決済で顔認証による退店、とのこと。

なるほど、完全無人のコンビニってことですね!
最先端技術が結集され、これぞ工業大学という雰囲気!
近い将来、小売店のニュースタンダードになるかもしれませんね。

そうこうしているうちに、キャンパスの奥の奥地にある試験場に到着!

DSC_1052 (試験場全体写真)

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ここでは人工衛星を打ち上げる前に検証すべき、様々な試験が行われています。

今回は運良く、同じ試験場にとある企業の衛星実験も行われていました!企業名はお伝えできませんが、宇宙好きなら誰もが知っているであろう、某有名企業です。

そして、いよいよ試験本番!今回は、小型衛星の動力の源である、バッテリーの振動試験の立ち合いです。

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ロケット打ち上げのときと同じ揺れをバッテリーに与えることで、さまざまな方向からくる振動への耐久性を試験します。

この安全審査をクリアしないと、いざ打ち上げても衛星ミッションが正確に作動しません。まさに、衛星打ち上げには無くてはならない、重要な試験!

揺れを与えるといっても、実際には、ゴーっという音がずっと響き渡っていました。主に振動は空気の揺れで起きるもの、要するにロケットから発するエンジン音や揺れに耐えうるかどうかをテストするため、試験場に轟音が響き渡るのだとか。地震のようにガタガタと揺れるのを想像していましたが、実際は揺れはほとんどわからず、数十分で終了しました。

衛星打ち上げを成功させるには、他にも衝撃試験、熱真空試験などがあります。熱真空試験では、-40度〜+80度の温度下でも部品に異常が出ないかを調べるそう。

人工衛星が無事に大気圏を突破するには、想像以上に多くの試験で基準をクリアする必要がありました。

次に、試験場に関してお話をうかがいました。
九州工業大学構内にある「超小型衛星試験センター」は、大学内はもちろん、外部の一般企業や団体向けにも、試験場を開放しています。

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大学としては、衛星打ち上げ数はトップクラス。
対象となる試験も、ISS向けとロケットローンチ向け(※)を請け負っており、多くの海外大学とも提携しています。

過去には、はやぶさ2のソーラーパネル試験も請け負った実績があります。
九州工業大学の最大の売りは、衛星に関するほぼ全ての試験(通信、振動、衝撃、熱真空)ができるということ!

試験でエラーが出た際も、経験豊富な研究員の方々による手厚いフォローのおかげで、常に最適な改善が可能だそうです。

※ISS向け...小型衛星専用のPODに衛星を装着し、一旦ISSに輸送されます。その後、ISSから衛星が放出されます。
※ロケットローンチ向け...ロケットに人工衛星をネジ留めし、発射されます。したがって、専用の分離機構が必要となります。


次に、学生の制作現場を見学!

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今回は、日本、パラグアイ、フィリピンの学生がキューブサットを製作していました。人工衛星を製作する研究室は、半分以上が留学生で構成されており、ミーティングは全て英語で行われています。

九州工業大学の強みは、宇宙後進国から資金提供を受け、留学生を毎年受け入れていること。日本で宇宙に関する技術を身に付け、帰国後は自国の宇宙産業で活躍するそうです。まさに、宇宙産業における世界の次世代のリーダーを育成しているのが、九州工業大学!

また、もう一つの特色として、先輩が後輩を育成する流れができており、開発・申請・打ち上げ実行という宇宙開発の流れを、学生のうちから経験できるのです。

九州工業大学では、衛星打ち上げを毎年実施しており、継続力、運用能力という結果では、大学界ではピカイチの成績。未来の宇宙産業を支える人材がどんどん輩出されることに、宇宙業界の将来は明るいなとワクワクしました。

最後に、民間企業が人工衛星を打ち上げる意義について、阿尾さんから以下のメッセージをいただきました。

今までは限られた企業しか宇宙産業には参入してこなかったが、kanattaのように非宇宙産業が人工衛星を打ち上げることに、時代の変化を感じる。

そうやって、たくさんの企業が「おもしろそう!」と感じ、宇宙産業にどんどん参入してきて、日本全体の宇宙産業が盛り上がることがうれしい。


「ビジネスとして成立するか」という視点も大事ですが、それ以前に、シンプルに「楽しそう!」という想いで宇宙に携わっていいんだと、初心に帰るお言葉でした。

もちろん、打ち上げには莫大な費用がかかりますし、多くの人が関わるプロジェクトなので、慎重に推進すべき事業です。それでも、「おもしろそう!やってみたい!」と、まずはワクワクを行動に起こすこと。そして必要な資金と仲間を集め、打ち上げまで一緒に成功させることが、なによりも大事であると体感しました。

2021年コスモ女子による人工衛星打ち上げが、ますます楽しみになってきました!
貴重な機会をありがとうございました。



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氏名:阿尾 生地郎(あお いくじろう)

<所属>
▪阿尾システムエナジー研究所(宇宙用電源機器製造、販売) 代表
主に超小型人工衛星(10 cm×10 cm~1m×1m)に搭載するバッテリーの開発、製造・販 売を行う。
▪ASP システム(一般産業機器設計製造、大学研究支援) 代表

<その他所属>
▪一般社団法人 宇宙生命科学研究基金 監事
宇宙医学応用技術研究、宇宙科学啓蒙活動及び人材育成
▪一般社団法人 航空宇宙振興会 夢宙 理事(事務局、構造系担当) 1000 人衛星 ドリームサテライトプロジェクト
※1U の人工衛星を一般の 1000 人のオーナで打ち上げる企画
▪(株)アストレックス 取締役(宇宙関連電源機器製造販売)
▪関西大学 共同研究員(極限環境化学研究室)
▪NPO 法人 Cielo(障害者就労支援事業所)送迎補助員


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