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Y子さんへの手紙

Y子さんは、夫の幼馴染です。
中学時代、夫の隣のクラスにいたY子さんは、
陸上部で汗を流す夫に夢中だったと、夫の母から聞きました。
夫は、全国大会に出場することにしか関心がなかったようです。

中学卒業以来の二人は、互いに会う機会もありませんでした。
Y子さんの父上と、夫は同職で赴任先でお世話になったことがあります。
夫は、いまも恩義を感じております。
Y子さんは、養子さんを迎え、結婚されました。
夫は4人きょうだいの長男でしたが、縁あって私と結婚しました。

やがて年月は流れ、還暦を迎える年となり、
故郷の中学の同窓生たちが、再会するようになりました。

我が家は、Y子さんの家とそれほど遠い距離ではありません。
Y子さんが夫の車に同乗することに、
妻の私が反対する理由はありませんでした。
Y子さんは、少女時代にタイムスリップしたかのように、
同級会と称して、友だちを誘っては夫の車で、
あちこちの観光地へ遊びに出かけるようになりました。
助手席の彼女は、デートではしゃいでいる10代の少女みたいでした。
家に帰ると「いまおうち着きましたメール」が夫の携帯へ届きます。

2022年の5月10日、夫の運転で外出した日のことです。
カーナビのハンズフリーから、夫に電話して来たY子さんの
声をはじめて聞くことになりました。

あなたの媚びた猫なで声に、
私は、怒りと憎しみを覚えました。

あれ以来、私は夫に何回、怒りをぶつけたことでしょう。
もうすぐ2年になります。

Y子さんの「甘え」に、自分でもコントロール不能になるくらいの
怒りを感じた私は、これまで蓋をして、気づかないようにしていた自分の中の「依存心」に気づき、認め、受け入れられるようになりました。








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