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対決の海外ドラマ【異色の高品質ドラマ対決】

コロナウイルス禍の中、動画配信サービスでドラマを楽しむ人が増えました。中でもアメリカで作られている作品に注目が集まっています。TVのようにCMがなく、さらには広告スポンサーにも配慮する必要がなく、多彩な題材や登場人物を取り上げられる動画配信サービスからは、従来なら地上波TVで放送できなかったであろう異色のドラマが多数配信されています。

英語学習の価値は、日本以外の文化・価値観にふれられて教養を深められることにもあるはず。今回はそんな個性豊かでユニークなドラマを2本ご紹介します。

クイーンズ・ギャンビット』は、ウォルター・テヴィスによる小説をドラマ化。母親を失った少女ベスは施設に入りますが、そこで用務員の男性からチェスを習うことに。ベスはある家庭に引き取られますが、そこでチェスの才能をめきめきと発揮。やがてチェスの世界的名人に成長していきます。

もしもこの物語を映画で描いたらありがちなサクセスストーリーになったかもしれませんが、本作は全7話(海外ドラマをあまり見ない人もそれほど長く感じないでしょう)でベスが様々な体験を通じ、心の扉を少しずつ開いていく過程が共感を呼びます。

チェスのルールを知らなくても楽しめますが、本作の成功によって世界中でチェスブームが発生。ベス役のアニャ・テイラー=ジョイがチャーミングです。

『クイーンズ・ギャンビット』
シーズン1(全7話)、1話50分前後、Netflixで独占配信中


POSE/ポーズ』は、『glee/グリー』などで知られる名プロデューサー、ライアン・マーフィによる新たな意欲作。

物語が幕を開けるのは、1980年代のニューヨーク。LGBTQ+の若者たちは、あるクラブに集い、そこで独自のファッションやダンスを競い合う「ボール・カルチャー」を築いていきます。

性的マイノリティーであるLGBTQ+の世界をミュージカルのように描くというのは、TVドラマとしてはかなり野心的な試み。トランスジェンダーの役を実際にトランスジェンダーの俳優に演じさせる試みも支持されています。

『POSE/ポーズ』
シーズン1(全8話)、1話50分前後、Netflixなどで配信中

池田敏(海外ドラマ評論家)
1967年生まれの海外ドラマ評論家(映画も大好き)。「SCREEN」に毎月寄稿し、時々「映画秘宝」誌にも寄稿。WOWOW「アカデミー賞中継」「ミニシアターに愛をこめて」でアドバイザーを担当。著書『〈今〉こそ見るべき海外ドラマ』(星海社新書)ほか。『これが面白い! 海外テレビドラマ ベスト・テン2011-2012』監修。

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