見出し画像

対決の海外ドラマ【アメリカン・ホームコメディ対決】

米国人が日常生活で使う英語を学ぶのに、やはりホームコメディドラマは有効です。かつて米TV界では白人家庭を舞台にしたホームドラマが主流でしたが、他の人種の家庭を題材にした作品も少しずつ増え続けました。

今回選んだ2本は、いずれもアフリカ系米国人一家の物語。刺激的な要素が多いと感じられるかもしれませんが、それは近年の米国コメディ全体にもいえること。

むしろスラングは以前より減り、一般的な日常会話が増加。観衆の笑い声をヒントに、米国流ユーモアを学んでみるのも楽しいでしょう。

パパ、恥ずかしいからやめて!』は映画『Ray/レイ』でアカデミー賞の主演男優賞に輝いた実力派ジェイミー・フォックスが主演・企画などを兼任。化粧品会社の経営で成功したパパのブライアン(フォックス)ですが、妻が亡くなり、多感な15歳の娘サーシャ(カイラ=ドリュー・シモンズ)と同居しだし、親戚たちをも巻き込んで大騒ぎに。

映画界と音楽界の両方で大成功したフォックスですが、元々はTVのコメディドラマが出世作。そんなフォックスの原点回帰を味わえます。台詞にセレブリティの名前がふんだんに登場し、日本のお寿司、韓国のビジネスマンといった話題もたっぷりに盛り込まれています。

『パパ、恥ずかしいからやめて!』
シーズン1(8話)、1話25分前後、Netflixオリジナルシリーズとして独占配信中

一方、本作に比べると『アップショー・ファミリー』は、より庶民的なアフリカ系米国人一家の騒動記。米インディアナ州で暮らす中年男性ベニー(マイク・エップス)は、妻とその子供たちという一家の父であり、妻とは別に交際した女性との間にもうけた息子の父でもある、ふたつの家族のパパ。妻の姉ルクリーシャ(本作で企画・製作総指揮も担当するワンダ・サイクス)の力を借りながら、ベニーは問題続きの2家族をまとめようと奮闘します。

『パパ、恥ずかしいからやめて!』以上にアフリカ系米国人一家の現実に生々しく迫っており、楽しみながら米国の庶民のリアルな現実や日常会話を学ぶことができます。

『アップショー・ファミリー』
シーズン1(10話)、1話25分前後、Netflixオリジナルシリーズとして独占配信中

池田敏(海外ドラマ評論家)
1967年生まれの海外ドラマ評論家(映画も大好き)。「SCREEN」に毎月寄稿し、時々「映画秘宝」誌にも寄稿。WOWOW「アカデミー賞中継」「ミニシアターに愛をこめて」でアドバイザーを担当。著書『〈今〉こそ見るべき海外ドラマ』(星海社新書)ほか。『これが面白い! 海外テレビドラマ ベスト・テン2011-2012』監修。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?