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対決の海外ドラマ【イギリス歴史ドラマ対決】

イギリスは歴史ドラマの宝庫です。長い歴史そのものがドラマチックな上、演劇の文化が豊かで実力派俳優が多いこと、建物など昔のものが豊富なことなど、イギリスで多くの歴史ドラマが作られる背景や理由はいくらでもあります。

そこで今回は、歴史ドラマであってもシリアス度よりも娯楽性を重視した、個性的なドラマ2本をご紹介。イギリスの文化に関心がある人もそうでない人も楽しめるでしょう。

ブリジャートン家』は昨年末の配信開始以来、世界的に人気を呼んでいるNetflixの最新ヒット作。19世紀前半のロンドン。上流社会の娘たちは社交界にデビューすることで頭がいっぱい。

子息が多い貴族ブリジャートン家のダフネ(フィービー・ディネヴァー)は美人で当初は上流階級での期待が集まりますが、意外なことに貴族の男性たちから不人気に。そこでプレーボーイの公爵サイモン(レジェ=ジーン・ペイジ)から交際しているふりをしないかと持ちかけられます。

イギリスが舞台ですが、制作しているのは米国のドラマ『グレイズ・アナトミー』と同じ会社。イギリス貴族版『ゴシップガール』を思わせる、スキャンダラスな群像ラブストーリーに仕上がっています。あえて史実と異なり、白人以外、アフリカ系、ラテン系など登場人物の人種の多様性も現在の風潮にマッチしています。

『ブリジャートン家』
シーズン1(全8話)、1話60分前後、 Netflixオリジナルシリーズとして独占配信中

ザ・イングリッシュ・ゲーム』は、世界最古のサッカー協会「ザ・フットボール・アソシエーション」が作られた直後、1870年代の物語。上流社会の紳士たちがたしなむゲームだったサッカーの世界で、貴族のアーサー(エドワード・ホルクロフト)らのチームに、ライバルのチームや、労働者階級のファーガス(ケヴィン・ガスリー)らのチームが挑んでいきます。

プロデューサー・脚本家のひとりはヒットドラマ『ダウントン・アビー』のジュリアン・フェロウズで、選手同士だけでなく彼らの周囲の社会でうごめく人間模様も見どころ。スポーツを通してイギリス社会の変化を描いているのがユニークで秀逸です。

『ザ・イングリッシュ・ゲーム』
シーズン1(全6話)、1話45分前後、 Netflixオリジナルシリーズとして独占配信中

池田敏(海外ドラマ評論家)
1967年生まれの海外ドラマ評論家(映画も大好き)。「SCREEN」に毎月寄稿し、時々「映画秘宝」誌にも寄稿。WOWOW「アカデミー賞中継」「ミニシアターに愛をこめて」でアドバイザーを担当。著書『〈今〉こそ見るべき海外ドラマ』(星海社新書)ほか。『これが面白い! 海外テレビドラマ ベスト・テン2011-2012』監修。

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