白杖使用者の冒険―バス停でのお願い

先日は、冷たい雨…しかも、ぎりぎりで傘を使わねばつらいな、という程度の雨の中、滑りやすい路面を気をつけながら、いつもと違うにおいや音の中、それでも慣れているはずのバス停まで、そろりそろりと出かけて行きました。

バスを乗り継いで、別のバス停で待っているとき。
案外、毎回ひとが多く待っているバス停なのですが、ひとの気配がない。
そして、しばらく…15分くらいか…待っていたのですが、バスが来ない。
思いの外、寒い日でもあり、しかも予定の時刻に間に合うか、と思いながら、「本当に来るのだろうか?もし来ないなら早めに近くの駅から電車にした方が良いかもしれないが、近いとはいえこのバス停から近くの地下鉄の入り口の位置関係がわからない。しかもこの雨の中では白杖で探りながら行くには無理がある。やはりバスを待っているしかない…」
バス停の表示や貼ってある紙もわかりませんので、もし臨時の情報などがあってもわかりません。
非常に不安なときを過ごしました。

ひとまずこの日は無事にバスも来て、予定を果たすことに成功。

帰宅時、反対側のバス停に行くまでに横断歩道を渡ろうとして、音響信号ではない上、幅も広い横断歩道であったため耳を必死でそばだてていたら、道行くご夫婦らしき男女が助けてくださり、「どこまで行くんですか?」と聞いてくださいました。
「もう少し行ったらバス停があるはずで、それを探そうとしています」というと、「あ、あれかな?ではそこまで」と、連れて行ってくれました。
向かっているときにどうやらバスが来たようで、奥さんらしき女性のほうが先に走ってバスの運転手さんを引き留めてくれようとしたようなのですが、間に合わず。
「あらら、待つしかないね~」と言いながら、「次は…46分に来るみたい」と、時刻表を見て教えてくださいました。それで別れたため、その後だいぶ待つことになっても、その間に2本も別のところ行き(しかも行き先は同じ駅名)のバスが来ても、不安にならずに待つことができました。


バス停は、バス停自体をなんとか見つける(白杖で探り当てる)ことができても、バス停の表示や行き先、時刻表など、私たちにはまったくわかりません。
ただただ、電柱でもない、看板でもない、細長いものが立っていて横に誘導ブロックがあるだけなのです。

そして、バス停で待っているひとに声をかけ尋ねようにも、バス停では静かに待っているかたが多いため、ひとがいるのかいないのかすらもわかりません。

もしどうか、バス停で白杖を持ったひとを見かけた際には、一旦軽くお声がけいただけますと、本当に非常に嬉しいです。

少なくとも私にとっては、バス停に辿り着いたとき、例え慣れているつもりでも本当にそれがその目的のバス停か、そしてちゃんと来るのか、次がいつ来るのか…など、実は非常に不安と緊張の多いダンジョンなのです。

そのため、バス停でお声がけいただいたときは、本当にものすごく安心できる、嬉しいです。何気ないような場面に見えて、実は非常に助かっています。
今後とも、どうぞお見守り、よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?