白杖使用者の日常―エレベーターの出入り

#視覚障害者が嬉しいと感じた配慮
#障害理解

駅のエレベーターでのエピソードを2つ。
1つは、純粋にありがたかった。
1つは、ありがたい声掛けであったと同時に、手品にあったように驚きをともなった体験。

駅のエレベーターにて。
エレベーターを呼び、到着して扉が開いたとき、なかなか気を張る。
仲から降りてくる人がいないか。音を立ててくれるとありがたいのだが、逆に白杖に気付いてかわからないが(私に気付かれないようにと配慮してくださってしまっているのか)、静かにさっとすり抜けるように出て行く人もいるから。
本日、エレベーターの扉が開いたのでいつものように耳をそばだてて数秒うかがっていると、中から「すみません、先に降ろしてくださーい」と若い女性の声。声の若さや、何か長さのありそうなものを押していたところから推測するに、恐らくベビーカーだろう。
こちらもありがたく応え待っていると「おりました、もう大丈夫です」 「ありがとうございます」と言ってのった。
この声掛け、非常にありがたい。

降りる時に声を発してくれたり音を立ててくださるとありがたいが、こればエレベーターでも電車でも何でもそうなのだが、もう入って大丈夫かわからず、なかなかタイミングがわからずいつまでも待ってしまうことがある。
乗って大丈夫のお声がけ、本当に安心感が大きく、ありがたい。

更に、乗った後、階数ボタンを手探りで少しもたつきながら押し、私は開閉ボタンを探して押すのもなかなか緊張するので階数ボタンを押したらどうせすぐ閉まるのを待つのだが、私が無事階数ボタンを押すまでこの方の気配、私の様子を見守ってくださっていたような…


もうひとつ。
同じ日。別の駅のエレベーターにて。
私がエレベーターに辿り着いてボタンを押したとき、どうやら誰かが乗ったばかりでエレベーターがまだ開いていたらしい。
駅のエレベーターは周りの雑音で開閉の音がわからなかったり、開閉のアナウンスがある扉や何も言わずしかも静かに開いたりしまったりする扉もあるからなかなか難しい。
気付かず…というよりも開いたのか開いていないのか少し耳に集中していると、「乗れますよ」とのおばあさまの声。
「ありがとうございます」とエレベーターに入ると、どうやらエレベーターの中に先程入っていたのはひとりだったらしい。気配がひとり。
しかしながら、驚いたことが。
行き先階に到着し扉が開くと…
「お先にどうぞ。」と…なんと、若い男性の声。

先程、「乗れますよ」と声をかけてくれたおばあさまは??
エレベーターの中にはひとりしかいない……ように、思えた。
静かに2人いたのだろうか……それともおばあさまは乗っておらず、近くから声をかけてくれただけだったのだろうか…。
白杖使用者は、日常的に良くこんな不思議な体験をする。(笑)


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