白杖使用者の日常―同日、仕事前後に店を梯子する挑戦とありがたい奇跡

少し前の話。

あれこれと日用品を揃える必要にも迫られ、では折角なので食料品も併せて少し目星をつけて、いくつか店をはしごすることに。

午後、仕事があったため、少し迷ったが、本日を逃すことのできない用もあったため、午前中から出かけてみることに。
買い物となるとさすがにかなりがんばって視機能を働かせることにはなるので、疲れによる体調不良や、そもそもひとつの店での一連に大抵1時間程度はかかってしまうため、仕事前に出かけることは一つの挑戦だった。
これまた、度胸がついたものだ。

午前中、ひとまず家から左側の方角にある2件+処方箋を受け取りにいくため調剤薬局にも用があった。
2件は、この記事にも既に何度か登場することとなった食料品。
魚の切り身の纏め売りをしているというような情報があったので、それも見てみたかった。
ひとまず店につき、相変わらず…相変わらず値段がわからない。
どうしようか…レジは忙しくしているだろうし、並んでいたりすれば自力で近づくこと自体が難しいし、2階にサービスカウンターがある、もう先にそこへ行って助けを求めてしまうか…などと考えていたら、なんとありがたいことに、買い物中の女性が話しかけてくださった。
その場にあったものだけでなく、「他に必要なものありますか?探しますよ、私時間も大丈夫だし。」と、何とその後の探し物も付き合ってくださった。

その中でも何とも嬉しかったのが、魚のところへ行った時…
どうやら、切り身が山盛りに乗せられていて、そこから自分で袋にとる方式であったらしい。
これは難しい。ひとりでなくて本当にありがたかった。
そこにあったのは、銀鮭の切身。
「どんな部分がいいですかー?…あ、骨が結構あるところとないところと…」
「ああ…それでは、骨が少なそうなところを…」
「そうですよね。骨はなるべくない方が良いですよね。あ、太い骨が…」
「ああ、太い骨が大きくあるようなものは大丈夫です。」
「そうですか?じゃ、この辺がいいかな…ごめんなさいね、あとは私の趣味になっちゃいますけど」

いえいえ、寧ろそれが一番ありがたいのです。
おかげさまでプロの主婦の目利きの魚の切り身を仕入れることができます。

これは、本当にありがたい。
これがお店の人であれば、お店側の忖度なども入るだろうし、そもそもそんなに聞いてくれずに素早さ重視でささっとやってくれてしまう場合もある。
こういうものは、主婦を目と体験を借りることができるというのは、思わず一番ありがたい。

他、実は野菜のところでも、この日だけではないが、案内して値段を読んでくださったとき、少し悩みながら、あまり思った値段ではないですねというような言葉をこぼして、「そうですよね。〇〇、今は高いのかしらね。」など、会話の中で(ああ、やはり相場より少し高くなっているのか)、など、学ばせていただいている。

この方、ご自身の買い物もうまく私と一緒に集められたのか、会計まで一緒に連れて行ってくださり、お互い会計をしたあと、またすぐに来て袋詰め、そして店を出るところまで一緒に連れて行ってくださった。

この方のおかげで予定より早く済ませることができ、もう1軒。
ここでの出来事は実はつい以前の記事にもどこかに載せたのだが、店に入るなり即座に店員の方が近づいて誘導してくれ、カゴお使いになりますか?と渡してくれ、1階ですか2階ですか?2階に行きますと答えるとエレベーターを呼び2階まで連れて行ってくださった。
が、そこで「…いらっしゃったこと、あるんです…よね?大丈夫です…よね?」と聞かれ、私がついびくりとしてしまい、「大丈夫です、行ってみます」と答えてしまい、2階で大分苦労をした。他の客の方にも一部助けていただき、1階へ戻ったが、これは自力では探しようがないなという、場所を知らない商品が2つ。仕方ない、とサービスカウンターに並んでいたら、先程の店員さんが気付いてきて「お客様、こっちです、こっち、そこ、サービスカウンターなんで。もう、いいんですよね(会計ですよね)?」と言われ、私もまた勝手に迷惑がられているような気になりながらも「探しているものがあって」と伝えると、「ああ、ではこちらです、どうぞ掴まってください」と、別に急ぐでも急かすでもなく丁寧に手引きしてくださりそこの商品エリアの店員にも聞いて確かめてくれたり、そして商品を集めるとキャッシャーまで連れて行ってくれ、会計を済ませるとささっと戻ってきて袋詰めの場所まで今度連れて行ってくれ、袋詰めが終わってカゴを返そうとするとまたささっと現れてカゴを回収、その上、店の外の段を歩道に降りるところまで誘導してくださった。
手引きや声掛け自体に慣れている人は少ない、その上、私に勝手に自己卑下があって私が相手の言葉を曲解したりホスピタリティを受け取れないという、ただそれだけの出来事で、本当に丁寧に案内してくださる店員さんだった。

その後、あと2件あるが、流石に行っている時間はない、今日はここまでにするかと思ったのが……早く終わった分、なんと調剤薬局でやたらと待つ羽目になり、午後から仕事があるので夕方また受け取りに来ますと言って帰ったため、いずれにせよ仕事後また出ることに。

仕事のあと、薬局で処方箋を受け取り、では折角なので…残りの予定2軒。
夕方の人通りも少し多い通りに足を踏み入れてしばらくすると、通りすがりの女性(夫婦?)が話しかけてくださり、方向が同じだから…と、腕を貸してくださった。
…方向が同じ?…先ほど「〇〇通りに入りたいのです」と伝えたら一瞬別の通りに入ろうとしていなかったか…?
本当に良いのだろうか大丈夫だろうかと思いながらお言葉に甘えていると、「私もあんまり言葉とか、ごめんなさいね、韓国人なの」と。近所に住んでいる方ではあるらしいのだが、あまり土地勘はない方なのかもしれない。
それよりも、ついそんなご縁嬉しく、久しぶりに韓国語を頭の中から引き出した。僅かな会話だったけれども、道端で本当にいろいろな出会いがある。
英語で話しかけて下さる方もおられるし、言葉絶対通じないなと恐らく思って片言の英語であとは腕をとって横断歩道を渡る補佐をしてくださる方もいる。
今度は韓国の方が。
こんな素晴らしい語学学習の機会もないものだ。
もう少し、いつでも口から出てくるように韓国語や英語は鍛えておこう。

さて、この方、まっすぐ通り沿いにあるドラッグストア、目的地まで連れて行ってくださった。
ドラッグストアの中では店員の方が案内してくださり、そこから来た道を戻って、少し曲がったところの建物へ……広い道から広い道へ曲がるため、方向感覚が少しズレて僅かながら勘が狂って苦戦していたところを、今度は若い男性が店の建物前まで連れて行ってくれた。

お礼を言って、そこから数歩先の自動ドアに入ろうとすると、どうやら風か何かでか、片方閉め切っていたらしい、「そっち入れないよ、こっちね。」と、初老の感じの男性。「お店、どこ行くの」と、「ああ、じゃあ僕もその階だから」と、そのままつかまらせて連れて行ってくれ、スタッフさんも見つけて引き継いでくださった。
実はこの店、広くて店員さんにもあまり話しかけることのできない、物をどうやって探そうかと困っていた店だった。
おかげで店員の方に狙いのものを集めていただくことができ、「ありがとうございました」と言って出ようとすると、「エスカレーターですか?エレベーターで?何階に行かれますか?」と。
同じ建物内でもう1軒寄ろうとしていたのでそれを伝えると、なんとこの店員さん、そのままエスカレーターでその店まで誘導してくださり、その店の店員に引き継いでくださった。
そしてそこでは実は目当てのものが在庫がなかったのだが、その店員さんも帰りのエスカレーターまで連れて行ってくださり、無事スムースに帰宅することができた。

なんともありがたい、まるでバケツリレーのように助けていただいた日だった。

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