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GIFT 受け取ってきました

はじめに

十数年ぶりにブログのアカウントを取得して、GIFTの感想を書こうとしています。ブログの書き出しってどういう風にするんだったっけ?そもそも文章を書くのに苦手意識しかないのに大丈夫?と思いつつ、2月26日に私が見聞きしたあの出来事を何かしらの形で残しておかないと後に後悔するのでは?という思いからスマホばかり使っていて最近は出番が無くなっていたPCを起動し今文字を認めています。完全に個人の主観や私のその時の感情の話になっており客観的な物事の見方ができてないことはご了承くださいね。

衝撃のプロローグ最終日

ゆるくお茶沼観戦して羽生くんの演技は格別だなあと思って長年過ごしていた私ですが、昨年の北京オリンピックでの様々な姿にいわゆる”北京落ち”してしまい、FaOIに行ったりなどで楽しく過ごしておりましたが、衝撃の決意表明会見からのプロローグ。私は最後の最後までリセール抽選の申し込みをしましたが結局現地には行けず、地元でのライブビューイングで八戸最終日を鑑賞しました。
チケット落選が続いたり、チケットの抽選で勝手ながらそれってどうなの?って思ったことがあったりとか、自分のメンタル的にも結構ダメな感じになっていたのもあって、めちゃくちゃハイテンションで楽しく鑑賞できなかったっていうのが正直なところです。本編中まじでずっと泣いてました、なんでこれ生で見に行けないんだろうってね、駄々こねてる子供のようで情けないなあ自分っても思って。自分の趣味で疲れて楽しめないって本末転倒感がすごくあったから一旦離れようかななんて思ったりもしました。
でもスクリーンの中の羽生さんは「生まれてきて幸せですし、生きてきて幸せだと改めて思いました、ありがとうございます。」「これ以上ないくらい報われています。」「僕は、幸せです。」と本当に幸せそうな声で笑いながら泣いていましたね。駄々っ子の自分と羽生さんよかった、これからもどうか幸せに生きてと願う自分がいて、なんともいえない気持ちになっていると、

そこに、幸せはありますか。
誰かと、繋がっていますか。
心は、壊れていませんか。
大丈夫。大丈夫。
この物語と、プログラムたちは、あなたの味方です。
これは、あなたへ。
あなたの味方の、贈り物。

なんて流れてきて「私は羽生さんの優しさをうまく受け取れなかった、ごめんね、いつかちゃんと受け止めるからちょっとだけ待っててね……こんな私みたいなだめオタクにも優しくしてくれるなんて……一瞬でも羽生さんから離れようとした自分を恥じたい……」なんて混乱したもんです。(そしてまた泣く迷惑な客)
そんな混乱も束の間で、そのあとスクリーンには「2023.02.26 東京ドーム」なんて出てくるから感嘆と衝撃のため息漏れますよね……。顔は完全に宇宙猫からの頭を抱える宮崎駿監督でした。
優しい語り口はプロローグというお話の中の終章なのかと思って聞き入ったけど、それは素敵なサプライズでした。プロローグのチケットが最後まで取れなかった私、Twitterで何度も「東京ドームでやってくれ~~~!」なんて嘆いていましたけど、本当に東京ドームでやってくれるとは……。
スケーター史上初の試みの東京ドームでの単独アイスショー、なんとか今回はチケットが手に入り当日を迎えることができました。

当日、開演前

フォロワーさんとたくさんお会いできたり、お話しできたり、お揃いのボアブルゾンでキャッキャできたのもすごく良い思い出になったなあ~と思い出してます。(白のボアブルゾンなんて私が着たら絶対にベイマックスになる!今回は見送る!と豪語していたのにも関わらず、ドーム前のあまりの寒さに購入した。)
席についてステージセットを見ると巨大なスクリーンの両サイドには手、斜めになっているセット、左右にはオーケストラセット、そしてそれよりも客席側にはおそらく試合サイズであろうアイスリンク、その周りには黒やグレーの正方形……。
今まで何度となくジャニーズなどのライブで東京ドームに足を運んでいた私ですが席についての第一印象は「こんなのはじめて~!!!??!」でした。めちゃくちゃ陳腐な表現だけど本当にこれ。2階スタンド中段の所謂天井席での参加でしたが、一般的なライブやコンサートではあの巨大なモニター付近がメインステージになりますが、今回のメインステージはそれよりも客席側に設置しているアイスリンクでしたので2階席からでも物理的な遠さを感じない距離だったのかもしれません。

そして詳しくは後述しますが演出はあのMIKIKO先生、そしてRhizomatiks、出てくるダンサーはELEVENPLAY……。日本の超一流のクリエイターの皆さんがあの東京ドームという大きな空間をキャンバスにして描くGIFTという作品はあの大きな空間を存分に使って表現しているからこその素晴らしさだと感じました。プロジェクションマッピングや大きなモニターや東京ドームの天井や私たち観客が手首に巻いたシンクロライトの光も演出に変えていましたよね。大きな空間を右から左、下から上まで目いっぱい使って最新技術を駆使した演出により遠い席種でも最高の席となり最高のパフォーマンスを目撃することができたのだと思います。誰も、どの席でも置いてきぼりにしないという気持ちが強く感じられて、羽生さんが今までのアイスショーでも色々な席に座ってみて見え方を確認しているというファンの中では有名な話を思い出しました。
ドームだと見え方が豆粒になっちゃうかも……という心配ツイートをよく拝見していて私も「たしかに天井席から見たら羽生さんの姿はかなり小さいのでは…?」と不安になったりもしたんですが、MIKIKO先生とRhizomatiksが手掛けるPerfumeの演出やELEVENPLAYとRhizomatiksのコラボを知っていたので「意外とそんなことは気にならないかも…?」と思う自分もいました。後者の自分に賭けて天井席ですが高倍率の防振双眼鏡をレンタルせずに、最低限の自分がすでに持っていた12倍のものを持つことにしました。結果的に予想通り、むしろ予想以上の空間演出の中に羽生さんがいるという感じで、壮大な世界観への没入感がすごくてほぼ双眼鏡を覗いていなかったので良い選択ができたなあと思いました。

開演前、ご一緒してくださったフォロワーさんたちと「どこから出てくるのかな?」「意外と普通に横から出てくるかも」「いや天井から降りてくるかも」「あの斜めのとこから滑って出てくるかも(ハーフパイプか?)」とかなんやかんや言ってましたがまさかあんなことになるとは……。

あ、あと、新村さんが開演前のアナウンスをされていてすごいほっとしましたし、「羽生さんも皆さんの声援を待っています!」的なアナウンスがあって、「ああ、やっと声出し解禁だ、嬉しいなあ」って気持ちになりました。完全に個人的な感情なんですが、私は仕事柄コロナ禍でいろんなコンサートや現場に行けないことがずっと続いていたんです。昨年ぐらいから様子を見ながらちょっとずつ行けるようになってきたけど、やっぱり我慢してきたという感情が強くて。勿論まだ油断は禁物だし、声出しをまだ遠慮したい方もいると思います。でも、羽生さんも待っています、って言葉で拍手が鳴り響いて「あ、あの頃のエンタメが帰ってきてる。」と純粋に嬉しい気持ちに。

すべてが豪華すぎるんじゃ

このGIFT、たった一晩のためにとんでもなく豪華なメンバーが集められていたことが徐々にわかっていきましたよね。
制作総指揮は羽生結弦選手。(エンドロールのExecutive Producer:Yuzuru Hanyuの文字面のかっこよさたるや……)そして演出はPerfumeの演出などで有名なMIKIKO先生、音楽監督は松任谷由実さんのコンサートで音楽監督を務めたりたくさんのヒット曲のアレンジを手掛けてきた武部聡志さん。そして、MIKIKO先生と何度もタッグを組んできたクリエイティブ集団 Rhizomatiks。事前情報でこれらがどんどん明るみに出て「ウオオオオオ!!!これはヤバい夜になるぞ?!?」と思っておりました。しかも、東京フィルハーモニー交響楽団さんとスペシャルバンドという、それだけのためでも数万円のチケットを払う価値がある生演奏だったことを公演終盤で知る衝撃……。そんでもって公演中にもしかして…?と思っていたのですが、やっぱり横で踊っていたのはELEVENPLAYの皆さん…!!!んもう、贅沢すぎて倒れそうでした。そして映像監督は林響太郎さん……たまらんすぎる……。(補足するとELEVENPLAYの皆さんはかの有名な星野源さんの「」「ドラえもん」のMVの後ろで踊っているお姉さんたちです。林響太郎さんは星野源さんのMVの監督(Pop VirusAin't Nobody Know不思議)をされてらっしゃいます。)もう、私の好きなものを作っている人がたくさん参加されていたことを知って本当に嬉しく感慨深い気持ちに。(おまえは誰)

貰ったGIFTが大きすぎて受け取り切れていない

公演から1週間が経ち、様々な感想や考察がネットに溢れていて毎日少しずつそれらを読むのが楽しみになっています。自分自身も考察をしたい気持ちがあるのでまだ全然読み切れてないんですが、あまりにもたくさんの考察が流れたりとか、自分自身も久しぶりに自分の知識や経験、思考や思想をフル稼働させてどうにかしてこの物語を咀嚼したいという気持ちになり、毎日GIFTのことばかり考えてしまっている日々です。今この文章を打っているのは3月5日であと1週間もせず次のアイスショーnotte stellataが始まるという現実を忘れてしまいたいぐらいにはGIFTのことばかり考えています。
羽生さんがナレーションや本編後の挨拶やインタビューで「疲れて心が干からびたときに帰ってきてください」「『ひとり』になった時に帰れる場所を提供できたらいいな」とか言ってくれていますが、毎日帰りまくって居座りまくっています。それはもういろんな方が言ってるように実家のごとく。(永住権を獲得したいので是非関係各所の方々には円盤化の検討をお願いしたい。)
GIFT、全体的に重い、暗い、陰を感じるモノローグでストーリーが進んでいきました。ストーリーとしては、主人公の僕が世に生まれ、大好きなものを見つけ、あったかい夢と共に強くなるために歩み始めたその先では困難や苦悩、孤独がたくさんあって……でもまた大切なものに気づいて歩みを止めないよ、と希望とやさしさに満ちたようなもの。プロローグのときに流れたナレーションやGIFTというタイトルなどから勝手に羽生さんが書いたおとぎ話のような柔らかくてあったかくて色で言うならばパステルカラーの陽だまりのようなお話なのかと勝手に想像していました。にわかながらに羽生さんの半生を知っていたはずなのにあまりにも愚かでした自分、反省。

ある意味ではセンセーショナルな感じで、正直だいぶ攻めた表現をしてるなあと感じました。あの巨大な東京ドームという空間であれだけ内省的な自己対話のようなことをやっているにもかかわらず、演出としてはかなりド派手なことをしてる羽生さんまじでチャレンジャーだなあと。(でもちゃんと大成功しているし、まったくチープな印象にはならなかった、むしろあまりにも豪華。すごい。)
いわゆるセカイ系といわれる作品(壮大な世界や宇宙から社会的概念をすっとばして上位領域であるそれらと自意識が直結するみたいな定義の作品系。時にエヴァっぽいとか表現される。)とか90年代後半から00年代にかけてのアニメ、あとは年代に限らず自分自身との対話とかそういうものをテーマにした作品って結構あると思うんです。私自身もそういうの好きなので途中「これは旧劇エヴァ26話では…?それとも幾原邦彦?もしくは新海誠…?」みたいなテンションになってしまいました。何度も様々なクリエイターたちがチャレンジして、たくさんのオタクたちに咀嚼されてきたようなある意味でありがち、ある意味で多数が引き込まれるような手法をあの大きな空間で実行したの本当に攻めてる。世界の終わりと僕たち、みたいなのがセカイ系には多いけれど、今回は世界の始まりと僕、そして未来って感じだったなあ。
GIFTの構成からも前半が地球が爆誕して火の鳥も爆誕して、太陽と月の関係性の話とか、僕が見ていたあったかい「世界」の自然たちとの歩みと夢の実現(ちょっと周りの変化も感じる)みたいな感じで、後半は真っ黒の衣装を着てひとりで椅子に座り、映像もモノローグも光の羽生さんと陰の羽生さんが対話しているシーンが増えて、端的な表現で言えば「陰の部分の語り」が多いように感じました。いわゆるこれが己の「自意識」の部分を感じてセカイ系っぽい作りだなあって思ったり。
この視点で行くと、オリンピック2連覇、国民栄誉賞、男子史上初のスーパースラム達成など一見華々しく輝かしい経歴の羽生さんが「社会」の領域だと思います。この辺は北京オリンピックのロンカプを滑ったくらいでそこらへんの演出や表現って無かったですよね。そのあたりの「社会」の領域が抜け落ちて、自然あふれる「世界」と僕の歩み、そして「自意識」の部分をさらけ出す後半パートになっていく。
話している内容が、彼の今までの活躍や残した輝かしい功績とは裏腹にかなり重たいですが、アイスショー全体を俯瞰して見たときには不思議とそんな印象はあまりなかったなと振り返ります。後味も印象も悪くならずに暗くもならない、しんみりもしない。むしろ「とんでもないものを見てしまった…!」「やばい…!」といった興奮と感動と希望に心が満ちていた終演後でした。
あれだけの世界的トップスターが自身の二面性や孤独や虚無感(後半エピローグの目が淀んでいる羽生さんの演技すごかった、これぞ虚無って感じで。)を前面に出してくれたこと本当に凄い。本当に強い人じゃないとそんなことはできないと思う。
あとインタビューで

「もちろん自分自身が今までの人生の経験の中で、「ひとり」ということを幾度も経験してきましたし、実際に感じることも今だにありますし、それは僕の人生の中で常につきまとうものかもしれないです。ただ、それは僕だけじゃなくて、大なり小なりみなさんの中で存在しているもので。もちろん僕の半生を描いたような物語でもありつつ、でもみなさんにとってもきっとこういう経験あるんじゃないかなって思って、つづった物語たちです。少しでもみなさんの「ひとり」という心に贈り物をというか、ひとりになったときに帰れる場所を提供できたらいいなというふうに思ってこの『GIFT』を作りました。」
AERA dot.羽生結弦さん「ちっぽけな人間であったとしても」初のドームで感じた手応え【一問一答全文】

とお話しされていたようですが、誰かに何かをしてほしいときってまずは自らがお手本にならないとだめだよみたいな教えがよくあるじゃないですか。なんだかそれを感じたんですよね。私たちが干からびたときに、ひとりになったときに帰れる場所を作ってくれた羽生さんだけど、きっとそれって羽生さん自身にも当てはまることなんじゃないかと思っていて。
この物語を通して自分自身の心を開示して、ひとりの自分だったり、表向きの自分(羽生さんの言葉を借りるならば、ユング心理学のペルソナ)や、見て見ぬふりをしてしまった自分(前述の対比としてはシャドウ)をいろんな自分を認めてあげることによって歩みを止めない、大事なものを忘れずに心に抱いて生きていこう(疲れた時はこの時間を思い出してね)ってメッセージを体現してくれてるんじゃないかなあって。
ユング心理学についてもいろいろ本を引っ張り出してちょっとだけお勉強してみました。話すと長くなりそうなので、今日は割愛します。後日追記もしくは別記事で書いてみようかな。

彼こそがフィギュアスケート

一番最後に水平線で温かく熱いメッセージをくれた羽生さんがGIFTの中で一番忘れられない姿になりました。感情がこみ上げ、涙をこらえながら「スケートが好きでよかった…!」と声に出してすぐに大きく力強く雄弁に滑り出した羽生さん。
プロローグで感情がこみ上げてアハハハ!と大きい声で笑う羽生さんを見たときに「この人は感情が制御不能になると笑っちゃう人か~」という認識をしたのですが、訂正します。羽生さん、それ以上に感情が制御不能になるとスケート滑り出すようです。すごい。
目は口ほどにものを言うなんて言葉があるけど、スケートは口ほどにものを言うって感じだったなあ。
GIFT前半パートで「好きなものもあった、大好きなものもあった、僕はその大好きなものになりたかった」という語りがあって、私はその大好きなものってフィギュアスケートとか4A(アクセルジャンプ)とかいろんな考えができるなあって思っているのだけど、もしそれがフィギュアスケートなのだとしたら羽生さん、もうあなたはフィギュアスケートになってるよって感じました。自分自身を解放したり、何かを表現する最適の手段が羽生さんにとってはフィギュアスケートなんだなあと思うと同時に、それはもう羽生さんがフィギュアスケートなんだよ……となんとも言えない、心がぎゅっとした気持ちになった瞬間でした。

令和の226事件だったのかもしれない

結局のところ言いたいことの半分も言えていないのですが、文字数がとんでもないことになってしまったので仕方なく結びの言葉を考えようかなというところにきました。第一印象を少しだけ深堀りして全体の感想をとりあえず述べたみたいに受け取ってもらえれば嬉しいです。
全体として、演出や構成、音楽、いろいろなものが緻密に計算された中に羽生さんの演技(スケートの演技、ナレーションの演技どちらも。演技力がすごかった。)が上手く溶け込んだからこその没入感、大成功だったのかなと思います。何度でも何回でも反芻して咀嚼して考えて世界観に浸っていたくなる公演。何度も足を運んだ東京ドームでのアイスショーの概念を超えた、誰も見たことがないエンターテインメント空間でした。
今までの人生で様々な素晴らしい現場を経験したけれど、それらとはまた違う何かというか、スケールの大きさや史上初の試みとか内面的な自己対話を壮大な演出でやってるところとか、関わってる人の豪華さなどを考えると1週間経過した今でも「私は何を見たんだろう…?」と不思議な気持ちになります。これはまさに令和の226事件なのかもしれないです。(?)新しいエンタメの形、新しいフィギュアスケートの形、新しいアイスショーの形を羽生さんが作り出したのかもしれない。すごい歴史の目撃者になった気分です。
まだまだ話したいことがあったり、肝心な演技のお話とか、いろんなことを考えたいです。私ホプレガが大好きでホプレガやってくれ~!ってずっと思っていたので嬉しかった気持ちを残しておきたいし、プロローグに行けなくて悲しくて悔しかった気持ちが浄化した話もしたいし、東京ドームが燃えるとめちゃくちゃ嬉しい私の興奮具合も残しておきたい(KAT-TUN 炎でレッツGoogle検索!)。
12日までしか配信期間が無いのがもどかしい。時間を有効に使ってまだまだ思い出に浸りたいです。そして一生浸っていたいので永住権という名の円盤化を何卒宜しくお願い申し上げます。(大事なことなので2回言います)
とりあえず今日のところ終わり!

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