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相手の「良いところ」は沢山思いつかなくても大丈夫!


こんにちは! こしあんです。

あなたも好きな芸能人やアイドル、恋人などの「どこが好きなの?」と聞かれれば、たくさん好きなところを思いつくかもしれません。
しかし、その理由を考えたとき、私たちは間違った判断を下すことがあります。
その事が”思い出しやすい”のか、”そうでない”のかで好きな人や物に対しての印象が変わってしまうことがあるんです。

今回は、私たちが判断するときに影響を受けている「利用可能性ヒューリスティック」と呼ばれるバイアスのお話です。


【幸せなのはどっち?】

あなたは家族や友人、恋人などの「良いところ」をいくつぐらい言えるでしょうか。
スラスラと出てくる人もいれば、時間をかけて捻りだす人もいるかもしれません(笑)
私たちはその理由を考えるとき、簡単に思いついたり、難しかったりすることでその人の評価が変わってしまうことがあります。

たとえばこんな研究があります。
6名の友人が実験に参加しています。
6名からランダムに選んだ3名の友人にそれぞれの恋愛相手を好きな理由を3つあげてもらいます。

また別の3名には同じことについて9つの理由をあげてもらいます。
その後、両方の友人に「あなたは、あなたの恋愛関係についてどの程度満足していますか?」と質問します。

実験の結果、3つ理由をあげたグループのほうが、9つの理由をあげたグループより、恋愛相手、相手との関係についてより幸福感を報告しています。
たくさん理由をあげられる方が相手のことをよく理解し、より良い関係にあるように感じられますが、どうやら違うようです。

研究者たちは、9つも良いところをあげるように言われた人たちは、3つあげるように言われた人たちよりも苦労したため、「もしかして、自分の相手は思っていたほど素晴らしい相手ではないのかもしれない」という考えに行き着き、幸福感が下がったと考えています。

私たちはこのように、理由を探した時、その理由が”見つけやすいものなの”か、”見つけにくいもの”かで判断が変わってきます。
今までの経験や知識をもとに、簡単なやり方を用いて大まかに確率判断をするのがこのヒューリスティックです。

ヒューリスティックとは、人が判断や意思決定をする際、無意識に使っている法則や手掛かり、経験則のことです。
この問題解決は大体成功しますが、間違うこともあります。
これをヒューリスティックのバイアスと呼んでいます。

このバイアスに利用可能性ヒューリスティックというものがあり、これは思い出しやすい情報が起こる確率を過大評価するバイアスのことを言います。

別の言い方をすれば、良いところをすぐに思い出せるということは、多くの実例が利用可能であり、さらにもう少し努力すればもっと多くの良いところを思い出せると考えます。
逆に、良いところが思い出せない時は、利用可能性が低いということになり、それ以上努力しても思い出せる実例はほとんどないと考えます。

このような判断は、日常的に行われているのであまり気にすることはありませんが、その判断が「正しいかどうか」を考えることはあまりありません。


【利用可能性ヒューリスティックの影響】

社会心理学者のツベルスキーとカーネマンが行なった実験があります。
被験者に「ロシアの小説家の名前を何人あげることができますか」、「花の名前をいくつあげることができますか」と質問します。

このとき、被験者に要求されたのは
・”これらのものをいくつくらいあげられると思うか”を予め見積もること
・実際にそれらを列挙すること
の二つです。
実験結果から、被験者が見積もった数と、実際に列挙することが出来た数はかなり相関していたことがわかりました。
カーネマンたちによれば、被験者が頻度を見積もるときに、そのカテゴリーの実例がいくつ思い出せるか、少しの間考えてみたのではないかと考えています。

つまり、「ロシアの小説家」をひとりも知らなければ、思い出すことがそもそもできませんよね。
そのため利用可能な情報はほとんどありません。
なので、さらに時間を与えられても実例はあげられないと考え、見積もりは少なくなります。

一方、花の名前の場合、バラや菊といった花をすぐに思いついたりします。
このとき、私たちは花の名前を予め見積もることを求められていますが、ほとんどの人は「どれくらい思いつくかな?」と考えるより先に花の名前を思い出したのではないでしょうか。
その時に多くの実例を思い出せたのなら、もっと時間をかければ多くの花の名前をあがられそうだと考え、見積もりは大きくなります。

つまり、私たちはすぐに利用可能である情報がどれだけあるかをもとにして、全体としてどれくらいの頻度でその現象が起こるかを見積もっているわけです。
「どれくらいできるだろう?」と考えるとき、必ずあなたの経験や知識をもとに計算しているとも言えます。

ちょっと難しく感じるかもしれませんが、すぐに多くの情報を引き出したり、思い出したりすることが出来ると、私たちはそのことについて大きく見積もります。
逆に、少ししか思い出せないのなら、その頻度を低く見積もります。
そして、その判断が正しいかどうか考えることはせず、ときどき間違うというわけです。

しかし、私たちはこのように利用可能性ヒューリスティックを使ってかなり正確に生起頻度を見積もることができると言われています。
心理学者E.BゼックスミスタとJ.E.ジョンソンは「使う事は何も悪いことではない」と認めていますが、問題は利用可能性ヒューリスティックを使うことで、誤った結論が出る場合があるということです。

ここで利用可能性ヒューリスティックが私たちを惑わす問題を紹介します。
下位のペアのうち、毎年アメリカでは(a)と(b)のどちらで死亡する人の数が多いか?正しいものを選んでください。

1、(a)殺人 (b)糖尿病
2、(a)殺人 (b)自殺
3、(a)自動車事故 (b)腹部の癌

多くの人が1については(b)糖尿病を選びます。
2、3については(a)を選びます。

しかし、正解はすべて(b)です。

多くの人が1は正解を選びますが、残りの2つは不正解になりやすいことがわかっています。

たとえば、自殺よりも殺人による死亡が、他のモノより簡単に意識にのぼっていきたら、最初に意識にのぼってきた方をより頻繁に起こると推測する傾向にあります。
しかも、殺人などはよくニュースで報道されることもあり、注目を集めます。

自動車事故も同じように衝撃的なことなので注目を集めますが、腹部の癌というのは、沢山ある癌の種類の1つであるし、よくある死因の1つであるため話題にのぼることがあまりありません。
つまり、意識にのぼりやすいものはより頻繁に起こると誤って推測されるわけです。

私たちは、出来事の生起確率を判断するとき、利用可能性ヒューリスティックを使います。
これは自然に行われるため避けることはできないかもしれません。
そのため、自分の利用可能な情報に偏りがないか注意する必要があります。
人や物を判断するとき、すぐに思い出される情報で判断すると誤った決断をする場合もあります。

私たちは人を判断するとき、本当は良い人でもあまり目立つことがないため、よく知らないために自分の中の評価が低かったり、人を見て態度をコロコロ変えるような人のことも、直前にちょっと良いことをされると「あまり良い噂は聞かないけど、いい人なのかも?」と判断してしまいます。

なので、たとえ恋愛相手の良いところをたくさん思い出せなくても、相手はとても素晴らしい人物なのかもしれませんね(笑)


今回はここまで

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それではまた次回お会いしましょう。



※この記事は主に私の参考にした資料(主に読んだ本)をもとに考察したもので、私の主観が多分に含まれています。
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