販路開拓における「展示」のタイプおよびメリット・デメリット:①見本市

モノづくりのビジネスを行なっていく上で「販路開拓」のフェーズは、実際に作った商品・サービス等を具体的に顧客に届くルートを作るという意味でとても重要である。ある意味「イグジット」とも言い換えられるかもしれない。

現状、様々な「販路開拓」の手法として人が多く集まる「展示会」等に出展するといったことが一般的に多く行われているが、企業の規模やビジネスのステージによって「展示」の手法を適切に使い分けることで、予算や自社の状況に合わせた成果を積み上げていけるので、使い分けることが重要である。様々なやり方があると思われるが、これまで経験した中で考えられるタイプを整理してみた。
※あくまで現時点での知見に基づく主観です

①(大規模な)見本市
まずはこちら。日本で言えば東京ビッグサイトで行われているような見本市に出展する。これが最もポピュラーだろう。
世界各地でも様々な見本市が開催されていて、ここから検索できる。→ https://www.jetro.go.jp/j-messe/
大規模なものはパリの「メゾン・エ・オブジェ」、フランクフルトの「アンビエンテ」、ミラノの「サローネ・デル・モービレ」などが一般にも有名だが、その他にも業界ごとに様々な展示会が開催されている。見本市での商談に基づいて業界全体のビジネススケジュールが組まれていることも多く、極めて重要な存在である。

【メリット】
・(認知度が高い見本市は)多種多様なバイヤー・卸売などの人が多数訪れるため、思わぬ出会いなどが期待できる
・基本は商談の場であるため、受注などがその場で決まる
・他の出展社等との出会いもあるため、コラボレーション等に繋がる
・他の展示ブースなどを回ることで世の中のトレンドを知ることができる
・「バイヤーズチョイス」等のような賞を受賞すれば一気に知名度が上がる
・購入した空間面積をある程度自由に使えるため、独自の世界観の空間を構築できる

【デメリット】
・事前にPRを徹底的に行ない、既存取引先等へアピールしておく、あるいはメディア等への事前露出を行なっておかないと、多数の展示ブースの中で埋もれてしまい、多数の人にスルーされるだけの時間を過ごすことになる
・有象無象の人たちも訪れるため、権利関係等の防御面をしっかりしておかないと意匠・商標・技術面等で競合等に盗まれてしまう
・空間演出を自分で行なう必要があるため、多額の費用を要する。
・展示会終了後は展示ブースを壊した後等のゴミがすさまじく発生する
・(特に外国で実施した場合は)あくまで展示会期間(+α)だけしか滞在しない(=存在しない)ため、現地における販売パートナー等がいない限り、継続フォローや認知の向上は難しい。
・上記同様の理由(滞在期間が現地)のため、現地のリアルな市場状況等を感じられない

<成功のポイント>
■事前準備がなによりも最重要

・取引先・ターゲット層およびメディアにおける事前のプロモーション
・レセプション、展示ブース等を組み合わせた「体験提供」の仕込み
 ※レセプションは単なる「打ち上げ」「前祝い」ではなく、世界観を感じてもらい、メディアやバイヤー等にファンになってもらうための重要な場
・(外国の場合は特に)事前の現地における販売パートナーの確保

■(継続的に)多額の費用の準備が必要
・レセプション、展示ブース、PRなど、全てに高額の費用が必要となる。
・1回の出展での「まぐれ当たり」を狙うのは宝くじのようなもの。継続して出展し続けること、露出し続けることが必要で、そのためには当然ながら人件費も含めて費用はかかる。

その②に続く

※8月8日「展示会」を「見本市」に修正しました

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