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大三島で考えた、コーディネーターに求められる要素、そして地域側の要素

今週は月曜から瀬戸内の大三島に行ってきた。
今回のメインの目的は、この島にどのようにして海外から人が訪問してもらえるようにできるか、その上でどのような地域の未来を描いていくのかという事業の一環で、アドバイザーとして訪問した。

この島は、「神の島」とも呼ばれ、瀬戸内海でもかなり重要な位置づけとされる。僕自身も今回が初めての訪問だったので、地域の皆さんと議論するためにも、早めに行って島を巡ってきた。

大三島に行くには、関西からだと新幹線で福山へ行き、そこからバスに乗って大三島BS(バスストップ)に行くという流れになる。BSを降りてすぐに道の駅があり、そこでレンタサイクルができる。

道の駅からの多々羅大橋の眺め

と聞くとスムーズなように思うが、まず福山駅からどのバスに乗ったら良いのかマジでわかりにくかった。「今治行き」に乗るということ、そしてそれがどこから乗れば良いのか、チケットもどうやって買ったら良いのか、インフォメーションもクローズしているので、誰に聞いたら良いのかもわからなかった。日本語の情報だけでもかなり不安になるのに、さらに英語は無かったので、これは外国人にはキツい。
もう一つハードルが高いのが、現金でしか支払えないということ。大三島まで福山駅からは2千円なのだが、これを現金で降りるときに支払うことになる。そのへんのアナウンスも運転手さん(優しい)の日本語のみ。
これはしまなみ海道には、このあたりの情報などが英語でも十分に揃っている尾道から行くことになるなぁと思ってしまった。もったいない。

自転車をレンタル(1日3,000円、17時まで。ちょい高いし時間が微妙。晩ごはん食べられないやん。あとスマホホルダー欲しい)し、伊予国一ノ宮であり、日本総鎮守の大山祇(オオヤマヅミ)神社へ向かった。大山祇神社は、イザナギとイザナミの子でアマテラスの兄神に当たる山の神。もとは大山積神社と書いたらしい。詳しくはこちら

仁王が古代風だった総門

2600年前に植えられたとされる御神木を始め、圧倒的に地の力が満ちていることを感じた。背後にある鷲ヶ頭山が御神体であるそうで、まさに神奈備の要素が詰まっている。これだけの美しい海が目の前にあり、切り立った美しい山なのだから。

2600年の樹齢という御神木


神社の宝物館に行くと、まずその入場料の高さ(1000円)におののく。思い切って1000円払って中に入ると、国宝と重要文化財のオンパレード。そしてその大半が刀剣や鎧など。それらは古代から、天皇家や武家などから寄進されてきたものということで、とんでもない展示物たちだった。
入口でこれらの展示されているものの紹介がもっとあったら良いのだが、もったいなかった。あと、展示物の横にもう少し日本語・英語で説明は欲しい・・・照明の当て方も含めて、展示の仕方を変えるだけで素晴らしいものになると感じた。

そして、肝心なところなのだが、なぜそれだけ寄進を受けてきたのかということが、「古来から武家の信仰が篤く」くらいの説明しかないところだ。色んな歴史のいわれもあるだろうが、個人的には、大三島および鷲ヶ頭山の地政学的な要素に依るのではないだろうかと考えた。大三島は瀬戸内海における中心的な要の位置にある。海上物流の要ということだ。そして鷲ヶ頭山は海上全体を見渡せる高さがある。つまり、大三島のここを抑えているということは、瀬戸内の海上物流を抑えているぞ、ということの象徴だったのではないだろうか。だからこそ、大山祇神社を篤く信仰し、寄進することが、正統性を示すことにつながったのではないかと考えられる。

このあたりはあくまで個人的な意見ではあるが、こういった意見を地元の人たちに示した上で、「大三島を世界の人が訪問すべき理由(しかも圧倒的に)」を考えていきましょう、というと、皆さんからどんどんアイデアが出てきた。「そう言われてみれば」ということがたくさんあった。

コーディネーターとして、色んな人を案内し、学びや深い交流に繋げていくプログラムを企画する際には、このような独自性を踏まえた設計をしていくことが求められる。ないものは作れない。あるものの見方を変え、独自の価値に変えていくためには、自分ならではの視点で意見を持つということが最初の第一歩であると言える。

すぐに「これは合っているのか?」という優等生的な考えに支配されがちだが、自分の意見や視点に「合っている」もなにもない。意見を持ち、議論していけるベースを持つことが、実は深い交流・学び合いには不可欠だと思う。

あと、やはり地域のインフラとかホンマに大事。色んなところでストレスがかかるとそれだけでしんどくなるし、理解も浅くなる。スムーズな旅ができるような視点を常に持ってシステムと考えをアップデートし続けること、そしてしっかりと価値を伝える説明が整っていること。これは最低限のところだと思う。

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