宇宙の元旦という節目
2023年3月21日は、宇宙的に年明けなのだそうです。
私はそれほど占星術に詳しい訳ではないのですが、240年振りに変化のある天体やらとにかく始まり感がすごい星の配置だったり、漢字が五文字くらいのすごい日だったり、まぁとにかく超いい日だったのだそうです。
始まるということは、その前のものが終わるということ。
なんの偶然かわからないが、一緒に旅行をしている友人の一人は若い頃から使っている時計が止まり、もう一人は靴が壊れ、私は高校の頃から使っていたブラシが折れた。
特に髪を絡ませたわけでも強く引っ張ったわけでもない。普通に髪をとかしていたら、ボキッと折れてしまったのだ。
時計、靴、ブラシが終わった。
宇宙の何かが終わった。
さよなら宇宙。
こんにちは宇宙。
新しいブラシを買った。
よく考えたら、前のブラシを使っていた年月の長さがエグい。ちょっと震える。新しいブラシも同じように長く使うとしたら、ブラシよりも先に私の寿命が尽きる気がする。
テレビでもこみちが「タージャーハオ」と挨拶していたので、私もタクシーに乗り込む時に「タージャーハオ!」と挨拶した。後で意味を調べたら、タージャーハオは
「皆さん、こんにちは!」
の意味だった。私はタクシーの運ちゃんに元気よく「皆さんこんにちは!」と挨拶していた。
こちらでは「情」という漢字が入っていたら、たいていはアダルトな意味が含まれているのだが、大通り沿いのAppleショップとおしゃれなカフェの間に「〇〇情〇〇」と書かれた看板があり、不思議に思っていた。なぜなら、看板にはサンリオっぽいかわいいペンギンの絵が描かれており、とてもハイテクな雰囲気の店構えは、一見アキバ系ハイテク可愛い電化製品が売っている店に見えたのだ。
ある日、私はその店のショウウィンドウに並ぶグッズをしげしげと眺めた。それは、耳に付けるハイテクな通信機に見えた。とても滑らかにカーブしていて、身体工学に基づいた設計がされているように見えた。
「こちらおぬき、どうぞ」
それを耳につけて誰かとやり取りする自分を想像する。
その商品の横にはもう少し大きな機器が展示されていた。あれ?この形…? どこかで見た事のある形だった。でもどこで見たんだろう?
さらにその横の商品を眺める。
そこには、完全に大人の玩具のフォルムのそれが展示されていた。黄緑色の蛍光色だった。暗闇でも薄っすら光る。
ずいぶん長いこと店の前の商品を眺めてしまった。お店の店員さんは私から目を逸らした。
いえいえ、違うんです。
これ、最新の通信機器ですよね?
みたいな顔をして、私はその場を離れた。
やっぱり、情という漢字にはアダルトな意味が含まれているのだと確信した私の宇宙元旦だった。
おわり
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