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ツールと人の共存

私たちの日常生活や仕事の進め方は、昔ながらの手法と最新の技術が融合しています。便利なツールやアプリケーションが手の届くところにあり、これらは作業の効率を向上させ、私たちの生活を豊かにしてくれます。日々の作業がスムーズに進むようになったのは、確かに技術の恩恵のおかげです。

しかし、ツールや技術の真の価値は、それらをどのように活用するかにあります。ツール自体は、単なる道具にすぎません。大切なのは、それを使う私たちのやる気や意欲、そして周囲の環境です。

例えば私の仕事では、有用なツールの提供を心がけていますが、これらを最大限に活かすためには、人々自身の成長が必要であると痛感しています。
この点を象徴する事例として、私の職場で私が開発したツールを導入した経験があります。そのツールについて簡単に説明すると、複数の部署の当日の生産予定を自動整理して一枚の紙にまとめるシステムです。これまでの方法では、各部署ごとに異なるフォーマットで生産予定を印刷していました。

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イメージできるように補足すると、A、B、Cはそれぞれ異なる部署で作成されている文書で、各部署は自分たちに必要な情報を記載していますが、他部署の私たちには関係のない内容も含まれています。そこで、自分たちに必要な情報だけを抽出し、1枚の文書にまとめることを考えたというわけです。
ちなみに、私の手がけたものは疑似生産管理板というもので、その日の作業量と進捗状況を可視化するシステムです。このおかげで、チームメイトの作業ミスが大幅に減少しましたし、何より情報共有の重要性への意識が高まり、皆で共有しよう!といった変が大きかったですね。

話を戻すと、実際にこのツールを導入した当初、すぐには期待通りの結果が得られませんでした。よくよく観察してみると、新しいツールを使わずに従来の方法を続ける人がいる一方で、積極的にツールを活用している人もいました。
この違いに気づいたため、私はツールを使用していない人々を説得しようと何度も努力しましたが、彼らは「昔ながらのやり方が快適だから」という理由で新しいシステムに適応できないとのことでした。

この経験から、ツールは手段に過ぎず、本質的な目的を達成するための一助であることを理解しました。そのツールをどのように使うかは、個人の意欲や能動性によって決まるのです。たとえ最も進んだテクノロジーを手にしても、それを活かす意欲がなければ、その機能は十分に生かされることはありません。逆に、限られたリソースやツールでも、使い手の意欲があれば、予想以上の成果を生み出すことができるのです。
私の経験から言うと、新しいツールやシステムを導入する際には、それを受け入れる人々の心構えや環境が非常に重要です。彼らの受け入れ態度や学習意欲によって、導入の成否が大きく左右されます。新しいシステムへの移行は、単に技術的な問題ではなく、文化的、心理的な問題でもあります。従来のやり方に慣れた人々にとって、新しいツールやプロセスへの適応は、大きな挑戦となることが多いのです。

だからこそ、人々が新しいツールやシステムを受け入れ、最大限に活用できるように、その意欲を育て、適切な環境を提供することが必要です。これは、技術提供以上の取り組みが求められるプロセスです。技術的な側面だけでなく、人間的な側面にも焦点を当てることで、真の変化を実現できます。

現代社会では、便利さを追求する中で、時には本質を見失うことがあります。しかし、技術の進化は、新しいツールを手に入れること以上の意味を持ち、それをどう受け入れ、活用してより良い成果を生み出すかが重要です。忘れてはならないのは、技術の真価は、それを使う人々の手によって形作られるという事実です。


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