パソコン
この小さな箱の中には得体の知れないものが住んでいるのかもしれない。いまやこの箱一つで何でもできてしまう。
不思議な箱の中にはいったい何が存在しているのだろうか。
私はそれを覗いてみたくなった。
中に入ってみると薄暗い中でカリカリと音を立てているものがいた。
この小さな箱にすむ住民だった。私は彼に話を聞いた。
「どうしてこんな小さな箱の中で暮らしてるのさ?」
「ここも君たちの住む村や町と一緒さ。僕は市役所の役人。色々なデータを管理しているんだ」
「不自由はないのかい?」
「もう慣れてしまったさ。この町に住むみんなも仲がよくて協力してる」
そうか。この小さな箱の中も我々の住む街と一緒だったんだ。役場があって、そこに住む地域住民。みんな、同じように生きている。電源が入っていないときは眠ったり、休んだりしている。起きているときはひたすら仕事をする。私たちと同じなんだと実感して、私は戻ってきた。
私たちが生きているように彼らも生きているのだ。
大切に扱おうという気持ちを強く持って今、私はパソコンの前に座っている。
‐完‐
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