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勝手にコンサル。農協(組織編)

どうも、元農協職員です。
私は2023年に中小企業診断士資格を取得し、農協を退職しました。
そこで、私が約15年在籍した農協を勝手にコンサルしていきたいと思います。(与件文は特定されないように一部変えてあります)すべての農協に当てはまる事案ではありませんのでご承知おきください。また、私自身1年目の診断士で実務補習も受けていない身分ですので、二次試験の要領で診断していきます。学習したことを忘れないようにという意味合いも兼ねて診断していきたいと思います。

では、A農協を二次試験の事例Ⅰ風にまとめ、診断してみましたので、皆様も考えながら読み進めて見て下さい。

与件文

(組織概要)
 A農協はB市を管内とする出資金3000万円、従業員数100名の総合農協である。A農協の事業内容は、①農産物等の販売事業 ②肥料農薬等の購買事業 ③金融事業 ④共済事業 の4つであり、各事業部ごとに運営する事業部制組織を採用している。
 部門ごとの収益構造は、金融・共済事業は黒字となっているが、農業事業は赤字となっており、金融・共済事業の収益で農業事業の運営を行っているという実態である。また、A農協の顧客は60~80代の高齢者層がメインであり、特に山間地域の住民には地域のインフラ機能としてA農協がなくてはならない存在である。メガバンクや地銀・信用金庫など他行にはない「従業員と利用者の距離」が魅力的で、かつ全国的な「農協ブランド」により、地域住民からの信頼も厚い。
 A農協の従業員は、ほぼ全てがB市内の若年層を新卒採用している。「地元に貢献したい」「地域のインフラとして役に立ちたい」というのが入社の動機である。
 異動については伝統的に5年以内のジョブローテーションを行い、各事業を一通り経験するようになっており、農業から金融、共済など幅広い知識を持つように人事異動を進めてきた。しかしながら、他部門への異動は業務内容の共通性が無いため従業員の負担が大きくモラール低下にも繋がっている。利用者からも「専門知識のある従業員がいない」「気軽に話せる従業員が数年でいなくなってしまう」など不満の声も度々聞かれる。また、採用段階では新入社員の希望職種を聞いているが、実際には農業系学校の経験者が金融・共済部門に配属されることもあり、不満を抱える若手従業員も少なくない。
 もう一つの問題は、共済事業の営業(以下、LA)である。LA職は、B市管内の顧客へJA共済を販売する職種であり、保険の知識が少ない顧客に訪問することで顧客の知識向上とファイナンシャルプランニングをする職種であり、一部の従業員はやりがいを持って活動している。しかし、営業職のため、営業目標がある事や「保険営業=大変」という世間的なイメージもあってか、やりたがる従業員が少なく、ジョブローテーションによりLAを任命すると退職する従業員も少なくない。特に女性従業員がLAになった場合の離職率が極めて高い傾向にある。経営者もこの事実を認識しているが、共済事業の収益がA農協の収益を支えており、LAの人数を減らすと組織全体の収益が悪化することになりかねないので、LAの人数は維持したいという方針である。
 近年、マイナス金利の影響や少子高齢化などの影響もあり、A農協の金融・共済事業の収益は減少傾向にある。また、農協に対する世間的な風当りが増しているが、農業の魅力が再認識され若手就農者がやや増加傾向になっていることから、農協の存在意義に期待されていることも確かだ。そのため、経営者は今以上に「農業」を主軸とする組織体制を強化したいと考えている。
 このような状況を打開するため、経営者は中小企業診断士に今後の組織体制について相談を行った。

SWOT分析

強み(S)
①山間地域の住民には地域のインフラ機能としてA農協がなくてはならない存在
②「従業員と利用者の距離」が魅力的で、かつ全国的な「農協ブランド」により、地域住民からの信頼も厚い
③地域から入社希望の若者が集まる
④LAにやりがいのある従業員の存在

弱み(W)
①農業事業は赤字
②他部門への異動により従業員の負担が大きくモラール低下になっている。
③利用者から不満の声。
④LA職をやりたがる従業員が少なく、離職率が高い
⑤金融・共済事業の収益は減少傾向
⑥希望職種に就けない新入社員がいる

機会(O)
①農業の魅力が再認識され、農協の存在意義に期待されている

脅威(T)
①農協に対する世間的な風当り
②マイナス金利の影響や少子高齢化などの影響

課題

 強みを活かすために、「弱みを克服すること」が課題(=あるべき姿)と考えられる。
具体的には、
 ①利用者の満足度が高い人材配置
 ②異動による従業員負担を軽減し、モラール向上を図る
 ③LA職のイメージ向上と定着率の向上
 ④LA希望従業員の増加を図る

対応策

 ①部門間の異動を極力減少させ、専門性を向上させる。また、異動希望を聞き、本人の意向に沿ったジョブローテーションを実施する。効果として、(1)異動による従業員負担の減少および専門知識の醸成が図られる。
(2)専門知識の高い従業員が増加することで、利用者満足度が向上する。
(3)希望部署への配置によりモラール向上が期待される。
 ②各事業部ごとに採用人数を確定し、採用段階で各事業部の人数を確保する。これにより、農業系学校の経験者を農業部門に配置することが可能となり、専門能力の向上が期待される。また、LA希望者も採用段階で把握可能となり、意図せぬLA業務へ配置されることが減少する。
 ③保険営業経験者や希望者を中途採用することで、LAの人数確保を行う。中途採用することで、外部のノウハウを早期獲得することができ、A農協の共済業務の事業拡大が期待される。


うーーーん、まだ対応策が薄い気がします・・・。
だんだんと経験を積んでもっと濃い内容の提案ができるようにしたいですね(^^;


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