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詩とか俳句とか

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#俳句鑑賞

匂ひ鳥

ころがれる筆に影あり匂ひ鳥 / 八田木枯

「匂ひ鳥」は鶯の異名だそうで。

転がった筆。

筆、としかないけれど。絵筆か?

それとも、紅筆か。

なぜ、転がったのだろうか?そこに、人影があるとしたら。

誰と、誰なのか?

何をしているのか?

なんとも、艶めいた雰囲気を漂わせているのは、「鶯」でもなく「春告鳥」でもなく、「匂ひ鳥」だから。

この、ことばの選び方ひとつで雰囲気が変わるのが、面

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飛び立つ希望

飛び立つ希望

いつもかすかな鳥のかたちをして氷る / 対馬康子

(NHK俳句1月2週目)

氷の中には鳥がいて。

わずかでも溶けてきさえすれば、少しずつ動き出す。

中の鳥は、こころの芯とか、核となるところ。美しさ、情熱、真実。

もうダメかも、とか。今は先が見えない、とか。

こころが冷たくなるような現状があっても、まんなかのいちばん大切なところはきっと、氷が溶けたら羽ばたき、空へ、光へ飛び立つのだ。

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