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日本製鉄・日立の地政学パズル 

 日本企業がグローバルに展開するための新しい方法を模索している中で注目されているのは、日米合弁企業「PRO-TEC」の事例です。この会社は、神戸製鋼所とUS Steel Corporationの出資により1990年に設立され、現在は高張力鋼板を生産しています。PRO-TECは日本とアメリカの協力により生まれた「Win-Win」の企業協力事例とされています。

30年以上の歴史の中で、鉄鋼業界の主導権は中国やインドに移り、US SteelやPRO-TECも変化の波に巻き込まれました。しかし、最近、日本の新日鉄がUS Steelを買収する計画が発表され、米国が「親日」の姿勢を見せています。

  1. 「自律分散型」のグローバル経営

これは、特定の国や地域に依存しない、自律的な経営を行うことです。これにより、地政学や経済情勢の変化によるリスクを分散させ、事業の継続性を高めることができます。

日立製作所は、世界を北米、欧州、中国、アジア、日本の5つの市場に分け、各地域で自律的な事業運営を進めています。また、トヨタ自動車は、中国、米国、欧州、アジアの4つの地域を重点市場とし、各地域で強固な経営基盤を構築しています。

  1. 「戦略的パートナーシップ」の活用

これは、他社との連携や協力を強化することで、グローバル競争力を高めることです。これにより、単独では実現できない規模や技術力を獲得することができます。

新日鉄は、米国最大の鉄鋼会社であるUSスチールの買収を発表しました。これは、中国の宝武鋼鉄集団に対抗するため、米国の生産能力と技術を獲得する狙いがあるとされています。
日米間では大企業同士の連携が進み、自動車分野や半導体分野などで協力関係が築かれています。これは、日米が中国から切り離されたハイテクサプライチェーンを構築するための取り組みの一環と見られています。

特に鉄鋼分野では、新日鉄がUS Steelを買収することで、両社が連携して中国やインド企業と競争し、日米の最先端鉄鋼知的財産権を守る狙いがあるとされています。

また、ホンダとゼネラルモーターズは、電気自動車の分野で合弁会社を設立しました。これは、両社が持つ技術やノウハウを融合することで、電気自動車市場での競争力を高める狙いがあります。

今後、日本企業は、これらの新たなグローバル戦略を積極的に活用していくことが求められます

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