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音と生きる #1 「自分の作品を言語化するということ」

こんにちは、coricoです。
現在、Youtubeに自分の音楽作品を投稿しようとしているところです。
そこで一番悩むのが動画の概要欄!
この曲はいったい何を表現しているのか、その表現をするためにどういった手法を用いられているのか、どういう意図でその音色を選んだのか・・・

ええい!!考えるな!!!感じろ!!!いいから聞けーーー!!!!!

と、全てを受け手にぶん投げたい気持ちをまずは鎮めます。
音楽にしろ絵にしろ、創作した作品を公開するということはそれを受け取る人がいて初めて成立するものだと思うので、伝える手段が多ければ多いほど作者と受け手のギャップがなくなるはず。
ただ絵と音楽の決定的な違いは、絵は視覚的に受け手に届くので伝わるまでのレスポンスが早いということ。
一方音楽は時間を切り取る芸術なので、ほんの数秒で動画を閉じられてしまっては作品の全てを伝え切れずに途絶えてしまう。
ここ数年間の音楽同人界隈の宣伝方法を見ていると、やはり動画ありきになってきてるなぁと実感します。(以前は音声のみの投稿が多かったと思います)
まずは視覚的に曲のイメージを伝えてから音楽を聞いてもらうという手法です。
そして最後のひと押しは「言葉で音楽を伝える」ということ。

私の動画を例に出すと・・・

こちらの動画、ぱっと見の情報では「日の出の画像だな」「タイトルは奔馬か」「和風の曲なのかな?」と2〜3個ほどイメージできると思います。
ただこれだけの情報だと「日の出を背に暴れ馬が走っていくような曲?」といった実際の作品のイメージとのギャップが生まれます。

そして私がSNSや動画に書いた概要がこちら↓

「正に刀を腹へ突き立てた瞬間、日輪は瞼の裏に赫奕と昇った。」
三島由紀夫作・豊饒の海より第二巻の主人公、飯沼勲をテーマに作った曲です。
大河のOPっぽいイメージを目指して駆け抜けるようなオーケストラに仕上げました。

この説明文を添えることにより、

・題材があるということ(本を読んだ人にはより深く伝わるかもしれない)
・大河ドラマのオープニング風(大まかな曲の雰囲気)
・駆け抜けるようなオーケストラ(テンポ感、楽器編成)

という3つの情報がプラスされて、聞く前から曲の解像度がぐっと上がったと思います。
このワンクッションは結構大切で、「いったい自分はこれから何を聞かされるんだろう」という受け手の構えた心に「大丈夫だよ〜こわくないよ〜」と伝えることにより安心して作品を聞いてもらおうという作戦です。
クラシックコンサート等で曲間に司会の解説が入るとお客さんがより集中して作品を聞けるのも、これがどういった音楽でいつどこで誰が作った作品なのか、言葉で音楽の解像度を上げている効果だと思います。

見えないものを言葉で伝えることはとても難しいです。
作品から受け取るイメージは個々に違っていて、好き嫌いも感想も人それぞれです。
ただ聞いてもらうために作品を発表している以上は、創作者である私が伝える努力を怠ってはいけないなと思います。

ということで、投稿した作品とちょっとした解説を添えて締めたいと思います!

「ホシノネ」
―― 眠る機械の町、星たちが降り注ぐ ――
スチームパンクの世界観をテーマに作ったオリジナル曲です。(ジャンル的にはEDMっぽい要素も入っている綺麗目のエレクトロニカです)

こちらの曲は「スチームパンクの世界観をイメージした曲を作ろう!」という思い付きから制作がスタートしました。
冒頭にオルゴールの音色を用いたのも、精密なからくりで出来たオルゴールがスチームパンクという世界観にマッチするかなぁという理由からです。
また、時計の秒針が動く効果音とガチャガチャした工場ぽい効果音を組み合わせて世界観を印象付けるリズムを作っています。
あとは夜の雰囲気を表現するためにテンポはややゆっくり目にしました。
そして曲のメインにあたる部分では、

・無機質にキラキラと動くピアノの音色
・ノイズのようにビリビリと響く低音ベース
・ざらざらした広がりのあるシンセの電子音
・電子音と反するように伸びやかに歌う弦楽器

これらを組み合わせる事により、「古びたオイルと錆びた鉄の匂いに包まれた機械だらけの街全体を包み込むように広がる星空」という作品の情景を描いています。

……といった風に、言葉を添えることによって少しでも作品の解像度が上がれば幸いです。
ちなみにyoutube&Xに毎週1曲アップロードするという小目標を立てているので、気軽に覗いてみてください!


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