音楽ライブ配信で満たされる/されないこと


いま、各所で音楽ライブの配信を行なっている。今日は土曜だし、5月だし、もともと予定されていたフェスやイベントも多く、最近は頻度が上がっているような気がする。自分は音楽が好きだし、音楽業界で働いてもいたし、周りに音楽やってる人も多いし、応援したいのでなるべく観るようにしているけど、リアルと比べて満たされない部分はなんだろうと考える。

演者側でいうと、自宅だと環境に限界あるし、お客さんの歓声が聞こえないとか、照明やセットで演出できないってのがあるけれど、

お客さんとして思うことは、実際に「ライブを観に行く」の体験のうち「音楽を聴く」行為って3割くらいしか占めてないんだよなあ、と気づかされる。

まず、ライブのチケットが取れた!やったー!って喜びがあって。そこからどんな服着て行こうかとか、それをモチベーションに仕事や勉強を頑張れたりとか。会場が遠ければこんな寄り道もいいな、なんて考えたり。当日も会場までの道中、Spotify聴きながら気分を高めたりセットリストを想像したり。ばったり誰かに会ったり、あの人おしゃれだな〜とか、好きなあの子が来てる!とか。オンラインでやりとりしてた人と初めまして、とか。ライブが終わったあとも、帰りに何食べよっかとか、お酒飲みながら余韻に浸ったり、興奮冷めやらぬままカラオケでライブ二次会やったりとか。

そういうライブにまつわるエトセトラをぜーんぶ含めて、「ライブを観る」っていう体験のワクワク感なんだよなあ〜〜

で、逆にオンラインイベントが増えて嬉しいことってのも確実にあって。

いちばんはやっぱり、0歳児を抱える身として、コロナ関係なしに基本的に外出困難者なわけですよ、わたくし。日中も子を連れて爆音のライブなんて観に行けるわけないし、夜だって10時には子を寝かしつけて自分も布団入ってるし。妊娠中に一度だけクラブに行ったりもしたけどタバコもくもくで全然いられなかったし。

あんなに大好きだったライブハウスや音楽イベント、もう一年以上まともに行けていなくて、今後数年は無理だろうな〜と諦めていたので、自宅で子のオムツを換えながら・お皿を洗いながらライブが観れるってのは本当にありがたいです。

私のように子供がいる人でなくとも、体や心の病気、介護や仕事などいろいろな事情で家から出られない人はたくさんいるわけで、その人たちはコロナ関係なく常にリアルイベントからずーっと無視されてきたんだよね。だから、コロナが終わったら元に戻ってしまうんじゃなくて、今回得たノウハウを今後そういった人に向けて使うことでもっと間口が広がっていくんじゃないかと思う。

結局どの商売も、現場に来てくれる人がいること前提で成り立ってたから、行けない人がどうやって参加できるか、お金を落としてくれるかってのを考えてなかったんだとも思う。私も妊娠して初めて、体が不自由な人にとってこんなにも生きづらい社会だったのか!と思いました。当事者になってはじめて気づくことはたくさんありますね、反省。

まだまだみんな試行錯誤してる真っ最中、オンラインイベントの見せ方ややり方、まだまだ追求できるし、そのヒントが先のエトセトラに隠されてるんじゃないかな〜。

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