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経済産業省が15年前から提唱している「社会人基礎力」というOSを日々アップデートすべき時代

私が起業した2006年。経済産業省が職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力として「社会人基礎力」という言葉を提唱しました。

社会人基礎力は3つの能力からなります。

前に踏み出す力(アクション):一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
考え抜く力(シンキング):疑問を持ち、考え抜く力
チームで働く力(チームワーク):多様な人々とともに、目標に向けて協力する力

経済産業省の資料では、この社会人基礎力を、キャリア意識やマインドと共に、社会人としての基盤能力「OS」として位置付けています。

これに対し、専門スキルや社内スキルは業界等の特性に応じた能力「アプリ」という位置づけ。

そして、「人生100年時代の働き手は、アプリとOSを常にアップデートし続けていくことが求められる」という提言しています。

専門スキルなどアプリのアップデートはなんとなく想像しやすいかと思います。日々技術は進歩し、TwitterやFacebookなどのSNSも毎週のようにバージョンアップを繰り返し、仕様が変わっています。

一方で、前述のような社会人基礎力のほうはいかがでしょうか?

前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力といっても、抽象度が高く、常にアップデートが必要と言われても、すぐに目に見えるものではないため、その成果が見えにくいものです。

このため、専門スキルなどを磨いて人事評価に反映することはできても、社会人基礎力を向上させて、それを第三者が客観的に評価するのは難しいのが現状です。

けれども、パソコンでOSが古いままだと、最新のアプリが上手く作動しないように、OSのアップデートがないと、せっかく新しいスキルを身につけても、宝の持ち腐れになります。

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経済産業省が定義する「社会人基礎力」は3つの能力について、以下のような合計12の能力要素を規定しています。

前に踏み出す力(アクション)
・主体性:物事に進んで取り組む力
・働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
・実行力:目的を設定し確実に行動する力

考え抜く力(シンキング)
・課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
・計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
・創造力:新しい価値を生み出す力

チームで働く力(チームワーク)
・発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
・傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
・情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
・規律性:社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

何をどこから取り組むかは人によって、会社の状況によって異なります。

しかしながら、もし、私が社会人基礎力をつけることに取り組むとしたら、最初に「考え抜く力」を身につけることから取り組みます。

人は「感情→思考→行動」のプロセスに沿って生きているので、前に踏み出すにせよ、チームで働くにせよ、「考え抜く力」の基本を最初に分かった方がアップデートしやすいからです。

この社会人基礎力という考え方は、経済産業省主催の有識者会議で定義されたもので、とても整合性のある捉え方だと感じます。けれども、いま一つ社会的な認識度は低いのではないでしょうか。

一つには専門スキルなど、アプリについては、可視化できるので、普及させる側が売りやすいのに対し、OSである社会人基礎力は大切であることは分かっても、可視化しづらく、効果がすぐに出るとは限らないので、売りにくいという事情があります。

けれども、昨今のように時代が大きく変わる時には、より本質的なものに真正面から取り組まないと、大きな壁を突破できません

弊社が取り組んでいる「自立型問題解決法」はまさに、この社会人基礎力のアップデートに寄与するもの。残念ながら経済産業省非公認ではありますが(笑)、地道に普及させていきたいと思います。


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