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「働き方改革」も小手先の改善で対応すると、過去の「早帰り」運動と同じ結果になる?

働き方改革」という言葉を聞くと、すぐに連想するのは、最初の勤務先である銀行で実施された全社一斉の「早帰り」運動です。

就業規則上の勤務時間は9時から5時。

でも、実際に5時に帰ったのは入社した当初のほんの数日だけ。たいていは夜9時50分まで仕事をしており、残業が当たり前でした。

そんな中、たしか入社して2年目ぐらいだったと思いますが、頭取が変わり、「早帰り」を推進するキャンペーンが突然始まったのです。

その内容は

・遅くとも午後7時には全員退社する
・原則毎週水曜日はノー残業DAYとして残業時間をゼロにする

というもの。

まあ、裏に人件費(残業代)を減らそうという経営陣の意図は見え隠れしていたものの、その趣旨自体は良かったと思います。

しかし、その結果起こったことは・・・・

1.時間中に仕事が終わらないため、持ち帰ってやる仕事が多くなった。
2.仕事の持ち帰りに伴って情報の紛失の問題が多発した。
3.残業代が減るのと先輩と飲みに行く機会が増えたことで手元のお金が減った(私の場合)。

3の個人的な事情はともかくとして(笑)、業務の根本的な見直しという下準備をすることなく、いきなり「早帰り」が始まったため、かえって現場では混乱を招きました。

当時は、今ほど情報管理が厳しくなかったので、会社で終わらなかった仕事は自宅に持ち帰ってやるのが当たり前という雰囲気。仕事の量自体が変わらないのに、会社にいる時間が減ると必然的に社外でやる仕事が増えます。

一方で、以前よりも早めに会社を出るため、つい帰る前に一杯飲みに行くという機会も増します。その結果、大事な書類を電車の中や飲食店等に置き忘れるという事件が多数起きました。

そして、会社の業績も伸び悩みがちになり、そのうち「早帰り」運動そのものがうやむやになってしまったのです。

リモートワークの導入もあり、各社とも会社としても、いろいろと新しい働き方を模索されています。また、今では基本飲み会を禁止されている所も多いかと思います。

しかしながら、時短や勤務条件の変更を進めた結果、

・職場での混乱を招いて、業務が滞りがちになる
・社員の気持ちがゆるんでしまい、それに伴う事故が起きる
・結果的に売上や利益が減ってしまう

ということは充分ありえる話です。

私が職場で「早帰り」運動を経験した時代に比べると、ITも格段に進歩し、日常業務の効率化は格段に進んでいます。また、先日お話をお聞きした外資系の会社では「働き方改革」からさらに一歩進んで「働き甲斐改革」に取り組んでおられました。

せっかくの機会。小手先の改善に留まるのはもったいなく、本質的な改革に取り組むことが大切。単に働き方や働く時間を変えるだけでなく、「やるべき業務とやらない業務の仕分けをする」チャンスと捉えて、より筋肉質かつ柔軟性を備えた会社に変えていきましょう。


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