緊急事態に営業部長が会社のお金を引き出すためのチェックリスト(キャッシュカード編)
前回は担当外の営業部長が預金通帳でお金を引き出すためのチェックポイントを見てきました。
今日はキャッシュカードを使う場合を見てみたいと思います。
私の元職場である某銀行では今年になってATMのトラブルが続いているようですが、あくまでATMは正常に稼動しているという前提です。
さて、前回と同じく、チェックリスト的に書いてみると、普段お金を引き出したことのない営業部長が無事お金を引出すには、少なくとも以下の項目をクリアしないといけません。(キャッシュカードは金庫の中、その金庫は社長室の中という想定です。)
1.社長室に入れるか
→社長室の鍵を持っているか
2.金庫は開けられるか
→金庫をあけるダイヤル番号を知っているか、金庫の鍵を持っているか
3.口座はどれか
→複数の預金口座がある場合、どの口座を使えばよいのか
4.暗証番号は何か
5.カードで引出せるもしくは振込できる限度額はいくらか
ただし、カードの限度額はまずお金を引出すという問題とはちょっと趣旨が異なるので、また別の機会に譲ります。また、1~3については前回と同じであるため、ここでは省略します。
そこで、残ったのは4の暗証番号。以下、キャッシュカードの暗証番号についての考察です。
キャッシュカードはカード1枚でお金を引き出せたり、振込もできたりするので、大変便利です。皆さんも個人ではよくご利用されていることと思います。
ただ法人の場合、セキュリティの関係から「キャッシュカードはほとんど使っていない」、もしくは、「そもそもキャッシュカードを発行していない」というところもあるかもしれません。
しかし、私のクライアントさんの中でも比較的少人数でやっておられる先の多くはキャッシュカードを利用されています。(当社もよくカードを利用しています。)
また、この暗証番号の問題は、例えば、インターネット・バンキングを利用されている企業でも発生する事象です。
このため、法人用キャッシュカードを利用されていない方は、「インターネット・バンキングの場合はどうか」という観点で以下お読みいただければと思います。
さて、暗証番号。
これを知っていると誰でもATMでお金を引き出せるため、厳重な管理が必要です。そのため、カードの暗証番号は社長しか知らないトップ・シークレットという会社もあるかもしれません。
しかしながら、この暗証番号、社長もしくは経理担当者の頭の中にしか入っていないとしたらどうでしょうか。
この場合、確かに他の人がお金を引き出せないというリスクは回避できるかもしれません。けれども、何か緊急事態が起きても、社長もしくは経理担当者しか、お金を引き出せないという状況になります。
もちろん、預金と通帳があれば資金移動は可能です。しかし、前回も書いたように届出印がどれか、正式の名義はどうかといったようなちょっと面倒な問題があります。
それに銀行の窓口は特に10日、25日、月末などは大変混んでいます。このため、時間節約の観点からもカードを使った方が便利ですし、振込手数料もATMを利用した方が窓口よりお得なケースがほとんど。
したがって、いざという急ぎの場合、カードを使えた方が何かと有利です。
でも社内に記録がなく、社員の記憶頼りという状況では、その社員の人と連絡がつかない状況だとどうすることもできません。そして、「たぶん、この番号じゃないか」と思って3回続けて間違えると、せっかくのカードがすぐに使えない状況になってしまう訳です。
実際、弊社のクライアントさんでは、
経理担当者が突然不在に
→困った社長が資金を移動するためカードを持ってATMへ
→暗証番号を知らずに3回間違えて入力
→しばらくカードを使えない
という状況が発生していました。
したがって、個人のキャッシュカードであればまだしも、事業継続の観点からは、法人のキャッシュカードの場合、その暗証番号をどこかに記録しておく必要があると私は考えています。
もちろん、その記録の保管方法は厳密にやらなければなりません。
例えば、「共有サーバーの中で特定の権限者しかアクセスできないフォルダに電子データで保存する」とか、「紙に書き、しかるべき場所に封筒に入れ、封印の上保管する」といったような様々なパターンが考えられます。
記録し、保管することで、もちろん漏洩するリスクは発生する訳ですが、その場合も「定期的に暗証番号を変更する」とか、「カードの1日当りの引出し限度額を小さくする」ことで、カード&暗証番号の盗難による被害を少なくすることもできるはずです。
少なくとも、「カードの暗証番号を知っているのが社内で1名だけというのは、会社としてはリスクをかかえている」というご認識をお持ちいただければと思います。
業務の流れ、お金の流れを止めないために、「自社の暗証番号管理が現在どうなっているのか?」を、今の時期に見直していただく価値は充分にあります。
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