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定期的な社内検査は嫌だけれど、会社の信頼確保のためには必要な仕組み:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(大手町支店編5)

「大丈夫!自分がされて嫌なことの中にも、会社にとって有効かつ必要なものがあります」

会社が決めたルールにしたがって、ちゃんと日々の仕事が行われているかどうか。

なにか不祥事が起きた際によく言われることが内部管理体制の不備。要は社内で仕事を管理監督する仕組みが整っていないということが指摘されます。

この点、私の最初の職場である銀行は検査が定期的にありました。

その検査と言っても、大きく分けると2種類あって

・金融庁など銀行以外の組織が行う外部検査
・銀行が自分たちで行う内部検査

です。

前者の金融庁検査などはテレビの「半澤直樹」でご存知の方もおられるかもしれませんね。

そして、後者の内部検査も

・支店などで実施する店内検査
・検査部が実施する本部検査

に2つがあります。

このうち店内検査はあくまで支店内で行う検査なので、それほど厳しくはありません。一方、検査部による本部検査は、そこでたくさんの不備事項が見つかると、いくら営業成績が良くても、支店の業績評価にマイナスとなるので、かなり気を使いました。

概ね2〜3年に1回の頻度で行われるのですが、検査の日がいつになるかは直前まで分かりません。

そして、検査日が決まると、自宅に電話がかかってきて、「明日は朝7時半までに銀行に来るように」と指示されます。

検査日当日朝一番で行うのが現物検査。いわゆる現金がちゃんと帳簿通りあるかどうか、机の引き出しが鍵が締まっているかどうか、お客様から預かった重要物が金庫内の所定の場所に保管されているかどうか、などを確認するのです。

支店の窓口が開くのは朝9時。窓口業務に支障が出ないよう、現物検査は朝9時までに終了させるのが原則なので、検査初日はいつもよりも早く出社する必要がありました。

ちなみに、後に勤めた昭和通支店では、私が新婚旅行を終えて帰国した日の翌日が検査日の当日!

旅行のお土産を抱えて、朝早くに出社し、新婚旅行の余韻が一気に吹っ飛んだことを覚えています(苦笑)。

入行店でも、最初の本部検査の際は、どのような内容だったかはあまり覚えていないのですが、朝早く出社して、支店の前に集まり、検査部の人が見守る中、やや緊張しながら支店内に入ったことだけは記憶しています。

その後、ベンチャー企業に勤めていた際、いわゆる検査がないことにホッとしました。

何か悪いことをしていなくても、第三者が自分の机の中や自分が作成した書類などをチェックするのはやはり緊張するものです。

特に銀行の場合は、ルールがこと細かく決められており、そのルールにしたがっていないと、権限違反として厳しく指摘されます。経験不足や知識不足のために、意図せずして権限違反になってしまうこともあり、かなり神経を使いました。

あまり好きではなかった検査ですが、今振り返ってみると、会社が決められたルールがしっかりと守られているかどうかを確認する仕組みとしては、必要なものであったと感じます。

特に本部による検査は、同じ会社の人とはいえ、客観的な立場に立って、ルールが守られているかどうかを淡々とチェックする仕事です。曖昧な点があれば担当者はきちんと説明しなければなりませんし、うっかり権限違反をしていた場合は、その指摘を踏まえて、今後の改善に活かす必要があります。

普段忙しいと、「これは後で補完しよう」と考えて、ついつい未補完のままになってしまうことがあります。検査では、そのような未補完事項も必ずチェックされて、単に忙しくてやっていないだけなのか、何か問題があって補完できていないのかも確認されるのです。

銀行ほど大がかりな検査体制を整えるのは難しいかと思います。しかしながら、社内にある問題の芽を小さなうちに自力で摘み取るという趣旨であれば、何かしら定期的な社内検査の仕組みを取り入れることは必要ではないでしょうか。

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