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☆☆カタールW杯注目選手〜グループF〜☆☆

カタールワールドカップの注目選手シリーズ、今回はグループFを見ていきましょう。

○グループF
・ベルギー(3大会連続14度目)世界ランク2位
・クロアチア(3大会連続6度目)世界ランク15位
・モロッコ(2大会連続6度目)世界ランク22位
・カナダ(9大会ぶり2度目)世界ランク43位

ベルギー、クロアチアという前回大会の2位、3位の強豪国が同居するグループです。
他にもアフリカの実力国モロッコや、今大会のダークホースと目されているカナダ代表が入っており、どこが突破してもおかしくないグループとなりました。
グループステージ突破の最有力候補はベルギー代表ですが、その他は予想するのが難しいですね。
では、グループFの国々の注目選手を紹介していきます。

○ベルギー(3大会連続14度目)世界ランク2位

前回のロシア大会では、史上最高位となる3位に入賞したベルギー代表。ラウンド16での日本代表からの大逆転勝利は、今でも語り草です。その後もベルギー代表は世界のトップクラスを維持し続けています。
とはいえ、前回大会で大活躍したルカク、アザール、デ・ブライネ、クルトワといった「黄金世代」が代表を牽引するというところは変わっておらず、前回大会の主力がそのまま+4歳歳をとったというところです。
彼ら「黄金世代」にとっては最後となる可能性が高い今回のワールドカップ 、ベルギー代表がどこまで躍進するか、要注目です。

・ロメル・ルカク(インテル/イタリア FW 29歳)

ベルギー代表の前線の主軸を担う怪物ストライカー、ロメル・ルカク。身長190cm、体重103kgという巨体と、非凡なスピードを兼ね備えた凄腕のストライカーです。ベルギー代表ではこれまで68得点を決めており、同代表の歴代最多得点記録を保持しています。同ランキング2位のエデン・アザールが33ゴールということを考えたら、ぶっちぎりの得点数です。
イングランド1部のエヴァートンでブレイクし、その後マンチェスター・ユナイテッド、インテル、チェルシーと強豪クラブを渡り歩き、現在は再びインテルに戻って活躍しています。特にインテルでは2年連続で20ゴール以上をマークしており、チームのリーグ優勝にも大きく貢献しています。
主なポジションはセンターフォワードであり、ボールキープが得意なので、前線でしっかりとボールを収めることができます。それに加えて、スピードもあるため、ドリブルで持ち上がって相手のゴール前に進入することもできます。サイドでのプレーも可能ですね。
おまけに、自らが点を決めるだけでなく味方を生かすプレーもすることができます。前回のロシア大会での日本戦では、右サイドからゴール前でパスをもらいましたが、あえて左にいたフリーの味方にパスして点を決めさせるなど、頭脳的なプレーも光っています。そのため、得点だけでなくアシストも多い選手です。
カタールの地で、ベルギーの怪物が大暴れするのを見ることができるのか、楽しみですね。

・エデン・アザール(レアル・マドリード/スペイン FW 31歳)

チームのキャプテンを務め、ベルギー代表を支える重要な選手であるアザール。
フランスのリールでプロデビューして活躍し、イングランドのチェルシーに移籍。チェルシーではリーグ優勝に貢献したほか、個人としてもバークレイズプレミアリーグ年間最優秀選手賞、PFA年間最優秀選手賞、FWA年間最優秀選手賞といったタイトルを総なめにし、世界トップクラスの選手の仲間入りをしました。しかし、レアル・マドリードに移籍後は、怪我に悩まされて満足な結果を出せず、レアルのガッカリ補強に挙げられてしまう始末です。
それでも、ベルギー代表では前線の主力として活躍し、チームを牽引しています。代表での得点数33は、ロメル・ルカクに次いで歴代2位の記録です。
アザールの大きな特徴は、キレのあるドリブルです。重心を低くして、相手に囲まれていたとしても、細かいボールタッチとスピードで難なく突破してしまいます。中央でも左右でもドリブルできるスキルも備えています。フィジカルも強く、ドリブルしてる際に相手に当たられても簡単には倒れず、ボールに食らいついてドリブルを続けることができます。ロストせずにボールを前線に運ぶことができるので、味方からしたら頼もしいですね。もちろん足元の技術も高く、ゴールもアシストも狙える選手です。まさに攻撃に関しては万能と言えます。
カタールワールドカップでは、目に見える結果を出せるか、アザールのプレーに注目です。

・ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ/イングランド MF 31歳)

ベルギーが誇る世界最高のパスメーカーと言われるケビン・デ・ブライネ。イングランド王者のマンチェスター・シティの中心を担い、ベルギー代表でも替えの利かない中盤の主力として君臨しています。
何より特筆すべきはそのパス精度。相手選手の間を通して前線に送るスルーパスの精度は群を抜いています。針の穴を通すような狭いところでも、ドンピシャのタイミングでパスを通します。試合の流れを読む力や咄嗟の判断力に優れているからこそできる技です。
そして、自ら得点を決める能力にも長けています。ストライカーではない2列目の選手ですが、ベルギー代表では25ゴールをマークしています。
シティやベルギー代表では中央のポジションにいますが、サイドにいても活躍できる選手です。スピードもあるため、ドリブルでボールを持ち運ぶこともできます。前回のロシア大会の日本戦では、終盤にキーパーからのパスを受けて、高速ドリブルでボールを前線に運んだことで、決勝点となるゴールが生まれました。
近年は30歳を過ぎたこともあり、怪我がやや多いことが玉に瑕ですが、その能力は未だに世界トップクラス。カタールワールドカップでも、世界を魅了するデ・ブライネのプレーが見られるのが楽しみですね。

・ヤニック・カラスコ(アトレティコ・マドリード/スペイン MF 29歳)

アンダー世代からベルギー代表にコンスタントに招集されているカラスコ。フランスリーグの名門モナコからアトレティコ・マドリードに加入し、中国でのプレーを経て、現在は再びアトレティコに復帰しています。
主なポジションは左ウイングや左サイドハーフですが、センターフォワードの経験もあるので、攻撃的ポジションは一通りこなせます。
カラスコの特徴は、スピードとテクニックを兼ね備えたドリブルです。スプリント力が高いので、それを生かした高速ドリブルで左サイドから中央にカットインするプレーが得意です。更にテクニックもあり、相手選手数人に囲まれても、無理やりドリブルで突破することもできます。
得点力も高く、エリア内はもちろん、エリア外からも強烈なシュートを放つことができるので、得点パターンは豊富です。
ベルギー代表を見るときは、カラスコのサイドからの攻撃にも注目ですね。

・シャルル・デ・ケテラーレ(ACミラン/イタリア MF 21歳)

世代交代が課題であるベルギー代表ですが、今後の代表チームを担うであろう期待の逸材がこのシャルル・デ・ケテラーレです。
21歳の若手とは思えない落ち着いたプレーで、着実にゲームをつくるタイプのMFです。洞察力が高く、正確なパスで味方を生かしたり、時には個人技で打開してシュートを放つなど、そのプレースタイルから「デ・ブライネの後継者」と言われるようになりました。
身長も192cmと非常に高く、その体格と圧倒的なテクニックで、相手を翻弄するプレーもできます。加えてその端正なルックスもあり、女性ファンからも圧倒的な人気を集めています。
今シーズン、ベルギーのクラブ・ブルージュからイタリアの強豪ACミランへとステップアップしたケテラーレ。ワールドカップでもクラブチームでも、活躍が楽しみですね。

・ユーリ・ティーレマンス(レスター・シティ/イングランド MF 25歳)

イングランドのレスターで活躍するティーレマンス。前回のロシア大会でも21歳の若さでベルギー代表に選出され、チームの3位入賞に大きく貢献しました。所属するレスターでも欠かせない選手となっています。
主なポジションは守備的MFですが、パスの精度が高いのが特徴です。常に周りの状況を把握し、長短の正確なパスでチームの攻撃を活性化させます。時には自らミドルシュートを打つなど、その攻撃センスはかなり高いです。更に、守備でもチームに貢献しており、90分間通して守備もサボらず、前線から相手のボール奪取を試みるだけのスタミナもあります。
今後の活躍次第で、更なるビッグラブへのステップアップも十分にあるので、ティーレマンスにも注目ですね。

・ヤン・フェルトンゲン(アンデルレヒト/ベルギー DF 35歳)

ベルギー代表で140試合以上に出場し、同国代表の最多出場記録を保持している名手がヤン・フェルトンゲンです。
前回のロシア大会での日本戦でチームの1点目を決めた選手と言えばピンとくるでしょうか。
主なポジションはセンターバックであり、左サイドバックもこなすことができます。
フェルトンゲンは対人守備において抜群の強さを発揮します。長年の経験を生かして、相手をしっかり観察し、最適なタイミングでボールを奪取できます。常に味方を見ているため、カバーリングも上手く、チームがピンチの時に頼りになる存在です。
更に、キックの精度も高いので、チームのビルドアップにも積極的に関与し、時には正確なロングボールを前線に向かって蹴ることもできます。
これまでオランダのアヤックスや、イングランドのトッテナム等で活躍してきた同選手ですが、今シーズンから母国ベルギーのアンデルレヒトに加入して19年ぶりの母国復帰を果たしました。
ベテランのいぶし銀のプレーにも注目ですね。

・ティボー・クルトワ(レアル・マドリード/スペイン GK 30歳)

世界トップクラスのキーパーと言われるクルトワ。イングランドのチェルシーやスペインのアトレティコ・マドリードで守護神として活躍し、今はレアル・マドリードの正守護神を務めています。
クルトワの大きな特徴はなんと言っても、身長200cmという規格外のサイズと手足の長さ。これだけでも相当な守備範囲ですが、運動能力も高いため、横っ飛びでのセーブや低いボールの処理も得意です。もちろんハイボールの処理やキャッチングにも優れているため、クルトワから点を奪うのはかなり難しいです。(よく前回大会の日本代表はこの選手相手に2点も決められたな…)
特に今年の欧州チャンピオンズリーグの決勝のリバプール戦では、相手に攻め込まれながら、幾度もビックセーブを連発し、レアルの1-0の勝利に貢献し、チャンピオンズリーグ優勝のタイトル獲得に大きく貢献しました。

○クロアチア(3大会連続6度目)世界ランク15位

前回のロシア大会では準優勝を果たしたクロアチア代表。
中盤に君臨するルカ・モドリッチを中心とした「戦術モドリッチ」のチームというイメージが色濃いですが、コバチッチやブロゾビッチといった中盤の選手は非常にクオリティが高く、その他にも若手が次々と台頭してきているため、モドリッチ依存から脱却しつつあります。今年6月のネーションズリーグでは、若手も多く起用して、前回大会の決勝で敗れた相手であるフランス代表に勝利するなど、世代交代は順調に進んでいる様子です。
しかし、依然としてモドリッチの実力はまだ衰え知らずであるため、中盤の彼が中心となっている部分も少なからずあります。
テクニックと勝利へのハングリー精神も持ち合わせたチームであるクロアチア代表。今回のワールドカップでも、前回のような旋風を巻き起こせるか、要注目ですね。
それでは、そんなクロアチア代表の注目選手を見ていきましょう。

・イヴァン・ペリシッチ(トッテナム/イングランド FW 33歳)

クロアチア代表の前線の主力として活躍するペリシッチ。クロアチア代表で110試合以上に出場しているベテランアタッカーです。
主なポジションは左ウイングや左サイドハーフなどです。彼の特徴は、テクニカルなドリブルです。スピードもある上に、フェイントを駆使して相手の意表を突いたり、緩急を自在に付けられるので、相手からしたら非常に対処しづらいです。また、視野も広いため、ドリブルで相手ゴール前に進入した後も、多様なパスを出すことができるため、その場で最適なプレーを選んで味方のチャンスを創出します。
身長も186cmと長身であり、フィジカルも強いため、前線でハイボールを収める役も担うことができます。
様々な場面で違いを生み出せるペリシッチのプレーに、今回も注目ですね。

・ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード/スペイン MF 37歳)

現クロアチア代表でも一番のスター選手であるモドリッチ。前回のロシア大会では、クロアチア代表を準優勝に導く原動力となり、大会MVPであるゴールデンボールを受賞しています。そして2018年には、クロアチア人選手として史上初となるバロンドールも受賞するなど、現在のサッカー界を代表する選手の一人となりました。
モドリッチは主にセントラルMFのポジションに入り、中盤の司令塔として君臨します。
身長は172cmとそれほど高くはありませんが、抜群の技術で体格に勝る相手にも勝つことができます。特にボールを奪われないようにキープするのが得意であり、対峙する相手の逆を読んで動くのが上手です。
更に、広い範囲を動き回るため、ゴールに絡むことも多いです。キックの精度が非常に高いため、ミドルシュートを放つことも多く、相手の度肝を抜くシュートを決めることもあります。オマケに体力は無尽蔵とも言えるほどであるため、守備でもハードワークしてくれます。攻守の切り替えも早く、休まず走る勤勉さも持ち合わせているため、中盤の選手としては完璧とも言えます。
37歳のベテランになっても、クロアチア代表の中心として活躍するモドリッチ。年齢的に最後のワールドカップになりそうですが、そのキャリアの集大成を見せてくれるか、要注目ですね。

・マルセロ・ブロゾビッチ(インテル/イタリア MF 29歳)

クロアチア代表の中盤の主力を担うブロゾビッチ。イタリアの強豪インテルでも、長きに渡り主力としてチームを支えています。
彼も先述のモドリッチと同じく、中盤の底で司令塔としてプレーする選手です。チームのビルドアップの中心を担っており、的確なパスで攻撃を組み立てる役割を果たします。ブロゾビッチはボールキープ力やドリブルの推進力、パスの精度にも優れているため、味方の攻撃を活性化させることも得意です。更に、ミドルシュートの精度も高く、前に出なくとも強烈なシュートで相手のゴールを撃ち抜くことができる選手です。まさに中盤の万能選手ですね。
これからもクロアチア代表の司令塔を担っていく存在ですので、ブロゾビッチにも注目していきたいですね。

・マテオ・コバチッチ(チェルシー/イングランド MF 28歳)

オーストリア出身ですが、両親の故郷であるクロアチア代表を選択しているコバチッチ。
彼もまた中盤で活躍する選手です。
主なポジションはセントラルMFですが、攻撃的MF、守備的MFにも対応することができ、守備範囲はかなり広いです。
コバチッチは技術力に定評があり、細かいタッチと切り返しの鋭いドリブルでボールを持ち運ぶことができます。また、ドリブルだけでなく、前後やサイドに多様なパスを送ることができ、味方のチャンスを創出できます。
更に、読みの鋭さを生かして相手ボールをインターセプトするなど、守備でもチームに貢献できるオールマイティな選手です。
中盤の充実しているクロアチア代表、コバチッチのプレーにも注目ですね。

・ロヴロ・マイェル(レンヌ/フランス MF 24歳)

クロアチア代表におけるモドリッチの後継者と目されているのが、24歳の若手MFであるマイェル。昨年に国内の名門ディナモ・ザグレブからフランスのレンヌに移籍して、リーグのベストイレブンに選ばれる活躍を見せています。
卓越したテクニックを持っており、数手先を読んで的確なパスを出すことができます。どうしてそこが見えているんだ、と言われるくらい、視野が広く試合の流れを読むことに長けています。自らミドルシュートを打つことも得意で、昨シーズンはレンヌで6得点を記録しています。守備においても泥臭く相手に喰らい付き、最後までハードワークをするため、守備における貢献度も高いです。
様々なビッククラブが狙っていると言われるマイェル。ワールドカップで活躍して更なるステップアップに期待しましょう。

・ヨシュコ・グバルディオル(RBライプツィヒ/ドイツ DF 20歳)

クロアチア代表の若手選手でも有望視されているのが、ヨシュコ・グバルディオル。
ドイツの強豪ライプツィヒでも活躍しており、クロアチア代表にもコンスタントに召集されています。
主なポジションはセンターバックであり、左サイドバックとしてもプレー可能です。
ディフェンスの選手らしく、一対一にはもちろん強いです。ファールにならないタイミングで足を出してボールを奪ったり、185cmの身長とフィジカルを生かした空中戦にも強いです。
更に、彼の大きな特徴は、その推進力。センターバックながら、自らドリブルでボールを持ち運び、テクニックにも優れているため、細かいタッチのドリブルで相手をかわすことも得意です。パスも正確なので、味方のチャンスを作ることにも長けており、守備だけでなく攻撃面でもチームに貢献できます。
まだ二十歳の若手ながら、目覚ましい活躍を見せているグバルディオル。ワールドカップでもそのプレーに注目ですね。

・ボルナ・ソサ(シュトゥットガルト/ドイツ DF 24歳)

アンダー世代からクロアチア代表に招集され続けてきた期待の若手、ボルナ・ソサ。
現在はドイツのシュトゥットガルトでプレーしています。
主なポジションは左サイドバックですが、左サイドハーフでもプレーしており、左ならどこでもプレー可能です。
ソサはチャンスメイクに優れた選手であり、左サイドからのアーリークロスの精度はとても高いです。
そして、スピードやテクニックにも優れているため、ドリブルで相手の守備を突破することもできます。緩急やフェイントを使うテクニカルなドリブルでサイドを攻略し、味方のチャンスを作ることに長けています。
初となるワールドカップ での活躍が楽しみですね。

○モロッコ(2大会連続6度目)世界ランク22位

前回のロシア大会に続いての出場となったアフリカの強豪モロッコ代表。
欧州でも活躍するタレントを何人も揃えて、元日本代表監督でもあるヴァイド・ハリルホジッチ氏の元、熾烈なアフリカ予選を勝ち抜いて本大会出場を決めました。
しかし、そんなモロッコ代表には様々な混乱がありました。まず、ハリルホジッチ監督と選手の不和が問題になり、ハキム・ツィエクなどの主力選手が代表からの引退を表明する事態になってしまいました。これにはモロッコ国内からも大きな批判の声が上がりました。規律を重んじて、選手の人気や知名度に捉われない人選を貫くハリルホジッチ監督と合わないところも多かったのかもしれませんが。
そんな中、ついにワールドカップ本番を前にハリルホジッチ監督が解任されてしまいます。まるで前回大会前の日本代表を見ているようでしたが、モロッコ国民やサッカー協会との間に大きな溝を作ってしまっていたため、致し方ないようにも思います。
そして、ハリルホジッチ監督と対立して代表を引退していたツィエクなどの主力選手は再び代表に戻ってきました。
スター選手達の復帰は国民にとっては明るいニュースではありますが、新たに就任したワリド・レグラギ監督と共にワールドカップで結果を残せるか、要注目ですね。

・ユセフ・エン・ネシリ(セビージャ/スペイン FW 25歳)

スペインのセビージャで活躍するアタッカーであるエン・ネシリ。現在のモロッコ代表の選手では、最も得点を決めている選手です。
主なポジションはセンターフォワードであり、左右のウイングもこなせます。
身長189cmの長身ながら、スプリント力も備えており、軽快な動きが特徴です。
相手ディフェンダーの裏を取る動きが得意であり、カウンター攻撃の際には味方からのロングボールもしっかりと追いついて収めてくれるので、とても頼りになります。
前線に貼り付くだけでなく、ピッチ内を広く動き回れるので、様々な得点パターンを持っており、相手からすれば厄介な選手でしょう。
今回のワールドカップでも、モロッコ代表の得点源として活躍してくれそうですね。

・ハキム・ツィエク(チェルシー/イングランド MF 29歳)

モロッコ代表でも最も有名なスター選手であるツィエク。アンダー世代ではオランダ代表で出場していましたが、A代表ではモロッコ代表を選択し、同代表の主力として活躍しています。
オランダのアヤックスで頭角を表すと、イングランドの強豪チェルシーへの移籍を勝ち取りました。
主なポジションは攻撃的MFであり、テクニックに優れた選手です。右サイドからカットインして正確で強烈なシュートを放つことができます。視野も広いため、長短様々なパスを使い分けて味方のチャンスを創出できます。また、ドリブルもツィエクの強みの一つです。狭いスペースでも細かいタッチのドリブルで打開したり、相手を引きつけて味方へパスしたり、様々な選択肢を持ってドリブルするので、相手からしたら止めるのが難しい選手です。
前述した通り、ハリルホジッチ監督の解任と共に代表に復帰したツィエク。ワールドカップでの活躍が楽しみですね。

・ヌサイル・マズラウィ(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ DF 24歳)

モロッコ代表の主力選手でもあるマズラウィ。
オランダのアヤックスで頭角を表して、ドイツの王者バイエルンに加入しました。
主なポジションは右サイドバックです。
サイドバックながら、高いテクニックを備えた選手であり、戦術理解度も高いため、プレーメーカーとしても活躍できます。ボールを持った時の推進力もあるため、攻撃にも積極的に参加できます。彼がボールを持って縦に運ぶと、まるでウインガーがもう一人増えたように思われます。
マズラウィも、モロッコの逸材として注目されていましたが、ハリルホジッチ監督と対立して、しばらく代表から追放されていた期間が有りましたが、同監督の退任と共に代表復帰を果たしました。
カタールワールドカップでも、マズラウィのテクニックに注目ですね。

・アシュラフ・ハキミ(パリ・サンジェルマン/フランス DF 23歳)

若くしてモロッコ代表の中心選手となり、スター軍団であるパリ・サンジェルマンの一員となったハキミ。今年のパリ・サンジェルマンの日本ツアーにも参加して来日し、Jリーグクラブとの親善試合にも出場しています。
ハキミは主に右サイドバックとしてプレーしており、右サイドを広くカバーしています。特筆すべきはその攻撃力です。インナーラップやオーバーラップを上手く使いこなしながら、味方を助けつつ自らもボールを持って駆け上がります。
ハキミの更なる強みが、足の速さです。時速34kmを記録することもあるスピードは世界トップクラス。その速さを生かして自らドリブルで持ち上がり、ゴールを決めることもあります。一度スピードに乗ったハキミを止めるのは至難の業です。
前回のロシア大会では、若干二十歳でモロッコ代表メンバーに選出されたハキミ。2度目のワールドカップとなる今回、若きモロッコのスター選手がカタールの地で躍動するのが楽しみですね。

・ロマン・サイス(ベシクタシュ/トルコ DF 32歳)

モロッコ代表のキャプテンを務めるロマン・サイス。出身はフランスであり、アンジェで頭角を表した後、イングランドのウォルバーハンプトンに移籍して主力として活躍。今シーズンからはトルコのベシクタシュでプレーしています。
主なポジションはセンターバックであり、チームの最終ラインで壁となって相手に立ちはだかります。身長190cmのフィジカルで地上戦でも空中戦でも抜群の強さを発揮します。元々は中盤の選手であり、その際は相手のチャンスをことごとく潰す「潰し屋」として知られていました。特に強烈なタックルで、相手のボールを刈り取るのが得意です。
センターバックは基本的に、自陣のゴール前で構えていることが多いですが、サイスはよく動き回り、味方のために自分を犠牲にしてプレーすることができます。
モロッコ代表の守備を支えるサイスの働きに、要注目ですね。

・ヤシン・ブヌ(セビージャ/スペイン GK 31歳)

モロッコ代表の守護神に定着したのは比較的最近ですが、このヤシン・ブヌも注目すべきゴールキーパーです。「ボノ」という愛称でも親しまれています。
彼はスペインの強豪セビージャの正守護神を務めており、2021-22シーズンには、ティボー・クルトワやヤン・オブラクといった世界屈指の名手を抑えて1試合当たりの失点が最も少ないゴールキーパーに送られるサモラ賞を受賞しています。
ブヌはシュートストップも高いレベルでこなすことができるキーパーであり、ペナルティエリア内からのシュートも落ち着いてセーブすることができます。更に、足元の技術もあるため、チームのビルドアップにも役立っています。
ちなみに、ブヌは2020-21シーズンに、ゴールキーパーながら前線に上がってゴールを決めるというプレーも見せています。ゴールキーパーがPKではなく、流れからのゴールを決めるのは非常に珍しいですね。
31歳というベテランながら、今が最盛期というブヌ。カタールの地でもチームを救うスーパーセーブを見せて欲しいですね。

○カナダ(9大会ぶり2度目)世界ランク43位

今大会の北中米予選で最も大きなサプライズが、カナダ代表の躍進でしょう。
なんと、強豪国であるメキシコやアメリカを退けて、北中米予選を1位で通過したのです。
カナダ代表としても、実に36年ぶりのワールドカップ出場という快挙を成し遂げました。
得点力に優れており、最終予選ではチームで23得点を挙げ、最終予選の8チーム中最多となっています。守備においても、7失点でこれまた8チーム中最小となっており、攻守に優れたチームであることは間違いないです。
今大会でも旋風を巻き起こす可能性のあるダークホースとして注目されています。
カナダは5人に一人が国外からの移民という移民大国であり、代表チームにも様々な国のルーツを持った選手がいます。そのような多様性があるからこそ、様々な個性を持った選手達が集まっているのでしょう。
本大会でカナダ代表がどれほどのサプライズを起こしてくれるのか、要注目ですね。

・ジョナサン・デイビッド(リール/フランス FW 22歳)

カナダ代表の前線に欠かせない選手であるジョナサン・デイビッド。所属するリールでは2020-21シーズンに13得点を挙げ、チームのリーグ優勝に貢献するなど、確かな実績を残している選手でもあります。
主なポジションはセンターフォワードですが、セカンドトップでのプレー経験もあるので、足元の技術にも優れています。自身の得点だけでなく、ポストプレーからのチャンスメイクも得意であるため、多くの面でチームの攻撃に関与しています。
屈強なディフェンダーが揃うフランスリーグにおいても、相手に当たり負けすることないフィジカルの強さも持っていて、伸びやかなスプリント力もあり、相手の裏を取る動きもできます。
更に、守備においても意識が高く、前線から相手に強烈なプレスをかけられるので、相手の攻撃を潰すのに一役買っています。
あらゆる能力を備えた万能フォワードであるデイビッド。初のワールドカップでの躍進に期待ですね。

・サイル・ラリン(クラブ・ブルッヘ/ベルギー FW 27歳)

現カナダ代表の最多得点記録の保持者であるラリン。今大会の最終予選では6ゴールを挙げて得点王に輝いており、こちらもカナダ代表の攻撃には欠かせない選手です。
ラリンはゴールへの嗅覚に優れた選手であり、相手のわずかな隙を突いてゴールを決めることができます。188cmの体格を生かしたボールキープや空中戦の強さで、相手のエリア内で決定的な仕事をします。
ワールドカップでも、爆発的な得点力に期待ですね。

・アルフォンス・デイビス(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ MF 22歳)

現カナダ代表で最も注目されている選手が、アルフォンス・デイビスです。
2017年に、カナダ代表史上最年少で代表デビューを果たし、CONCACAFゴールドカップのガイアナ戦で得点を記録。2000年代生まれの選手で、初めてA代表で得点を決めた選手となりました。
ドイツの王者バイエルンでは左サイドバックを務めていますが、カナダ代表では左サイドハーフでプレーすることが多いです。
デイビスは身体能力に優れており、抜群のスピードに乗ったドリブルでサイドを突破して、中央にクロスを上げるプレーが得意です。
ドリブルの加速度は非常に高く、テクニックよりもスピードで相手を抜いていくタイプの選手です。強烈なスピードでサイドを上下に動き、精度の高いキックでチャンスを創出します。
守備においては、ポジショニングの甘さはあるものの、その分スピードで補完できてしまいます。相手に抜かれてもすぐに追いつくことができるので、相手にとってはなかなかの脅威です。
初のワールドカップの舞台で、デイビスがどのような活躍を見せてくれるのか楽しみですね。

・スティーブン・エウスタキオ(ポルト/ポルトガル/MF 25歳)

ポルトガルの強豪ポルトで活躍するエウスタキオ。カナダ代表の中盤に欠かせない選手として存在感を放っています。
アンダー世代ではポルトガル代表を選択していた時期もありましたが、A代表ではカナダ代表を選択しています。
主なポジションはセントラルMFです。
エウスタキオは足元のテクニックに優れており、精度の高いパスが大きな武器です。カナダ代表でも試合の流れを作る上で重要な役割を担っています。更に、スタミナもあるため、ピッチ内を広く動き回り、攻守にチームを助けます。カナダ代表のハードマン監督曰く「完璧なる中盤の軍曹」です。
今回のワールドカップでも躍動して、更なるステップアップにも期待ですね。

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