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事業戦略立案に使えるフレームワーク:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)

コングロマリット・ディスカウントを避けるためには?

日本的経営が世界を席巻していた時代、多角化経営・コングロマリット経営が流行していました。しかし、企業が保有するリソース(資金・人材・設備などの物的資源等)は有限であり、GAFAMやイーロン・マスク氏・サウジアラビアの大富豪でない限り、注力するべき事業の「選択と集中」を行わないと、他社に競争に勝つことは難しいです。

近年、市場でトップもしくはせめて2位は取れないと、生き残れないケースも増えています。とはいえ、日本企業は過去の多角化戦略により多くの事業を抱えており、コングロマリットディスカウント状態(多くの産業を抱える複合企業の企業価値が、各事業ごとの企業価値の合計よりも小さい状態のこと)になってます。どの事業を縮小・撤退し、有限の企業リソースをどの事業に集中投資するのがいいのでしょうか?

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)による選択と集中

このイシューに取り組み、事業戦略立案に役立つフレームワークが、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)です。下記図に示すように、縦軸:市場の成長率、横軸:市場でのシェアを示すマトリクス図を記載します。あなたなら、ピンク・ブラウン・レッド・ブルーのどの事業を撤退し、どこに選択・集中しますか?

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

1.集中領域:スター/花形
注力するべきは、右上の市場成長率・市場シェアが高いスター/花形領域だと考えられます(ブラウン事業)。問題は、成長原資となる投資資金をどうやって捻出するか?、です。

2.成長原資の供給領域:金のなる木
それが、右下の市場成長率は低いが市場シェアが高い「金のなる木」領域です(レッド事業)。当領域では、自社が高シェアであるため規模の経済から運営コストが低く、利益を出しやすい構造になっていることが多いです。
市場成長率は低いため、積極的に追加投資は控えるべきです。金のなる木で稼いだ資金を、他の集中する事業の育成に回すのが、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)から導出される戦略となります。

3.選択と集中領域:問題児
「金のなる木事業」で創出した資金は、左上の市場成長率が高いが、自社市場シェアが低い「問題児」事業にも投資すると、将来の自社を背負う事業育成に寄与します(ピンク事業)。

4.撤退領域:負け犬
残念ながら、左下の「負け犬」事業は、市場成長率が低いため将来性が無く、市場シェアも低いため利益創出力も弱いため、追記投資は避けて撤退を進めていくことが合理的です(ブルー事業)。

下記が、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)による事業の選択と集中のイメージです。

PPMによる選択と集中
PPMによる選択と集中

サマリ

市場成長率・市場シェアより、事業はスター・金のなる木・問題児・負け犬に分類できます。負け犬から撤退して止血し、金のなる木からの利益でスター・問題児を育成する戦略立案が、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)により可能となります。

あなたの事業は、どこに分類されるでしょうか?

ベラスケス流風景画 Stable Diffusionで生成
(PPMをイメージ)

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