[創作論861] 電池のリサイクル

リチウムイオンバッテリーの経済的なリサイクル手法が考案されました。

リチウムイオンバッテリー(LIB)市場の拡大によって、リチウム資源に対する需要が高まっています。
使用済みLIBの陰極材料からリチウム金属をリサイクルする湿式精錬手法が確立されていますが、金属のリーチングや析出、分離、高純度化など複雑な多段階プロセスから構成されており、経済性にはまだ改善の余地があります。
研究チームは、大量に発生する使用済みLIBから効率的にリチウムをリサイクルする経済的な手法について研究してきました。
分子構造特性をベースにさまざまな酸化還元電位と溶解度を持つ抽出溶液をスクリーニングし、リチウムとの結合メカニズムについて調べるとともに、酸化還元電位と抽出効率の関係を系統的に解析し、理論計算と組み合わせて最適な抽出溶液を探索しました。
その結果、多環芳香族炭化水素試薬とエーテル系溶剤から構成される抽出溶液により、使用済みLIBからリチウムを常温で直接抽出する、極めて簡単で高効率、低エネルギー消費の化学リーチング手法を開発しました。
この手法により得られたリチウムは活性であって、自発的な酸化還元反応を通じてリン酸鉄と反応し、直接的にリン酸鉄リチウム陰極材料を合成できることがわかりました。
近年、リン酸鉄リチウム陰極を活用したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが、熱安定性が高く高温環境においても安全に動作することから、自動車や工業機械などに用いられるようになっていますが、研究チームは開発した回収プロセスにより得られたリン酸鉄リチウム陰極材料を用いて作製した56Ah角型LIBセルにおいて、最大容量の90%を1200サイクル後も保持する安定したサイクル性能を示すことを確認したとのことです。


素晴らしい技術ですね。
創作活動においてもリサイクルを意識したいですね。

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