[創作論856] 金属表面の微細構造

金属表面に超高アスペクト比の微細構造を生み出す切削方法が開発されました。

今回研究チームは、金属を超高アスペクト比(高さ/幅)の微細構造に加工できる、楕円振動チゼリング(EVチゼリング)という切削方法を開発しました。
高アスペクト比の微細構造を持つ金属表面は、高性能伝熱促進や表面プラズモンデバイスなどへの応用が期待できます。
しかし、金属表面に高アスペクト比の構造を、既存技術で高速かつ低コストで作製することは困難でした。
そこで研究チームは、高効率で超高アスペクト比に加工できるEVチゼリングを開発しました。
切削加工は、金属材料で最もよく使われる加工方法です。
EVチゼリングは従来の切削加工と異なり、後方に移動する工具にマイクロスケールの楕円振動を重ね合わせ、振動サイクルごとに高アスペクト比の切りくずを生成します。
工具が後方に移動するため、切りくずは材料表面に残されて微細構造を形成します。
1回の振動サイクルで1つの微細構造を生成するため、1kHz以上の高速に振動する工具を用いれば、切削加工を効率化できます。
EVチゼリングの有効性を検証するため、銅表面のテクスチャリング試験を実施したところ、1~10μm間隔で2~12のアスペクト比を持つ、均一な微細リブの加工に成功しました。
前方に移動する工具を使用した従来の楕円振動切削に比べると、EVチゼリングで加工した微細構造は、アスペクト比を最大40倍まで向上しました。
切削加工中の切りくずは目視で確認できませんが、走査電子顕微鏡により、微細構造中に切りくずが観察されました。
加工時のパラメーターを変えると、切りくずを介して微細構造がさまざまな種類に変化しました。
研究チームは現在、微細構造がどのように生成されるのかを探るため、加工表面や切りくずの変形メカニズムを調べると同時に、加工した微細構造の伝熱促進や凍結防止、抗菌などへの応用に取り組んでいます。


素晴らしい技術ですね。
創作活動においても、物質の表面パターンに着目してみると面白いかもしれません。

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