[創作論851] 弾性熱量効果

NiTi合金の伸長や弛緩により冷却する技術が開発されました。

研究チームは、弾性熱量効果を利用し、ニッケルチタン(NiTi)合金であるニチノールで作られた「人工筋肉」で冷却する世界初の小型冷却機を開発しました。
弾性熱量効果とは、弾性体の形状が急激に変形する際に発熱や吸熱が起こるというものです。
円筒形のプロトタイプに組み込まれている新技術は、ワイヤーに力を加えて引き伸ばしてから力を取り除き、ワイヤーが元の状態になると、その際に空間から熱が取り除かれるという単純な原理に基づいています。
研究チームは、熱を運搬するために、超弾性ニチノール製の形状記憶ワイヤーを利用しました。
この形状記憶ワイヤーを変形させたり伸ばしたりしても、ワイヤーは元の形状に戻ります。
筋肉の収縮と同様に、ワイヤーは伸び縮みしたり、ぴんと張ったり緩んだりしますが、その理由は、ニチノールには固体における相が2つあり、温度や応力によって原子の相対位置関係が変わることなく互いの相に変化(相変態)できるためです。
このような相変態の間、ワイヤーは熱の吸収と放出をします。
多くのワイヤーを束ねると表面積が大きくなるため、より多くの熱を吸収または放出することになり効果が高まります。
プロトタイプでは薄さ200μmのニチノール製ワイヤーを束ね、特製カム駆動により、ワイヤーの束が円筒形の冷却室の周囲を回り続ける構造になっています。
ワイヤーの束が円を描くように動く際に、周回軌道のうち半分ではワイヤーに機械的な負荷をかけて引き伸ばし、残りの半分では負荷をかけないようにしています。
周回するワイヤーの束を通過した空気は冷却室に送られ、負荷がかかっていないワイヤーは空気から熱を吸収します。
空気は負荷のかかっていないワイヤーの周囲を循環し続け、周回するワイヤーの束は移動して熱を冷却室から運び出します。
その後、負荷により引き伸ばされた時にワイヤーは吸収した熱を放出します。この方法で、冷却室は10~12℃程度まで冷やされます。
弾性熱量を利用するこの技術を、研究チームは、工業用や電気自動車の冷却、さらには家庭用電化製品など幅広い用途に活用したいと考えています。


素晴らしい技術ですね。
創作活動でも何らかの形で利用できるかもしれませんね。


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