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SEKAI NO OWARIの RPGを教えてくれた、あの18歳ダウン症少年の涙

今朝、ボランティアをしている児童ディーサービス施設に行ったら、大勢の子どもたちが集まったていた。初めて会う子供たちが何人もいる中で、ある男の子と一緒にアルバムを作ることに任された。

写真を貼る模造紙や、模造紙を入れるファイルが既に用意されていて、私がやることは、写真の裏に両面テープを貼ることと、写真の内容に沿った説明文を子どもに書いてもらうように指導することだった。

子どもの話が聴きづらかった。「うん?」と反応したら、繰り返して言ってくれるが、「ごめんね。聞き取れなかったので、もう一回言ってくれる?」と再三頼むと、子どもが顔をしかめて、手でおでこを抑えて、必死に考えているような不快な様子を見せる。そんなに不快にさせたくないから、聞き取れなかったのを後にして、聞き取れた写真を先に貼っていた。

それに、子どもは書くのが苦手だった。「ちょうりぶ」や「じゃがいも」が書けなかったり、「しんぶん」を「じんふ」に、「たたく」を「まく」に書いたりしていた。それに気づいたら、すぐに職員さんが用意してくれた小さいなホワイトボードに書いて、まねて書いてもらったり、訂正したりしていた。

写真の内容を聞いているうちに、子どもはこの間高校を卒業して、4月から福祉施設で箱組み立てのお仕事を始めることがわかった。また、時々様子を見に来る職員さんによれば、子どもは中2から高3まで5年間施設に通っていたようだ。後に見せてくれた5年前のアルバムを見ると、5年間、彼を含めた子供たちが大きく成長したことがわかった。

アルバムづくりが終わると、何枚かの印刷物が入っていたファイルを見かけた。ファイルの表に子どもの名前が書かれた。「これは何?」と聞くと、教えてくれたのが聞き取れなかった。困ったところ、職員さんが近くに来て、「世界の終わりというグループですね。○○さんが大好きなグループですね」と教えてくれた。その場では、各メンバーのことを、子どもがひとりずつ教えてくれたが、残念ながら、その内容はほとんど聞き取れなかった。しかし、唯一聞き取れたのは、仮面をかぶっている方のあの仮面は子どもが持っていることだった。そして、大好きな曲「RPG」をちょっとだけ歌ってくれたが、曲の名前がアルファベットのようだということしかわからなかったので、その場では、さらに引き出すことができなかった。今になって、「なんでその曲好きなの?」とその場で聞いてあげればいいのにと後悔している。

お昼になって、お昼ご飯と午後の活動に移る前に、少し空き時間ができた。ある男性の職員さんが、施設に来るのが今日は最後になる二人の子どもに別れの言葉を告げた。

一緒にアルバムを作っていたあの子どものそばに座っていた私がこう聞こえた。「○○さん、今日は最後ですね。新しい場所でも頑張ってください。また○〇に遊びに来てくださいね」と。

子どもは「はい」と答えていた。

男性職員が去って、子どもの方に向けると、既に涙ぐんでしまった子供が「涙出ます。悲しいです」と恥ずかしがりながら言っていた。

子どもたちは普段あまり感情を言葉にしないという印象を持っていたので、そんなことを言えるなんて正直びっくりした。人を慰めるのが苦手な私から「悲しいですね」としか言えなかったが、実は、眼鏡を超えて目をこすっているあの姿は私は見ていられなかった。

今日はお昼までしか施設にいられなかった。帰りにもうここに来ないあの二人の子どもに何かを言ってから帰りたかったが、悲しすぎて何も言わずに帰ってしまった。

帰ったら、すぐにあの曲を検索した。見つけた時に、前に聞いたことのある曲だと思ったが、今回の場合は、最初で最後に出会ったあの子どものことを思い出しながら聴いたら、思わず涙が出てしまった。

少年たちよ、

「空は青く澄み渡り

海を目指して歩こう~

怖いものなんてない

君らはもう一人じゃない!!」

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