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出会いは突然でずっと続くw

私は60歳まで公立中学校の教師でした。65歳まで再任用で働き、その後も非常勤講師で音楽を教えています。

私が教職を選んだきっかけは、コメニウスの『世界図絵』との出会いでした。それから40年間私の手元には、その時の感動や発見とともに、このほるぷ出版の復刻本があります。

高校の非常勤講師をしながら採用試験を受け続けていたときです。2回ほど不合格だったので、このまま街の音楽の先生でやっていこうか、と思っていました。収入は公立学校の教師よりはるかに良いのですから。(その後も2回受験してます)

そして、出会ったわけです。

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当時の版画で"The Master and Boy"が描かれ、こう始まります。この本はラテン語と英語で表示してあります。(以下英文を私の稚訳で)

「おいで、少年よ。賢くなるよう学ぶのじゃ。」

「賢くなるには何をすればいいのですか?」

「正しく理解し、正しく行動し、必要な全てを正しく語ることじゃ。」

「誰が私に教えてくださるのでしょう?」

「この私が、神の助けによって教えよう。」

絵を見ながら様々なことを学び、最終ページには同じ”先生と生徒”の挿絵が登場します。でもそれは、卒業の時です。

先生は、学んだことを忘れずに、さらに学ぶように言い、"Farewell"で終わります。

このやりとりを読んで誰もが感銘を受けることはないでしょう。でも、エラく感動して、それが40年間の私の教育の源として心に生き続けています。

今も!

「先生は何で先生になったの?」と生徒に聞かれて、こんな深い内容を話す時間も、中学生が理解するかもわかりません。私は「教えることが好きだから」と答えています。でも、本当のきっかけをどこかに記しておきたいと思いました。


おまけ。この本は教科書です。その中で発見したことがあります。英語の発音が記されていますが、何か気付きませんか?これにもびっくりしました。

多くの絵本が"A"は”Alligator”とか”Ant”を載せてあります。それが、鳴き声=発声音なのです。ここでも、コメニウスの素晴らしさを感じました。

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コメニウス(1592-1670)はモラヴィアの教育学者です。モラヴィアはボヘミアに統合され、プロテスタント弾圧の残虐行為を体験しています。毎年、3年生にスメタナ作曲の「モルダウ(ブルタバ)」を教えるとき、まだ続くヨーロッパの歴史の複雑さを想いながら、コメニウスの冒頭のやりとりが浮かびます。


正しく理解し、正しく行動し、必要な全てを正しく語ること

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