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蜘蛛の糸



「蜘蛛の糸」

生前好い記憶が皆無として
蘇る希望が目の前に訪れた際
人はその糸を握るだろうか


まずはイラストの説明から…

ここは死後の世界です。
たくさんの人自身の死の悔い悲しみを水の中に沈めました。
真ん中上から垂れているのは
現世へと繋がる蜘蛛の糸です。
(芥川龍之介さんの蜘蛛の糸から引用)

この作品はCreator house N.主催の
オンライン展示会に出した作品です
展示会テーマが「蘇生」、
そして「和」という縛りがあったので
浮世絵などから色味のヒントを得たり
物語の土台を日本に置いたイラストになりました。


物語を少し…

彼の生まれたのは黒い肌の土地。
しかし、彼の姿は肌は白く髪も金髪だった。
生まれて間もない頃から見せ物とされ
人としての扱いを受けることなく死を迎えた。

死の世界の入り口で、見知らぬお年寄りに
「次は幸せに生まれることのできるように…」と
日本の召し物をつけてもらった。

入り口から奥へ奥へ
それは先祖を辿る道でもあった
そして長い時間歩き行き着いた先がここだった

彼の目の前には現世へと繋がる蜘蛛の糸
人として扱われたことのない彼には
生へ未練はない
だが、なぜ握ろうとはせず
ただ見上げているのか

それは、入り口で言われた
「幸せに生まれてほしい」という
お年寄りの言葉だった

人の温かみを知らない
幸せを知らない彼は
蘇ることを望むだろうか

死を望むことが悪だろうか
生を望むことが善だろうか
己の手で触れ
己の耳で確かめた
色眼鏡のない世界を見てほしい

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