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地域包括支援センターのパーパス、できました!でも、パーパスって?

こんにちは。コピーライターの山中です。大東公民連携まちづくり事業株式会社《コーミン》さんのスタート時から、情報発信やブランディングなどをお手伝いさせてもらってます。今回は、コーミンさんの中核事業のひとつである「大東市地域包括支援センター」のパーパスを書かせていただきましたが、「え?パーパスって何のこと?」という人も多いと思いますので、簡単にその意味や事例をご紹介させていただきますね。

まず、昨年末に私が書かせてもらったコーミンが運営している地域包括支援センターのパーパスが、こちら。

長生きを、長イキイキに。

日本人の健康寿命は73歳です。
平均寿命である85歳には、まだまだ及びません。
大東市の地域包括支援センターでは、
高齢者の総合相談支援はもちろん、
みなさんにイキイキと長生きしていただくために
さまざまな介護予防事業にも取り組んでいます。
「健康づくりのプロ集団」としての能力をフル回転しながら、
新しいことにもどんどんチャレンジ!
その姿勢は、きっと、
高齢者のみなさんもポジティブにするから。

パーパスには、このような数行の文章で表現されたものが多く、意訳すると「パーパス」=「社会的存在意義」と定義できます。その企業が「世の中にとってどんな貢献ができるのか?どんなスタンスで活動していくのか?」を端的にまとめた文章、それがパーパスなのです。

もともと広告やマーケティングの世界で生まれた考え方なので、私のようなコピーライターがご依頼をもらってパーパスを書く機会が増えており、最近では、下記のようなパーパスも書かせていただきました。

福井県あわら市にある花屋”いがらし”さんのパーパスです。

咲かせたいのは、人と人の絆です。
だから、ひと花ひと花に心を込めて。

笑顔の人がいる。涙する人がいる。
最愛の人へ。尊敬する人へ。
遠くへ旅立った、大切なあの人へ。
贈られる花の数だけ物語はある。
人と人のきずながある。
私は、想像できているだろうか?
贈る想い、贈られる気持ち。
ひとつひとつを、ひとりひとりを
私は思い描けているだろうか?
ふと、手をとめて。目を閉じて。
ひと花ひと花に心を込めて、今日も創ろう。
この世界にずっと、きずなを咲かせよう。
私たちは《花屋いがらし》です。

店主さんが打ち合わせ中におっしゃった「花を贈ることは絆をつなぐことなんです」という言葉をベースにして、「世界から失われかけている人と人の絆づくりに貢献しよう!」という想いを込めて書きました。

もうひとつ、これは大阪府八尾市にある老舗の石鹸メーカー”マックス”さんのパーパスです。(※企業ミッションも兼ねてます)

弱いお肌の、強い味方に。

世界中の人々の素肌のために、
世界中のあらゆる肌トラブルのために、
マックスは製品をつくり続けて110余年。
これまで”お肌の悩みを解決すること”を理念として、
さまざまな研究開発をおこなってきました。
すべては、穏やかな暮らしの
「あたりまえ」を取り戻していただくために。
それが、これからの百年も変わることのない
私たちのミッションです。

マックスさんはこのパーパスを軸にして、『素あわ』など、お肌にやさしい商品を次々と開発されています。最近では、お肌だけでなく、髪と地球にやさしい『THE BAR』という固形シャンプーなども。

それでは、なぜ最近、このようなパーパスが企業経営に必要とされるようになってきたのでしょうか?

その理由をビジネス的な側面から、ひとことで言いますと、「よりよい社会づくりに貢献できない企業は一般の生活者から共感されなくなってきた(投資家からも投資してもらえなくなってきた)」からです。これは、世界的なSDGsの盛り上がりなどとも深く関連しています。「偏り過ぎた資本主義」によって起こっている気候変動、海洋汚染、貧富の差、紛争といった数々の社会課題を解決していかないと、もう人類に未来はない!という危機感が、資本主義の「化身」である営利企業に意識改革を要請しているとも言えるでしょう。企業が主導して新しい「シン資本主義」をつくらなくちゃ・・・。

ちょっと話が大仰になってしまいましたが大事な視点ですので、もっと詳しく学びたい人は、私の幼馴染の岩嵜博論くんが書いたこちらの本をご参照ください。パーパスについて、とてもわかりやすく(そして楽しく)解説されています。

つまり、繰り返しになりますが、世の中のお役に立てないビジネスはビジネスとして成り立たなくなってきた、ということ。これは、「ちゃんとしたパーパスが無い企業は生き残れない」とも言ってしまえるわけです。

さて、ここまで読んでいただいて、なんとなく「パーパスの意味や必要性」はご理解いただけたかと思います。では、後半では、まさに現場でパーパスを書いている私の「コピーライター的意見」を述べさていただきますね。ここからは少し専門的になりますがご容赦ください。

私の、パーパスに対する提言に見出しを付けるとしたら、下記のような2点になるかと思います。

提言①: 書くなら、「表現」としても素晴らしいパーパスを

提言②: でも、表現だけでなく「実現」まで考えないと

次から、それぞれ説明させていただきますね。


書くなら、「表現」としても素晴らしいパーパスを

『伝え方が9割』という本も長らくベストセラーになっていますが、伝え方ってほんとうに大事。どうせ書くなら、文章表現としても素晴らしいパーパスを書きたいものです。パーパスに、目を止めてもらえる「キャッチ―さ」があったり、感情移入してもらえる「共感性」があったり、覚えてもらいやすい「記号性や独自性」があることは、結局、巡り巡って企業の成長につながります。なんせ、「ちゃんとしたパーパスが無い企業は生き残れない」時代なんですから。

いつも私が、表現としてお手本にしているのが、ミツカンさんの”やがて、いのちの変わるもの。”という文章です。

やがて、いのちに変わるもの。

人が泣いています。人が笑っています。
人と人が出会い、人と人が恋をし、
結ばれ、子供が生まれ、育ち、
ふたたび新しいドラマがはじまってゆく。

人は歌い、人は走り、人は飛び、人は踊り、
絵を描き、音楽を生み、壮大な映像をつむぎ出す。
食べものとは、そんなすばらしい人間の、
一日一日をつくっているのです。
こんこんと湧き出す、
いのちのもとをつくっているのですね。

私たちがいつも胸に刻み、大切にしているのは、
その想いなのです。どこよりも安全なものを。
どこよりも安心で、健康で、おいしいものを。

やがていのちに変わるもの。

それをつくるよろこびを知る者だけが、
「限りない品質向上」をめざせる者であると、
私たちは心から信じています。

いかがでしょうか?

まるで、詩のように美しいですよね。

ホームページを拝見すると、これは「グループビジョンスローガン」と規定されていますが、私としてはミツカンさんのパーパスとも言える素晴らしい文章だと思って、いつも机の前に貼って参考にさせてもらってます。”やがて、いのちに変わるもの。”というキャッチコピーは、岩崎俊一さんという巨匠コピーライターさんの作品なので、上記の文章も岩崎さんが書かれたのでしょう。なかなか力及びませんが憧れです。

とある本には、「パーパスとは北極星である」とも誰かが書かれていました。企業活動の普遍的指針となる不動の言葉であり、天に輝く美しい言葉、あらゆるステークホルダーから共感されるような言葉が理想的なパーパスなのだとしたら、やはり、その表現にはトコトンこだわったほうがいいのではないでしょうか?


でも、表現だけでなく「実現」まで考えないと

しかし、その一方で、『伝え方が9割で安心してちゃダメだ』という時代でもあります。表現するだけ情報発信するだけで許されたのは昔の話で、今は、そこに「実現」がともなっていないと信頼してもらえません。実現とは、つまり、言うだけじゃなくて実行するということ。これを専門用語で「パーパスドリブン」と呼びます。パーパスを軸にして実際に企業活動を変革していくことが重要なのです。そうしないと、「なんだ調子のいいこと言ってるだけじゃないか!」とSNSで炎上なんてことも・・・。

このパーパスドリブンにおいても、先述のミツカンさんに素晴らしい事例があります。2019年に販売スタートされた、ふだんなら捨ててしまう植物の皮や芯までまるごと全部を原材料に使った食品で、栄養価も高く地球環境にもやさしい『ZENB』という商品シリーズです。まさに、”やがて”人と地球の”いのちに変わるもの”を実際にカタチにされた、パーパスドリブンのお手本だと思います。

ZENBのようにパーパスを発想の基点にして商品やサービスを開発する、ということを実践されている企業はミツカンさんのような大きな企業だけではありません。私がパーパスをお手伝いしたスタートアップ企業や地域に根差した小さな企業でも、好事例がいくつもあります。

例えば、大阪市にある食品ロス削減をテーマに活動されている”ロスゼロ”さんは、さまざまな理由で捨てられかけていた高級チョコレートの原材料をアップサイクルして『Re: you』という商品を販売されています。

ロスゼロのパーパス
  ロスが減る、笑顔が増える。
 ▼
パーパスドリブンな商品開発
  食べる理由があるチョコ『Re: you』

また、商品やサービスではありませんが、パーパスを軸にして地元地域に貢献するCSR活動を推進されている会社が滋賀県大津市にあります。”杢兵衛造船所”さんという琵琶湖で長く造船業を営まれている会社で、2021年に”地域をひっぱる船であれ”というパーパスを書かせていただいたのですが、その後、地域のこどもを船に無料招待して『船上こども食堂』を開催されたり、『堅田湖族フェスタ』という地域活性化イベントを実施されたりと、一貫して、ふるさとや琵琶湖に貢献するアクションを続けておられます。

杢兵衛造船所のパーパス
地域をひっぱる船であれ

パーパスドリブンなCSR活動
船上こども食堂 / 堅田湖族フェスタ

Re: you や船上こども食堂はネーミングも考案させていただいたのですが、コピーライターとしてできるパーパスドリブン推進のお手伝いとして、私は《パーパスネーミング》手法をおすすめしています。これは、パーパスの考えを踏まえて商品などのネーミングをすることで、そこにきちんとパーパスの精神が宿り、企業活動により一貫性が生まれるのではとの意図からです。商品ネーミングを依頼された時に、「まずパーパスから規定しましょう」とご提案することもあります。

このように、パーパスはドリブンさせてナンボ、なんです。パーパス発想で商品を開発したり、そのネーミングを考えたり、こういうnoteを書いたりというのは全部「パーパスをドリブンさせる工夫」の一例ですが、まず、いちばん最初に大切なのは、社員のみなさんの意識を高めていただくことです。大東市地域包括支援センターでも、パーパスについてあれこれ議論する”パーパスミーティング”を定期的に実施される予定ですので、社員のみなさん、ふるってご参加くださいね。


ーーー 最後に

おもわず熱が入って長文になってしまいましたが、「パーパスは北極星」という言葉どおり、社員のみなさんが包括センターで働かれるなかでの指針となりえるのがパーパスであり、そのためにはみなさんの積極的なご協力が必要不可欠です。大東市では、すでに「健康寿命の増進」「それにともなう大幅な介護コストの削減」という数値結果も出ていますので、よりいっそう、長生きを長イキイキにする動きを加速させていきましょう!

さぁ!長生きするなら、大都市よりも大東市!






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