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第3回THE NEW COOL NOTER賞エッセイ部門~8/18講評

第3回THE NEW COOL NOTER賞エッセイ部門へご参加いただいている皆様。

8月開催エッセイ部門につき、15日いっぱいで応募を締め切らせていただいたところです。このたびは、たくさんのご参加まことにありがとうございました。
現在、先行募集を開始している「食育・子育て・おいしいもの」部門も、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、応募された皆様にお知らせです。

本記事の一番下に、8月にご参加いただいた皆様のリストを掲載させていただいています。万が一、ご参加いただいているにも関わらず、下のリストにお名前が載っていない場合は、急ぎ一奥まで連絡をいただければ幸いです。
the.new.cool.noter@gmail.comまでお願いいたします)

本日は、応募いただいた作品より、講評を2つ掲載させていただきます。

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<講評(ヒロさん)>

子供が一番好むのは目線の高さが一緒なのだ と感じたときだと思うのです。


中腰の姿勢をとり、子どもの目線の高さで読み進めさせられる、分かりやすさと繰り返しが とても効果的だと思いました。

しゃがんだ高さから見る駅舎、ホーム、鉄道、座席、通り過ぎるひとびと ...

それはそれは刺激的で魅力的で初めて見る景色に興奮度合いは最高潮です。

まだ余白もシワもたっぷりの脳では情報処理も的確な発信も ままならないほどの視界が鉄道には広がっています。

大人目線の高さの世界に4歳児の自分が迷い込んだのではなく、身長1メートルの目線が世の中の高さなのです。

母親からの視点で書きながら、自然と 4歳児の目の高さで読まされている そんなnoteだと思いました。

2人のかけあい、問答は 実は4歳児ちゃんから見た大人の振る舞いが記されているのではないだろうか など微笑ましく読み進めました。

駅舎や線路廻りの ほのぼのとした、のどかな風景も伝わります。


旦那さんと3人の車中で、『電車の旅』の顛末を自慢げに講ずる娘ちゃんの姿が目に浮かびます。

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<講評(ゼロの紙さん)>

いぬいさんの語り口とても好きです。
ちょっと落語を聞いてるような。
そう、いぬいさんのエッセイは語り
なんですね。
聞いていたいっていう感覚。
読んでいるのに、いぬいさんのお話を
聞いてる感じが好きです。

7月26日は幽霊の日なんだそうです。
知らなかったです。
こういうことを知ることが出来るのも
エッセイの面白さです。

円山応挙の幽霊画についての、記事を
引用しながらその絵が所蔵されている
青森県のお寺に視線を向けられます。
日本画エッセイの佇まいかなって思っ
ていたら、ご自身が学生時代に馴染ん
でいた青森での心霊スポットに視点が
注がれて。一挙に親しみのある話題に
降りてゆく。

そして最後は俳句の夏の季語として、
幽霊はありかいなかという問いかけ
を放ち展開しつつ、
「視たくはない。出会いたくもない。
でも、存在していてほしい。」
と、思う人の心についていぬいさんは
読者に畳みかけるのです。

「幽霊」って人々の魂とむすびついて
いるものだから、どこかで待ってしまう
し、そのことを否定したら愛おしかった
彼らの住んでいる場所も否定することに
なるんじゃないかと。

やさしい眼差しですね。

そして最後にご自身の俳句を結びの言葉
として綴られています。

このエッセイは、とても遠い話題にもみえる
「幽霊」から始まります。離れ場所から、少
しずつ、距離を縮めながらわたしたちの足元
に視点のアングルを移動させてゆきます。

そしてその眼差しをもうひとつ遠くに再び
飛ばして。

やがて幽霊が気になってしまうのは、日本
人の死生観に所以があるのではないかとい
う、いぬいさんの思考のプロセスをこのエッ
セイのなかでわたしたちは知ることになる
わけです。

遠くの視点から私事として近くに降りてゆき
ながら、また広がりを普遍的なものへとみせ
てゆく。

この思考のプロセスがみえることこそが、エッ
セイなんだなってあらためて思わせてくれま
した。

いぬいさん、時間を浮遊しているかのような
素敵なエッセイをお寄せ頂きまして、ありが
とうございました。

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<講評(洋介さん)>

このエッセイは
ラベンダーさんの回想録だ。
小学校六年生の夏に
大阪から鹿児島へ向かう旅路

移動中に見た青い空と
美しい田圃の景色
目に飛び込んできた
真っ白な校舎と駆け抜けた直感。

転校してからの景色は
面白くなくて…….。
時は進み
ラベンダーさんは中学生になった。

中学では小さな
運命の出会いがあった
運命の糸はラベンダーさんを
引っ越しで見た風景へ誘う。

真っ白な校舎は通う高校となり
小さな幼き出会いは
小さなままに終わりを告げる。

時は過ぎ高校三年生になった。
周りはみな就職をする中で
ラベンダーさんも
大阪へ戻り就職する道を選ぶ。

小さな出会いは
さざなみのように再びあったが
ラベンダーさんの道とは
交差することはなかった。

幾星霜の時が流れた。

卒業から四十年の月日が経つ
十年ぶりに果たせた
帰省で母校を見た。
色合いはすっかり変わり
不思議な気持ちに囚われる。
母校に思いを込めて
門礼をして実家への道を進む。

進路とはなんだろう。
良いも悪いもないのだよと
ラベンダーさんは言う。

道は決して一つでは無い。
遠回りの道、迂回する道、
上り道に下り道
あるべき道なんかなくて
出来事をしっかり見るだけなんだ。

しっかり見ることで
小さなヒントが見えてくる。
あの時、見た青い空と
美しい田圃の景色

小さな直感を
大切にしていると
感情に惑わされず
なんとかなる人生が
行先に拓けてくる。

ラベンダーさんは
大切な家族をつくりあげ
子供たちも社会人
自分も自分の人生を歩む。

これからの道は
自分の針が示す進路になる。
あの日の空に動いた心
美しい田圃に動いた心
あの時のように
自分の心に
素直に聞いて進む道がある。

今のラベンダーさんは
経験を積み
人生で最高に熟成した
美酒の味わいを精神に持つ。
これからの航路の人生では
一番若い自分でもある。

人生をたっぷり
楽しんでくださいね。
素敵なエッセイを
ありがとうございます!

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*講評は分担制としているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。

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応募作品はこちらのマガジンに収録されます。
 他の参加者様の作品もお読みいただき、ぜひ、当コンテストを通して新しく知り合い、また仲良くなった、との声をお聞かせください! 皆様の縁がつながるコンテストでありたく思います。

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