【詩】君が前を向くために
「あの人が悪いわけじゃない
誰も、悪くはない」
つぶやくようにそう言った君の言葉
自分を傷つける者さえ庇ってしまう君
僕は「そうか……」と返事をし
やり切れない思いで鉛色の空を見上げる
君は自分に優しくするのが苦手だから
傷つけられても
相手の事情や内心を思い量って
自分の思いを飲み込んでしまう
でも僕には見えるんだ
君の中にわだかまった悲しみが
じわじわと君を苦しめ苛むのを
どんなに時計の針を巻き戻したとしても
同じ場面で君は同じことをするだろう
どんなに時計の針を先へ