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『730回目の絶望』


   何事も無かったかのように
 「ヤァ。」と呑気な顔をして 
730回目の朝がやって来た 

決めていたことだから、と 
ようやく整理に手をつける 
何からはじめてよいのやら

 ベッドの傍ら
 一人立ちん坊

晴れの朝毎陽に当ててきた
君の枕の残り香嗅いでみる
春の早朝公園の匂いがした
 (或いは)
夏の日西陽差し込む体育館
ボールを追っていた中学の
飛び散ったサイダー色の汗
 (それは)
少年のような君だったっけ

     枕の下
      (フト)
    一本の黒髪

つまんで陽に翳せば
オレンジ色に包まれて
スラリと立つ君のような
 ・
 ・
 ・
否応なく
 君の不在を突きつけられる
  730回目の朝
決定的な
  730回目の絶望
君よりの
  730日目の贈り物

  
 

  

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