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AIシンガーとChatGPTと英語での作詞

2022年からSynthesizer VというAIシンガーを導入し、オリジナル曲をYouTubeで公開しています。

英語でコメントを下さる方が結構多いこともあり、歌詞を英訳した字幕をつけられないものか、とかいろいろ考えてはいるのですが、今回、歌詞を一曲全部英語でつくるということにチャレンジしてみました。

最初はワンコーラス分で力尽き、いったんショートヴァージョンで公開したのですが・・・その後、気を取り直してフルヴァージョンの完成・公開にこぎ着けました。

拙い英語力を駆使しての制作でしたが、いろいろと気づきがあり、やってよかったなと思っています。

まず、低い声のほうがより英語らしく聞こえるということ。

これまでも曲中のワンフレーズだけ英語だったり、サビだけ英語というパターンの曲はいくつもつくってきました。
サビで声を張るところが英語っていうのも、もちろんそれはそれでカッコいいのですが、歌い出しの低めの音域から英語で始まると、これがまたいい感じです。
Maiさんが特に優秀なのか、音域がちょうど良かったからなのか、今回の曲に限ってはSakiさんよりもMaiさんが合っていたように思います。

ちなみに、Google翻訳を駆使しながら自分で考えた歌詞は、最終的にChatGPTで添削してもらいました。

で、提案された改訂案がこちら。

Cause we're the children of the stars,
So we can't leave you, shining in your light.
We were born from stardust long ago,
And someday we'll return to the universe.

Some of us were frozen in ice or covered in desert,
But others were blessed with the ocean.
A lot of life was born there and evolved,
From very small beings, someday they'll find us.

ChatGPT

"we are"じゃなくて"we're"のほうがいいよとか、まあ言っていることはわからなくもない。
でも、そうするとメロディの音数(というか音節数)に対して、どうしても詰め込みすぎたり間延びしてしまったりするので、なかなか難しいところです。

根本的にひどい勘違いをしている、というわけではなさそうなので、折り合いをつけながら多少修正を加える程度にとどめました。

しかし、仮にChatGPTによる添削が、文としてまあまあのクオリティを保証してくれたとしても、歌詞 (Lyrics) としてそれをOKにするかどうかという点では、また別の問題があるように思います。

それは、曲の雰囲気や構成、メロディやサウンドと合わさったときに、その言葉が聴き手にとってどう聴こえるか、どう響くかということです。

例えば、文としては何も間違っていないけど、子ども向けの科学入門書の序文に書いてありそうな文句を、情感たっぷりに歌い上げられてもねえ・・・みたいなことがあるんじゃないかと。

あるいは、前半でいいこと言ってるけど、サビ (Chorus) のフレーズがそれなの?みたいな。

日本語で歌詞をつくる際にも、あえて「違和感」を持ち込むための言葉選びというのがあるわけで、あまりにもありきたりな言葉で、特にストーリーもプロットも感じさせないような並べ方をされても、何も心に響かないというか、悪い意味での違和感を醸し出すだけ、という危険性はあります。

なぜ、そんな心配をしているのかというと、最初にこの曲のタイトルである "Children of the Stars" を思いついたときに、まずChatGPTで「"Children of the Stars" という歌い出しで歌詞を作ってほしい」という依頼をして、日本語と英語でそれぞれ作ってもらったことがあったからです。

英語の歌詞はあとで参考になるかも、と思って一応保存しましたが、今回の歌詞にはまったく反映されていません。そして、日本語のほうにはヒントとなるようなフックのある表現も見当たらず、保存する必要もないような歌詞でした。

最大公約数的な言葉を連想ゲームのように抽出して、定型詩のように整えただけ、という印象です。プレスリリースの文章や論文のサマリーぐらいは問題なく作れるのかもしれませんが、AIに言葉選びのセンスを期待するのは、まだ少し早いのかもしれません。

一方、AIシンガーの進化はどうでしょうか。それは私の作品を聴いていただければわかる通り、もうCGでいうところの「無気味の谷」はとうに超えてしまった感があります。

どこまで進化するのか、楽しみにしながら今後も創作を続けていければと思っています。

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