長男の変化
今週、長男がついに二十歳になりました。オーストラリアでは18歳で成人になるので、2年前に何となく育児に一区切りついたような気持になりましたが、やはり20歳の方が区切りとしては大きく感じます。
長男が生まれた時、新生児黄疸が重症で生後数日で救急へ運ばれました。交換輸血(血液の交換)の可能性があったので数日入院しましたが、どうにか交換輸血は免れました。ただ、その後もぐったりしているように感じたり、母乳を欲しがらないように感じると病院に駆けつけ、数か月に渡り血液検査を毎日のように受けていました。出産後からそんな調子だったので、産後にゆっくりした記憶はありません。ただ、長男の顔を見るだけで生きていけると感じ、気力だけで自分を保っていたように思います。
1歳を過ぎた頃から機関車トーマスが大好きで、いつでもどこでもトーマスで遊んでいる子どもでした。その後弟と妹ができて、面倒を見てくれたり、わがままを言うようなこともなく、長男気質というとありきたりですが、とても育てやすい子だったと思います。
ところがやはり我慢していた分、そのツケが回ってきました。高校生の時に、心を病んでしまったのです。長男の心が壊れてしまって、私一人では対応できない状態でした。専門の医師、カウンセラー、学校の先生方のサポートを受けて、どうにか高校は卒業できました。
今までの年月で様々な方から支えられ、悪化を防ぐことができたのですが、常に緊張しながら綱渡りするような毎日でした。
そんな状態の中、私は当時からお寺のお坊さんに相談し、様々な側面から指導を受けていました。母親として自分ができる事はなんなのか?をアドバイスして下さり、実践を重ねました。ゴールがあるようでないような、途方もない距離を歩くような感覚でしたが、それでも一歩ずつ進むしかありません。
そんな日々を過ごして2年半ほど経った頃、私だけではなく夫もお坊さんの指導を受けて夫婦で取り組むようになりました。夫は、仏教についてまだ何もわからない状態でしたが、できる事から実践するようになりました。
すると、長男が少しずつ変わり始めました。自分が本当にやりたいこと、目指したい方向がわかり、大学へ行くと言い出しました。幸い、希望する学部に必要な試験のスコアは取得していたので、この7月から希望する大学へ入学することが叶いました。
そして、決定的な出来事が起きました。長男も、自分が今まで避けていた仏教、仏様の教えを私達家族と一緒に信仰していくと決めてくれたのです。その日から、長男は確実に変わっていきました。顔の表情も晴れ晴れとし、心が変わった事が見て取ることができます。
私を指導してくださるお坊さんがいつも仰っている「自分を救えるのは自分だけ。」という言葉の通りです。
私は母親としてできる事は何でもしますが、私がどんなに愛している相手でも、私の力では相手の心を変えることはできません。
仏教は、その人の心を救える唯一の手段、方法なのだと、長男との経験を通して実感しています。
お陰様で、長男は毎日大学へ通い、家でも勉強に励み、週末は嬉々としてアルバイトへ出かけています。そんな日が来るなんて、今でも信じられない気持ちです。
今、心が壊れそうな方、悩んでいる方がいたら、どうか仏教に触れて下さい。すぐには結果がでなくても、必ず救われる日はやって来ます。心が晴れる日がきっと来ます。
★毎週月曜日更新。次回は8月12日です。★
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