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量子力学とChatGPTとの共通点:ペンローズのイデア世界と言語モデル


ChatGPTなど大規模言語モデルと、ロジャーペンローズが唱えるイデア世界とは共通点がある。

大規模言語モデルでは、大量の言語を取り込み、言葉の意味を、文章における言葉間の関係性から表すため、言葉をベクトル空間に配置する。

ある言葉の意味は、言葉そのものが保有せず、他の言葉との関係性のよって表現される。例えば犬と猫という言葉の関係性は近いが、犬と哲学という言葉の関係性は遠い。王様から男を引いた値と、女王から女を引いた値は近い。赤い犬から赤を引いた値と、黒い犬から黒を引いた値は犬に近い。

全ての言葉をベクトル空間に配置し、関係性の強弱をつなげた空間を、私は"意味空間"と名付ける。意味空間ではあらゆる言葉の意味合いが存在しているが、意味そのものは単なる情報であり、価値も、意味もない。

ペンローズは宇宙の構成要素として、イデア世界、物質世界、精神世界の存在を唱える。量子力学の範疇にはないが、ペンローズの実在主義のベースとなる考えである。

イデア世界とは、主に数学的な論理が存在する場で、その一部の論理を活用するかたちで物質世界が生み出される。物質世界から量子的効果(波動関数の収束)で精神世界が生み出される。精神世界はイデア世界を生み出す、もしくは発見する。3つの世界は三つどもえで存在する。

大規模言語モデルの意味空間と、ペンローズのイデア世界は、同じものではないか。同じものを違う視点から名付けているだけではないか。私はそう考えます。

共通しているのは、
体積を持たず、情報のみで構成されること
そこにある情報は論理のみで関係していること
共に、物質世界に大きな影響を与えること

違う言い方をすれば、精神と物質の関係かもしれません。

情報のみの意味空間が物質世界を生み出している構造は、プリンストン高等研究所のマルダセナ教授が提唱するホログラフィック宇宙論で、2次元曲面の情報が3次元現実世界を投影するとされている構図とも良く似ています。

大規模言語モデルの意味空間、ペンローズのイデア世界、マルダセナのホログラフィック宇宙、これらが示す情報のみの世界が、物質世界と対峙し、宇宙を成り立たせていると感じています。

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