東京味のグランプリ

有名だったラーメン屋は続いているのか

共楽の変わらぬ味
先週、銀座にある「共楽」にいってきました。ビルの建て替えのため、休業して3年ぶり、今年の5月に再開したラーメン屋です。銀座・松屋のそばという好立地ながら、隠れた美味しいラーメン屋というのが私の認識で、以前よくいっていました。この日はワンンタンメンをいただきましたが、相変わらずさりげないおいしさです。ネットで見た限りですが、いま店をやられているのは2代目で、息子さんも一緒に店にたたれています。店は(私が生きているうちは)続きそうです。

かつては有名店のいま
手元に『東京 味のグランプリ200』なる本があります。山本益博をグルメ評論家・料理評論家として一躍有名にした本です。星でレストランを評価するミシュラン方式を日本ではじめて(本の帯に書いてあるから、本当だろう)取り入れた本です。『東京 味のグランプリ200』が出版されたのは1982年(昭和57年)ですから、37年前です。
この『東京 味のグランプリ200』は「すし」「そば」「天ぷら」「うなぎ」などジャンル別に分けられていて、「ラーメン」のジャンルもあります。山本益博が「ラーメン」で三つ星、二つ星を与えた店は以下の11軒です(丸福だけが三つ星、その他は二つ星)。

丸福(荻窪)△
大勝軒(池袋)△
喜楽(渋谷)○
さぶちゃん(神保町)×
恵比寿(恵比寿)×
来集軒(浅草)○
ピカ一(小川町)×
光江(入谷)×
香月(渋谷)△
たいめいけん(日本橋)○
春木屋(荻窪)○

○は現在も営業している店、×は閉店してしまった店。△は注釈がいる店です。ちなみに当時すべての店にいってます(笑)。
丸福という店はいまも荻窪にありますが、記憶を辿ったり、少ないネットでの情報を見る限り、以前の人気店とは違うようです。
1982年の時点では、大勝軒は名物だった親父さんがやっていた店だけの時です(ものすごい行列でした)。いま大勝軒は直営店として7店舗、更に「大勝軒のれん会」というのがあり、全国にいくつもの店舗があります。いろいろ経緯があったようですが、82年の時点の店といまの多店舗は違うのではと思います。
香月は82年には明治通り沿いにありましたが、その後恵比寿の駅から近いところに移転しました(多分いま松屋がある場所)。いつも行列でしたが閉店。その後、六本木で復活しましたが、いまは池尻大橋と五反田で営業しています(一時、恵比寿の別な場所にもあったのですが、あれは別物?)。この店も、82年の香月とは違うかな、と思います。

店を継続することの難しさ
ラーメン屋に限りませんが飲食店を長く続けていくことは難しい。特に大きくない店で一人の店主の技量がほとんど味のすべて、というところはその味をどう継承していくかが課題です。ラーメン屋は大きくない店がほとんどで、ラーメンの味を継承してくいくことは容易ではないでしょう。更に社会の労働環境も変わり、後継者がいないこともあります。
先にあげた11店舗のうち、いまも純粋に続いているのは(私の判断ですが)4店舗です。時代の流れを感じます。いまでもラーメンはグルメの主役です。観光客も大好きです。いまの人気店はずっと人気店のままなのか。まあ、いま旬のラーメン店にいくしかない、ということかな。

ご支援いただきましたら、店で販売する本の仕入れに使わせていただきます。よろしくお願いいたします。