ミシュランガイド

ミシュランガイドを巡る話

ミシュランガイド地域版の発行は不定期
 先月、『ミシュランガイド東京2020』が発売されました。ミシュランガイドは星でレストラン、ホテルを格付けすることで有名な本ですが、日本ではレストラン格付けの本として一般には知られています。ミシュランガイドの日本版は2007年に『ミシュランガイド東京2008』が出版され、それ以降東京を始め、「大阪・京都」「富山・石川(金沢)」「広島・愛媛」「福岡・佐賀」「広島」などいくかの地域版も出されました。2020年版については東京と大阪・京都版が出され、地域版の発行タイミングは不定期(というか適当?)です。
 ミシュランガイドの本は発行がミシュランタイヤ株式会社です。公式ウエブサイトの情報によれば、設立は1975年で、資本金は1億円、従業員は600名。フランス法人のミシュランの日本法人でしょう。私が調べた限りでは、この会社は「ミシュランガイド」以外の出版物をだしていません。

本としては珍しい「ミシュランガイド」
 おそらくフランスでのミシュランガイドもミシュラン本体が発行しているため、日本でもこの方式が踏襲されているのではと思います。ただ実際の編集作業はどこか外部に委託されているのではと推測します。レストランへは匿名での調査が原則なので、そのあたりは秘密でしょう。
 発行がミシュラン株式会社ということで、本の流通も少し変わっているように感じます。『ミシュランガイド東京2020』の発売日は先月11月26日(アマゾンの表記による)です。発売からまだ1ヶ月も経っていない今日(12月20日)の時点で、アマゾン、楽天ブックスではすでに新刊が買えない状況です。アマゾンでは定価(3,498円)より1000円以上高い金額で出品されています。ネット書店の在庫は取次、出版社の在庫とリンクしているはずで、どこかに在庫があれば「入荷予定あり」といった表示になるはずです(ちなみにhontoには新刊在庫がありますので、購入を希望される方はお早めに)。これも推測ですが「ミシュランガイド」は初版のみの販売で、いっさい重版はしないのかもしれません。そして、初版は刷り部数も多くはないのでは。
 また、「ミシュランガイド2020」は東京版も大阪・京都版とも3,498円です。東京版は352ページですが、全ページカラーとはいっても少々高い。同じような体裁で、グルメガイドといった種類の本であれば、精々2,000円でしょう。これも刷り部数に関係しているのかもしれません。

「クラブミシュラン」がいいかも
実はミシュランガイドは本からネットに主軸を移しているようです。「クラブミシュラン」なる公式サイトがあります。ここは完全会員制で、ウエブであれば月額330円、年額なら3,300円(税込)でサイトのコンテンツが閲覧できる仕組みです。加えてレストランの空席情報、会員限定のリザーブといった特典があります。本を買うよりお得。うまいビジネスモデルを考えついたものだ、とちょっと感心しました。食べログ、ぐるなびとは競合関係にあるようにも思えます。レストラン情報への需要は普遍的な人気があることの証拠でもあります。でも、繁盛しているのかな。「ミシュランガイド」というブランドは、歴史の中で進化、発展しているようです。

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