栗原はるみ2

栗原はるみブランドを読む

旬な料理家は?
 料理家は数多くいらっしゃいます。料理教室を主催していれば料理家という感じでしょうか。料理家のなかでいろんな意味でトップの位置にいると思われるのが栗原はるみです。阿古真理は著書『小林カツ代と栗原はるみ』(新潮社、2015)で「カリスマの栗原はるみ」と表現しています(ちなみに、この本は料理家を考察するためにはおすすめの本です)。栗原はるみは料理家、そして料理レシピを考えるときに外せない方です。ここではレシピ本からみた栗原はるみを私なりに分析してみたいと思います。
 いま、レシピ本を多くだしている旬な料理家は誰か。ワタナベマキ、藤井恵、坂田阿希子、そしてベテランの有本葉子といったところでしょうか(あくまで私見です)。例えばワタナベマキは今年新刊として『たまご×ワタナベマキ=ソース』『何も作りたくない日はご飯と汁だけあればいい』『料理家ワタナベマキが家族のために作るごはん』を出し、来月『発酵野菜があればおいしいごはん』が予定されています。このペースでだせるのはすごい。

小林カツ代と栗原はるみ

栗原はるみのレシピ本は?
 栗原はるみのレシピ本と言えば、ベストセラーでロングセラーの『ごちそうさまが、ききたくて』が思い浮かびます。この本が出版されたのが1992年、27年前です。それ以来、多くのレシピ本を出してきました。しかし、近年は単発のレシピ本は減っています。レシピを発表する場として『haru_mi』があります。これは季刊で扶桑社から発刊されているもので、創刊は2006年です。『haru_mi』の発行部数は155,000部(印刷証明書付部数)です。季刊なので月刊誌との比較は単純にはできませんが、例えば女性誌の『婦人画報』の145,417部、『クロワッサン』の148,500部と同程度の部数です。雑誌が売れていない時代に、15万部は決して少ない部数ではないでしょう。この人の根強い人気を証明しています。
『haru_mi』は160ページ超で1049円(税込)で、質感からは高い感じはしません。最近号(2019年秋)には50ページの「はるみの味つけノート」が付録で、お得感すらあります。

強いブランド力
 この『haru_mi』の訴求ポイントは何か。やはり栗原はるみの新作レシピが載っていることでしょう。現在、この雑誌以外ではNHKの「きょうの料理」に出演しています。しかし、今年の4月からは年4つの月(四季ごと)、各月に2日間の出演になっています(昨年までは毎月出演していました)。ここも新作レシピを披露してくれます。
 こう見てくると、メディアへの露出が上手くコントロールしていると感じます。ご本人も70歳を超えられ、マスメディアの要求に総て答えるわけにもいかないのかもしれません。ただ、メディアへの出演だけでなく「ゆとりの空間」ブランドで多方面にビジネスを展開しています。例えばレストラン、カフェは現在全国に7店舗。ショップはたくさんありますし(ウエブサイトで数えるのを諦めました)、オンラインショッピングもやっています。
 栗原はるみは、我が国において歴史上もっとも成功した料理家かもしれません。これからも活躍されることでしょう。
 

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