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ヴィーガンも肉食も絶賛する2冊。『久松農園のおいしい12カ月』と『ヴィーガン・レシピ』

野菜が主役のプロ料理人による本が、ほぼ同時期に2冊出ました。

2019年12月20日に発売になったのは、プロが誰もが扱いたいと所望する茨城・土浦の久松農園園主の久松達央さんが作る野菜を、フリー料理家でありケータリングやお惣菜販売、月1回のレストラン営業を東京・深沢で営む「food&design CONVEY」の横田渉さんが季節ごとに作り上げる料理を追った1年間の記録、『久松農園のおいしい12カ月』。

季節の野菜を使ったレシピは36品掲載されていますが、この本は、久松農園での久松さんと横田さんの畑を通した交流を足掛け2年かけて追った本。
キレイごと抜きの農業論』という著書も持つ久松さんと、毎月通って料理に仕上げる横田さんとの畑を通じて魂をぶつけ合った記録をプロのライターである角田奈穂子さんが綴っています。
版元は、真っ黒な鋳鉄製フライパンで有名になった米国LODGE社の輸入総代理店を務めるエイアンドエフ。私もスキレット本を作った時に大変お世話になりました。
やっぱり肉料理』(大和書房)という著書もあり、あのアリス・ウォーターズのお膝元、米国西海岸で働き、カリフォルニア・キュイジーヌを学んできた横田さんらしいつながりとも言えそう。

そしてもう1冊が、12月23日発売。東京・青山一丁目で炭火焼グリルで焼く熟成肉を看板メニューにする「The Burn」のエグゼクティブ・シェフを務める米澤文雄さんによる『ヴィーガン・レシピ』。こちらも実は久松農園と近しい関係。

米澤さんといえば、もともとNYの三つ星店「Jean‐Georges」でスーシェフになり、「ジャン・ジョルジュ東京」の開業ではシェフ・ど・キュィジーヌとして腕をふるってきた名実ともにスターシェフでありながら、水産資源の枯渇に警鐘を鳴らし料理人として向き合い方を広報する活動「Chefs for the Blue」のメンバーとして活動したり、入院付き添い家族をサポートするNPO法人「キープ・ママ・スマイリング」のサポートなど、社会的貢献を意識した新しいタイプのシェフです。
私自身も2018年9月オープンのThe Burnで、カリフラワーのステーキやローストにんじんのおいしさに震えた一人なので、レシピ本出版のニュースはとても嬉しいものでした。
版元は、食の専門出版社である柴田書店だから、もちろん徹底的にレシピが追求されています。

これら2冊の詳細はCOOKBOOK LAB.で紹介しますが、まったくタイプの違う書籍2冊で、どちらも肉料理を得意とする料理人が関わった野菜料理本というところに注目するべきでしょう。
幸運なことに、横田シェフ、米澤シェフのお二人ともにリアルに存じ上げているので、ふたりが正反対なキャラクターであることはわかっています。
でも、お二人ともカリフラワーのステーキを本の中で取り上げていて、"食”への取り組み方も想いののせかたも、娘ラブなところも一緒w。
影ながらずっと応援していこうと誓っているのでした。

ヴィーガンというより、野菜料理本として超絶におすすめしたい2冊です。

*追記*
2020年1月15日に東京・青山のThe Burnで行われた米澤シェフの『ヴィーガン・レシピ』出版記念パーティーに出席してきました。

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米澤シェフによる本への思いや柴田書店の編集者など制作スタッフによる制作裏話の他、久松農園の久松達央さんとのトークなんかもあり、野菜料理の美味しさはさることながら、米澤シェフをはじめとする制作側の熱い気持ちに思わず惚れてしまう夜でした。

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久松さんの「米澤シェフは野菜をエロ旨くする」というコメントに激同意。

ありがとうございます。新しい本の購入に使わせていただきます。夢の本屋さんに向けてGO! GO!