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対話型AIってなに? - 5分で解説!

はじめまして、カンバセーション・ヘルスの担当者の古田です!この度noteを始めることになりました。

まず今回のテーマは『対話型A I ってなに?』。 デジタル庁の発足もありAIについて見聞きすることも多くなりましたが、対話型AIは海外に比べてまだまだ情報量が少ないような印象を受けます。今後定期的に対話型AⅠや海外の事例を含めた医療テクノロジー・DXの最新情報をご紹介していきたいと思いますのでどうぞお付き合いの程よろしくお願いします。

対話型AIってなに?

近年、AIもしくは人工知能といった用語をよく聞くようになったのではないでしょうか。業務の効率化や提供価値の向上を目的に、AI (人工知能)を取り入れている企業は世界中で年々増えています。またテクノロジーやアプリケーションの発達に伴いその精度は格段に向上しており、今では金融、流通、教育、広告、医療といった幅広い業界で導入されています。

2020年以降の傾向としては新型コロナウイルスへの感染防止のため、各業界が対面に替わり、オンラインを活用したコミュニーションに迅速に移行させる必要があり、特に海外ではAIをコミュニケーションのツールの一部として活用できないか、という機運が高まっています。

そこで現在注目されているのが『対話型AI』。対話型AIとはより人と人との会話に近いコミュニケーションを可能にするテクノロジーで、人間の求めていることを文面から理解することができます。また言葉の意図や背景も理解し、それにあった人間らしい会話を展開することが可能です。

対話型AIの導入例

海外では、対話型AIの導入は特にお客様との対面のコンタクトが重要な銀行、リテール、旅行業界などで人気が高まっています。また対話型AIを活用したチャットボットを会社のウェブサイトに取り入れ、お客様の質問、お問い合わせをチャットポットが対応する企業も増えてきてます。また皆さんにもっと身近な例としてはGoogle アシスタント、アレクサ、Siri なども対話型AIが組み込まれており、現在世界的に多くのユーザが利用しています。日本でもテクノロジーに興味のある方からそうでない方まですでに活用されている人も少なくないと思います。

わたしの知り合いでも、アレクサ家に3台あるよって教えてくれた方もいました。笑

Google アシスタント|それ、Google にやらせよう。 篇 90秒

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                  Google Japan Youtube より

上の動画でとてもわかりやすく表現されていますが、やはり日常的に使う言葉でバーチャルアシスタントを起動し且つ頼み事をお願いできるというのは大きなメリットです。まるで人間のアシスタントに「これ、やってもらえる?」と声がけするような感覚で、従来の「ロボットを操作」していた時代からは随分進化したなぁという印象です。

さて私たちの日常に身近になってきた対話型AIですが、では一体どのように機能しているのかをざっくりですがご紹介しますね。


対話型AIの基礎用語?

ここからはより皆さんに理解してもらうため少し例えを使って説明していきます。

例えば、

仕事が終わった18時ごろ帰宅途中に、家の近くのカフェで2時間ほど資格の勉強をしたいなと思っています。でも、もう18時。このカフェが21時頃まで開いているか調べたいとき、カフェのホームページやぐるなびなど検索に時間をとられてしまうことってありますよね。こういう場合は、チャットボットに「カフェは何時まで開いてる?」もしくは、「カフェはまだ開いてるかな?」なんて聞くことができます。

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                            Photo ACより

これらの複数ある質問の聞き方(例えば「カフェは何時まで開いてる?」や「何時に閉まる?」など)、つまりチャットボットに尋ねる質問をUtterance(アタランス=発話文)と呼びます。また、あなたが得たいと思っている情報、質問の意図は、Intent(インテント=意図)と呼びます。

例えにあげたケースのように、複数の異なるアタランスであっても、同じインテント(つまりカフェの営業終了時間を知る)を持つことができます。

次にEntities(エンティティ=発言の意味や本質)についてご紹介します。チャットボットは、質問の内容から「場所」、「時間」、「人」、「行動」、や「対象となるものや行動」といったエンティティとして識別します。上記の例では、エンティティは場所= カフェと、時間=閉じる/開く/もう閉まっているとなります。対話型AI を搭載したチャットボットは、アタランス、インテント、またエンティティを組み合わせることによって文章の認識をしたり、正しく回答したりすることが可能となります。

note1-AI基礎知識


対話型AI搭載したチャットボットの「人間らしさ」の秘密

先ほどチャットボットが認識するまでの仕組みを説明しましたが、この認識能力にもちゃんと名前があります。チャットボットが実際にエンティティやアタランスを汲み取り、理解し処理する能力を、「自然言語処理(NLP)」および「自然言語理解(NLU)」と呼びます。NLP はユーザの質問を処理し、それをエンティティに分解します。また、NLUは、ユーザーの質問内容を直接理解し、その情報をコンピュータが理解できる形式に変換します。音声チャットボットには、音声認識を行うのにNLPが不可欠です。

残念ながら、NLP単独では部分的にしか質問に対する回答を得ることができません。質問の本来の意味をチャットボットが理解するには、NLP のデータを活用することができるNLUが必要となります。NLUは、質問を解釈し、単語の選択、文脈、感情、および質問の意味などを考慮したうえで総合的に質問を理解ができるのです。NLPとNLUの両方備えることで、チャットボットは人間のように質問の内容を理解し、また質問の実際の意味を理解することができるようになるのです。


NLU を使用しないシステムの例としては、検索エンジンが挙げられます。検索エンジンはクエリ内のキーワードを認識しますが、インテントを認識しません。たとえば、検索エンジンは「外の様子は?」と尋ねると、実際には外の天気を知りたいのに「天気」というキーワードが入ってないため質問者の意図を理解できません。しかし、NLPとNLUの組み合わせることによって、チャットボットがあなたの一見単純な質問の背後にある多くの意味を解明することを可能にします。チャットボットは、あなたが実際に意味したことは「外の温度と天気がどうなのか?」、そして「上着を羽織るべきなのか?」を尋ねていることを理解し、適した回答をしてくれます。

NLPはユーザが尋ねた内容を直接理解し、NLUはその質問が実際に何を意味するのかを理解してくれます。2つを合わせることによって人間のような会話が初めて可能になります。

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AI搭載チャットボットと「質問」

ここまで対話型AIをつかったチャットボットの用語を簡単にご紹介しました。実際の人間の会話は、疑問文(質問文)が多くの割合をしめるのは、これを読んでいる方も実感としてあるかと思います。人間がつくる質問文には膨大となる種類がありますが、ではコンピュータがどのようにこのような大量の質問文を学習、理解できるのか疑問に思っている方も多いかと思います。

この質問の種類の多さについては、多くの対話型AIシステムにおける大事な要素となっています。 NLUとNLPを使用する対話型AIチャットボットにはしっかりとした教育とトレーニングが必要不可欠なのです。子供に小さいころから社会のルールやマナーを教えるように、チャットボットにはどのエンティティを探すのか、発話文を認識する方法、そして人間がその文から実際に何を意図しているのかを丁寧に教えなければなりません。これには、膨大な時間、能力、そして各業界の独自のノウハウなど多くのデータが必要となります。

チャットボットの種類ーボタン型チャットボット

ユーザの多種多様な質問を回避するため、現在多くの企業がボタンで会話を進行させるタイプのチャットボットを取り入れています。このボタン型チャットボットはユーザが自由に質問をボットに尋ねるのではなく、表示されている選択肢(ボタン)のなかから最も適したものを選んでいくことになります。この方法ではチャットボットの学習を簡素化するとともに、チャットボットが質問の意味を理解する必要がなくなるため、開発を迅速に行うことができるようになります。

例えば以下の質問のように今日の野球の結果が知りたいとします。

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野球の結果を知りたいかどうか、という質問に対してユーザーには「はい」「いいえ」の2つの選択肢が与えられています。このようにユーザにどのような回答をしてほしいかをコントロールすることが可能となります。またユーザーにどのような質問ができるかを、あらかじめご案内することもできます。

一方、ボタンで選択肢を与えてしまうためユーザー側としては自由に質問をすることはできなくなります。「人間のような会話」をチャットボットで実現するには会話の内容や、言い回し、ボタンの配置などの細かい戦略が必要です。

チャットボットの種類ー文章入力型チャットボット

もうひとつのチャットボットの種類として文章入力型(オープンテキスト型)があります。 文章入力型チャットボットの場合、ユーザーは人間とのやりとりのように「はい、お願いします!」などと入力することができます。チャットボットは入力された文章を理解し、ユーザーに返答することが可能になります。

例えば野球の試合結果を知りたい場合、

オープンエンド

といった会話をすることができます。

もちろん上の例だと、人間の回答が少し込み入っており、チャットボットが混乱する可能性もありますが、チャットボットの精度は年々向上しており、ユーザーにパーソナライズされた応答をすることができるという利点があります。

また文章入力型チャットボットの場合、以前に話した内容に基づいて次のトピックに移ったり、ユーザーが次に会話したいであろう内容を予測することで、会話を自然な形で継続することができます。

対話型AIの現状とこれから

対話型AIの分野はまだ新しく、始まったばかりですがテクノロジーの発達には目覚ましいものがあります。文章入力型チャットボットの発達により、日本語でも自由形式の会話ができるようになっています。真の人間のようなコミュニケーションに到達するには、より微妙な人間の会話のニュアンスなどを理解させる必要がありますが、その第一歩として現在チャットボットによる会話の言い回し、会話に含まれる感情や共感などの解釈が進んでいます。ユーザとチャットボットとの会話が人間との会話に近づくにつれ、対話型AIの用途が拡大し、より多くの業界で使われてくることが予想されます。

これから対話型AIの導入が進むと予想されている業界の一つとして医療業界があげれられます。ヘルスケアでは、毎日大量の情報をやりとりされる一方、その膨大な情報が満足に活用しきれていない業界でもあります。

医療や健康に関する正確な情報を入手するのに、今はお医者さんなどの医療関係者に直接聞かないとわからない状態です。インターネットにも医療に関する情報がありますが、どの情報が正しいのか、患者さんが正しく判断するのは難しい状況です。頭が痛いなと思ってインターネットで調べても、疲労が原因の頭痛ではないかといったアドバイスから癌といった病気までありとあらゆる情報が混在し、かえって不安になってしまったことって、皆さんも経験がおありなのではないでしょうか。

医療に関する多くのデータが存在するものの、その知識をより多くの人、特に医療に詳しくない方とも共有を可能とするシステムが必要となっているのではないかなと考えています。チャットボットは、この情報処理と共有という点で医療の課題を解決できるソリューション一端を担うことができるのではと期待しているのです。

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