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医療情報の変革の主要パートナーとしてのITチームの存在

著者:
Ian Hamilton: Original Digital Limited カンパニーディレクター,       旧イーライリリー Medical Affairs Global
Shai Blackwell: カンバセーションヘルス EUマネージングディレクター


翻訳:
Miles Lee: カンバセーションヘルス ディレクター, カスタマーサクセス
Nanako Furuta: カンバセーションヘルス ビジネスアナリスト


初めに

前回の記事では『医療情報の技術革命:業界のインサイト トップ5』と題して医療情報、MI部門のデジタル化の必要性とコロナ禍でのトレンドを紹介しました。まだお読みでない方は是非、こちら より、ご確認いただけます。今回は前回の続きとして、医療情報のデジタル化におけるITチームの役割の重要性に焦点を当てます。
ITチームは、製薬業界での新技術実装において、重要な役割を果たしています。前回に続き、今回も製薬業界のIT分野のリーダーであるIan Hamiltonに話を伺い、ITチームとMI部門間の主要なパートナーシップについて探っていきます。

1. 製薬会社におけるITチームの役割とはなんでしょうか?メディカル・アフェアーズ、MI部門とはどういった関係性を持っていますか?

まず初めに、製薬会社において医療とITを専門とした医療ITチームを置くことを私は強く推奨しています。この医療ITチームは、日常のビジネスオペレーション、およびデジタルプロジェクトのマネジメントに密に関与することで、医療現場が必要としている機能、プロセス、規制や課題などを日頃から理解することが出来ます。またこのチームは高度な技術者の集まりというだけではなく、ビジネスニーズと要件を技術要件に変換するスキルを持つITプロフェッショナルとしての役割を担います。

2. 新しいテクノロジーの導入に当たって重要な論点が、「社内で構築するのか」または「ベンダーを活用するか」となっています。IT部門は、新しい機能を社内で作る必要があるのか​​、または、実績のあるベンダーやパートナーにアウトソーシングする必要があるのか​​をどのように評価したら良いのでしょうか。

個人的には、可能な限りその分野のテクノロジーの専門家であるペンダーに依頼することを推奨します。やはり自社で開発をすると、どうしても技術面やクオリティーで専門としているベンダーの商品に比べ劣ってしまいます。まず、ベンダーを選定する上で考慮すべきなのが、ソリューションがオープンであり、自社のエコシステムにうまく統合できることかどうかです。既成のSaaSソリューションは通常より簡単に統合されるので、多くの場合は問題ありませんが、重要な項目のため、まず初めに統合の可能性をしっかり確認することをお勧めします。また、製薬業界においてベンダーを選択する際には、ベンターが専門知識を持っているかどうかを評価することが重要です。専門用語の理解や法令遵守の適用を円滑に行うためにも、制約の厳しい医療業界にとって、これはとても重要です。最後に、ベンダーのメンテナンスのサービスを見ることも重要です。メンテナンスにおいて、極力社内の負担が最小限に済むように、アフターサポートがしっかりしているベンダーを使用することが長期的にも大きな利点にもなります。

3.  大手グローバル製薬会社のITリードとして長年活躍されたご経験から、ITチームと医療チームがどのように協力すべきかについてのアドバイス等はありますか?

上記のように、製薬会社には専門の医療ITチームがあることを強くお勧めします。このチームは、医療とITに両軸を置きながら行動する必要があります。また資金とリソースを確保する医療チームための強力な擁護者であることが望ましく、医療の優先順位と課題を明確にし、買うつビジネス要件と技術要件の両方を考慮しながら、医療の専門家が理解できる言語でコミュニケーションをとることが求められます。
また、定期的にメディカルアフェアーズの仕事をシャドーイングし、メディカルアフェアーズのトレーニングの一部を受講することもお勧めします。これにより、自らの業務外の医療プロセス、また医療専門用語に慣れることができ、そして更に医療チームとの関係構築にも繋がります。医療IT専門チームが医療チームの世界をより深く理解できることになることで、最良のテクノロジーソリューションを社内に提案することが可能になります。

4. 現在、海外の製薬会社のITチームはメディカルアフェアーズのチームやその機能のために、どのような技術を評価していますか? また、これらのソリューションに何を求めているのでしょうか?

各企業がデジタルテクノロジーの採用に関して様々な立場をとっていることは明白です。デジタル先駆者を目指す会社もあれば、デジタル採用に慎重ないわゆる「フォロワー」の立場を希望する企業ももちろんあります。またデジタル化を始めたいけれども、その導入に苦労している企業もありますね。現在私が注目している点はいかに要約されます。

今注目のテクノロジーの観点:- コンテンツの自動作成
- コンテンツの視覚化
- HCPおよび患者ポータル
- カスタマーインサイト
  ・カスタマイズ
  ・高度な検索機能
  ・コラボレーションツール
  ・意思決定支援ツール
- コンタクトセンターの自動化:
- CTI(コンピューター・テレフォニー・インテグレーション)
  ・音声からテキストへの翻訳
  ・対話型バーチャルアシスタント
  ・音声認識
  ・オムニチャネル

以上からお分かりかと思いますが、デジタル化の全ての項目において、業務自動化、効率化、およびマルチチャネルのソリューションに集約されます。

最後に

インターネットやSNSを活用することで多くの情報に触れる機会があるユーザーからの要求を満たしつつ、質の高く価値があり、また信頼できる情報サービスをユーザーの好みのチャネルで提供し続けるためには、人間同士のやりとりを補完するためのデジタルソリューションを採用し、賢く利用することが重要です。製薬会社にとっての課題は、人材、プロセス、技術、コンテンツをデジタルの世界で効果的に機能するように変革することです。そして、ITチームはこれまで以上に製薬会社全体、そしてビジネスの観点でより大切な役割を担って行くと考えています。

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