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『ブギウギ』 第7週 「義理と恋とワテ」

おでん屋のおっちゃんがいい味出してる。「義理と恋はどっちが大事?」とスズ子に問われて「どっちもまやかしだ」と即答。そうなんだよ、どちらかを選ぶしかない、白黒つけるしかないという思い込みを外すのめちゃくちゃ大事。

おっちゃんに「恋バナも大阪弁も大嫌いだ」と言われても、「まあええやん」って感じでこの屋台でおっちゃんと付き合い続けたのがスズ子のいいところで、そういう鷹揚さは時にこうやって自分に返ってくるんだよね。

「君はそんなこと考えなくていい」
「歌って踊ることだけしていればいい」
と言う松永や日宝の社長たち。

「育てた恩を忘れて後ろ足で砂をかける真似を」
「小娘のくせに調子にのって」
と言う梅丸の社員たち。

「僕の伴侶になればもっと輝ける」

どいつもこいつも家父長制ムーブしやがって~!!!

「君は、どんな歌手になりたいの?」
「君は(大和礼子)じゃなく福来スズ子でなければいけないんじゃない?」
と言った羽鳥をスズ子が選ぶのは当然だよね。

「ダンサーとしての中山さんを尊敬しているけど、全部決められてしまう(のが違和感)。一緒にいると自分がどこにおるかわからへんようになる」
と秋山が気づけたのもほんとよかったー!!
「それや」と膝を打つスズ子。

秋山は秋山で、スズ子が二階の窓から飛び降りて逃亡する姿を「なんかいいなあ」と思ったんだよね。
仕事でも恋でも、家父長制ムーブは空気くらい当たり前にそこらへんにあふれているから、飲まれないためには一人で抱えないこと、けったいな人が近くにいることがすごく大事だなーと思う。

スズ子のステージパフォーマンスに、車中で秋山がタップする足音が重なる。スズ子の新曲と同じく、秋山にとって大阪に戻るのは「後退」ではなく「前進」なんだなと感じる演出で、よかった。

週タイトル「義理と恋とワテ」。
ワテが一番大事なんだ、という結果が明確で気持ちよかった反面、
「大変なことをしてしもた」「歌う資格がない」とまでスズ子が落ち込み、謝りまくる姿には違和感も。

プロなら引き抜きや移籍も当然のこと。もちろんだまし討ちのようなやり方はよくないけど、引き抜きの話も、日宝の社長との対面もスズ子にとっては寝耳に水だったわけだし。

「義理か恋か」という究極の選択を盛り上げるために、義理を強調しすぎて、現代の価値観からのフォローとなる描写が足りてない。
ストライキの責任を大和礼子がとらされるくだりと同じモヤモヤを感じた。
いちお、今回は「それはそれとしてお給料上げて下さい」とスズ子がハッキリ言うのがフォローだったんだろうけど‥‥

「これからも人生はきっといろいろある。まだまだこんなもんじゃない。
 うれしいこともつらいこともたくさんあるよ。
 うれしいときは気持ちよく歌い、つらいときはやけのやんぱちで歌う。
 そうやって生きていくんだよ、僕も藤村ちゃんも、茨田くんもきっとそうだ」


すごく良いセリフだった。
”やけのやんぱち” って最近じゃなかなか聞かないけど大好きな語彙です。

徴兵検査で「甲種合格」だとはしゃぐ弟の六郎、それを受ける水川あさみのツヤさんの芝居、つらい‥‥
ちなみに、隣の韓国では、今も(数え)二十歳で男性は全員徴兵検査を受け
そのようなランク付けをされます。


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