見出し画像

『心の傷を癒すということ』2話

阪神・淡路大震災時、被災者の「心のケア」のパイオニアとして奮闘しつづけた精神科医のヒューマンドラマです。明後日が3話目になりますが、よかったらごらんください。日本に生きる私たちは大震災の文脈を知っている。すぐに世界観に入り込めますから(回し者ではありません!)。

物事を広く長く語り継ぐには、数(質量)もですが多様性が必要です。報道やドキュメンタリーがメディアの基本になるとはいえ、日々の生活に忙しい中で腰を据えて向き合うのはなかなか難しい人が多いのではないでしょうか。

25年前、遠いところの誰かの話でも、物語だから心を揺さぶられる。地上波のテレビでやっているから。なじみのある俳優たちがやっているから。セリフが選び抜かれているから。画面や音楽の質感に惹かれるから‥‥
いろんな理由で、人々は「語り継ぎ」「記憶の伝達」に関与するのです。

主人公の安先生が新聞(なんと産経らしい! ←偏見)に連載した『被災地のカルテ』のドラマ化。

これほど大きな災害は戦後ほとんど初めてともいえて、被災者はもちろん、医療関係者やボランティア、メディア、被災地以外の国民にいたるまで混乱の中にありました。避難所となった体育館での映像ひとつとっても、当時は知識と経験の蓄積がゼロだったことがよくわかります。子どもたちの「地震ごっこ」に激怒する大人。看護師に押し付けられる避難所のトイレ掃除‥‥。

安先生自身も被災者であり、妻と小さい子どもをもつ家庭人でもありました。みずからも極限の精神状態にありながら、被災者に寄り添い模索して‥‥。さまざまな被災者たちの心の傷に胸が詰まり、時折見られる「笑顔」にこそ涙が止まらなくなります。

主演の柄本佑がすばらしく、地味な枠で放送される静かなドラマですが、彼の代表作のひとつになるのではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?