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『村上ラヂオ 3 サラダ好きのライオン』村上春樹の下ネタ注意

村上春樹という人は、世間一般の印象よりかなり愉快な人だと思います。そして世間一般の印象のとおり、すごく文章がうまいです。私は旅に行くときよく村上春樹の本を持っていきます(まるで英文和訳のような一文)。彼の軽くてリズムのよいエッセイは、旅の移動中や待ち時間などにぴったりなのです。

「ここ、いいな」と思った部分は、子どもに読むこともあります。
たとえば、今日、飛行機の中で読んで聞かせたのは、「『猫に名前をつけるのはむずかしい』という外国の有名な詩がある」という流れからの

僕はこれまでけっこうたくさんの猫を飼ったけれど、猫に名前をつけるのに時間をかけたことはない。頭にぽっと浮かんだ言葉をそのまま名前にしてしまう。
そのときビールを飲んでいれば「きりん」とつけるし、白くてほっそりした猫はかもめに似ていたから「かもめ」とつけた。
あまりややこしいことは考えない。おしゃれな名前も、気取った名前も好きではない。

というあたり。

息子小3にとって、村上春樹はこういう「テキトー」で「くだらねー」ことばっかり書いてる人。いつか将来、息子が『ねじまき鳥クロニクル』とか読む前に村上春樹がノーベル文学賞を獲ったら、彼はびっくり仰天するでしょう。 


 
ただし、子どもへの読み聞かせにあたっての注意点。村上さん、割と平然と下ネタを繰り出してきます。しかも話の流れが唐突です。

この本の「献欲手帳」という章も、ジムで体を動かすのが好きな村上さんが「バイクマシーンを漕ぐ力を発電に利用できたらいいな」と想像する話から始まり、

もちろん原子力発電なんかに比べたら微々たる熱量だけど、たくさんのマシーンをみんなで交代で必死に漕いだら、街角の信号機の電力くらいはまかなえるんじゃないか。
だってエジプトのピラミッドだって、ほとんど全部人力で作ったわけです。人の力もいっぱい集まれば、決して馬鹿にしたものではない。それで「献血手帳」と同じように「献エネルギー手帳」みたいなのを作るといい。

街角にバイクマシーンを並べておいて、ボランティアの人にペダルを漕いで発電してもらう。
そして「はい、ご苦労さまでした。あなたの今日の献エネルギーは二千キロカロリーでした」と、スタンプを押してもらう。
そういうシステムを作ったら、発電ボランティアを志願する人はけっこうたくさん出てくると思う。
エネルギー不足も少しは解消するし、フィットネスの役目も果たすし、おかげで人々は健康になり、医療保険の負担も減る。良いことずくめじゃないですか。僕も熱心に、街角でボランティアをすることだろう。

…と、ここまでは牧歌的な風景にほのぼのするんだけど、ここで急に別のギアが入るんである。

ふと思いついたんだけど、余った性欲なんかも有効利用できないものだろうか。性欲だってひとつの立派なエネルギーなんだから、これをただ無駄に捨ててしまうのは惜しい。
たとえば元気いっぱいの男子高校生が「献欲手帳」をもって「献欲センター」にやってきて、「ここのところ性欲が余っていますので、献欲したいんですが」と言う。
「はい、ありがとうございます。さっそく抜かせていただきますね」ということで、性欲がその場ですっと電力化され(仕組みはよくわからんけど)、そのワット数だけ「献欲手帳」にポイントが加算される。なかなか良いシステムだと思いませんか? 

「さっそく抜かせていただきますね」って…(笑)

作家の想像力って、くだらなくてすばらしいですよね。村上さんがノーベル賞を獲ったら、記念に「村上春樹のくだらない下ネタ傑作選」をシリーズ投稿しますね。

…というわけで、福岡に帰ってきました。沖縄よりよほど暑くて本当に納得いかない。(8月4日wrote)

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